〜魂での訓練2〜
この1週間、魔力の許す限り俺はずっと潜っている。
ギィンギィンギィン、と初日よりもはるかに激しく剣戟が続く。だがまだ勝てる要素はない。
1週間で『龍紋眼』にだいぶ慣れたので、今日からは力を引き出す方に集中している。
こちらは『龍の心臓』を使うときの、技で無理矢理力の出口を広げられる感じが、体に残っているのが助けになっている。
今は心魂の力は大きくなったが、力の引き出し口が狭く、力が出ていない感じだ。
その穴を無理矢理拡張していくイメージで、少しずつ少しずつ強くなっている
だがこちらは本当に少しずつだ。
脳が体の負担を拒んでいるのか、拡張がうまく進まない。止まってはいないが。
今までと比べて、300%の出力を出せるようになるのが目標として、
今のところの今日の100本終わりで、120%ほどになったところだ。
20%上がっただけでかなり動きが変わってきた。
また少しずつ上がることで、出力に体が追いつかなくなる、ということはない。
ただ『龍紋眼』の魔力の使い方も上手くなってきて、いらない時には魔力を切っているので、
この鍛錬の時間も少しずつ伸びてきた。あと100戦ぐらいはできそうだ。
そうして効率を上げて、どんどん回数を増やしていく。
やればやるほど効率も上がり、実践経験も積める。
この鍛錬の副事物は戦闘経験だ。強者との戦いに慣れること。
そして『眼』に頼らなくても自分の眼でもハイスピードの戦いに慣れること。
少しずつではあるが強くなる自分に高揚していた。
だがまだ先がある間は満足はしない。
彼女たちに負けるわけにはいかないからだ。
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『龍霊峰』
龍王国ドラゴニアにとって生活を支えていると言っても過言ではない基盤であり、
崇拝の対象となる龍が住む場所として神聖な場所故に、王族以外は山頂への立ち入りが禁止されている。
その山頂に今、王の許可を得た2人の女性がいた。
エメリアとユーリである。
彼女たちは王と、白狐龍の子ーーこれから二代目白狐龍と呼ばれているーー両方の許可を経て、今日からやっと山頂へ登る許可を得た。
エメリアは二代目と模擬戦をしながら、悪魔と戦う術を身につけるため。
そしてユーリは新しい攻撃魔法と転移魔法の習得のため。
前者は共に悪魔と戦うため。後者はよりサポートに特化するため。
エメリアはすぐに共に戦うという道を選んだ。
自分のあるべきはグレンと共に戦場に立つこと。ずっとそうしてきた。
グレンが先を歩くようになったなら、それに追いつくように努力をすればいいだけ。
自分の力を最大限まで引き出す。やれることのバリエーションを増やす。
そして、二代目白狐龍と戦うことで、強者との戦いに慣れること。
悪魔との戦いでは、後ろから不意打ちされたわけではない。
目の前に居た敵が後ろに回ったのに反応すらできなかったのは屈辱だった。
そしてそれによって、グレンの足を引っ張った自分が許せなかった。
夫がさらに強くなろうとしている。私が置いていかれる訳にはいかない。必ず横に立つ。
それは彼女の自分への誓いであった。
一方ユーリには迷いがあったようだ。
自分の『心魂』が攻撃に適していない以上、攻撃魔法を覚えても、よほど強力なものでないと、戦力にはならない。
前提として少しでも足を引っ張っては意味がない。もちろん気持ちの面では並んで戦いたい。
彼女はその気持ちに無理矢理蓋をした。
まずはサポートを完璧に身につけよう。グレンに出来なくて、でもこれから必要な能力を自分が身につける。そしてそれができるようになってから、戦う術を身につけよう、と。
光魔法の中に『転移』があるのを知ったユーリは、それを最優先で覚えることにしたのだ。
転移があれば、2人を連れて、好きな場所に飛べる。
戦場にいても、知覚できないほどの攻撃でなければ、転移で逃げることができるようになる。
・・・現状は知覚できずやられるだろうとわかっていたので、それは気休めの考えであったが。
2人が身を投じるのはそういうレベルの戦いなのだ。
まずはできることで役に立つ。その後、もし余裕ができれば、戦う術を身につけよう、そう決意して鍛錬を始めたのだった。
2話目です。
精霊幻界
→心魂来臨
と名を変更しました。
また夜、できれば更新します。




