〜敗北の帰還、これから〜
2人の無事を確かめた俺は、嬉しさと自分の不甲斐なさを感じ、泣いてしまった。
抱きしめられ、落ち着いた俺は、ユーリに『心魂』の力を使ってもらうことにした。
起きたばかりのユーリには申し訳ないが、一応すぐにエメリアに。
エメリアは大丈夫だと断ろうとしていたが、しっかりとやってもらった。
そして2人に気を失ってからのことを話した。
今俺の魂で聞いてきたことも。
2人は最後までしっかりと聞いてくれた。
「グレンの妻として、もっと強くならないといけないわね。
戦う相手も相手だし、今のままじゃ足手まといだわ。」
「僕は今戦闘面で足手まといになるのです・・・足を引っ張りたくはない、なのです。
でも、2人を危険な場所に送り出して、自分だけ待ってるのも嫌なのです・・・。」
・・・2人の考えはなんとなくわかった。
どうするのが1番正解か、しっかり考えて話し合って答えを出そう。
しかし、最低でもあのレベルの悪魔とは戦えるようにならなければ、危険すぎて連れていけないと思ってはいるが。
ひとまず、しっかり休憩だけしたら、ドラゴニアに帰ろう。
レイン姫と王にもこのことは伝えたほうがいいだろう。
協力できることはしてもらわなくてはな。
一つ危惧していることは、俺があの悪魔に勝てる、とはっきりいえない今の状態で、他の龍が狙われることだが・・・。
溶炎龍は弱るタイミングがあったから狙われた。
・・・とりあえず他の龍が危なくなることは、今はないと考えることにしよう。
あの悪魔に勝てない俺が他の龍を心配してもしょうがないしな。
今の余裕がない状態で焦って動いてもいいことはない。
すでに生まれている悪魔が最低でも2体はいると言うことを考えて、しっかりと準備をして次に向かおう。
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1日休んだ後、また3日かけて、龍王国ドラゴニア、主都リュートに戻ってきた。
隣にはまたミイラがいたが、それは割愛する。
家に帰ってすぐに、手紙にてレイン姫に連絡をとった。
緊急の要件がある旨、できればそのまま王にも直接話したい、と。
手紙が返ってくるかと思ったが、俺の家に来たのは手紙ではなく、レイン姫であった。
王への直接の話もしたいと言うことだったので、お迎えにあがりました。とのことだった。
もう王の時間も確保してあるらしく、流石の手際だった。
要件も言っていないのに、俺を信用してくれるあたり、とてもありがたいことだ。
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王との謁見の場は、玉座ではなく、密談用とも言える部屋であった。
こちらの用件がなんであれ、緊急の要件と言った俺の言葉を信用してもらっていて、
場合によっては、外部に漏れないようにしなければならないような、重要なことだと思われているということだろう。
俺は話し始めた。
溶炎龍と会うために向かった山頂で、悪魔と遭遇したこと。
その悪魔と一戦交えたこと。
実力は、その時の俺の全開戦闘とほぼ互角であったこと。
そしてその悪魔は7段階に分けて、下から2番目のランクであること。
「転移」という、一瞬で移動する魔法を使って、劣勢に追い込まれたこと。
そしてその魔法を使ってその場から消えたこともあり、長距離の移動が可能であるかもしれないこと。
その悪魔が「命令を受けた」という、自分より上位の存在を匂わせたため、現状で2体以上いるのが確実なこと。
悪魔とは『魔力と恨み』によって生み出されること。
俺の知る限りの情報を、包み隠さず話した。
「なるほど・・・。
すぐに我々にできるのは引き続きの龍が住む場所の捜索。
悪魔と戦える戦力を揃えること。
そしてさらに強力な『悪魔公』とやらを生み出さないように、人間同士で争わないようにすること、か。」
「しかし、お父様、『悪魔と戦える戦力』というものはこの世界にどれほどいるのでしょうか。
グレン卿が全力戦闘で互角の敵が、下から2番目というのは・・・
いたとしてもかなり限られると思いますわ。」
「それはそうだが、それでも各国に用意させるほかあるまい。
ワシらもグレン卿の話でなければ易々と信用できないような話だ。
どれほどの人間が動いてくれるかはわからないが・・・
その悪魔に人間の国の一国でも滅ぼされてしまえば、『人間の恨み』が増えて、またさらに強い悪魔が生まれてしまうのだろう。
どんどん手に負えなくなってしまう。
なんとしても動いてもらえるように要請しよう。」
その王の言葉を聞き、一安心した。
他の国の懸命な判断を祈ろう。
今日はこれで終わります。
また明日更新します。




