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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第3章
82/92

082 乙女じゃなきゃ、ダメなんじゃないのぉ!?

 とある日の夜のこと。

 ぼくのお部屋に、アイナママとルシアママ、そしてアプリルさんが来てる。

 え? これからアプリルさんも一緒に【レッスン】するのかって?

 ちがうからね?


「ではクリス、始めてくれ」

「うぅ、はい」


 ぼくはルシアママたち3人の前で、覚悟をキメて……


「シュミンケ!」


 ぱぁぁぁっ


「うっ!」


 お部屋の中が光で溢れて……ぼくのカラダがハダカになって、虹色に光った。

 そのままぼくのカラダはくるくる回り、そしてパンツ──かなりキワどいヒモパンから、リボンのような布が吹き出す。

 そしてその布が、ぼくにカラダを包み込んで──


「土の精霊! 土の元素を司る、慈愛の橙黄の大地! エルフィー・ノーム参上!」

「土にかわってぇ 天罰☆落としますっ」


 きゅぴーん☆


「あぁっ やっぱりぃぃぃ!?」


 ぼくのその姿は、布面積の少ない、キワどいビキニの上下。

 そしてセーラー服っぽい、リボン付きの襟と超ミニのスカート。

 さらには長手袋と長靴下という、いわゆる【えろえろ系コスプレイヤー】みたいな格好だった!?


「うぅっ なんでぇ? ぼく男のコなのにぃ!」

「おぉっ まさかまだ装備できるとは」

「ええ、アプリルさんの時は魂が女性でしたので、それでかと思いましたが」


 だから身も心も男のコに戻ったぼくなら、もう変身できないはず。

 そうアイナママたちとお話してたんだけど?

 ともかく実験してみようって、レイナちゃんにナイショで集まってたんだ。

 けど──


「やりましたね、クリスくんっ これでまた【エルフィーチーム】続行です!」

「そ、そうなのぉ!?」


 そう、その装備はエルフの森の【大宮司】──人族でいうところの【神殿】の【法皇】のおうちに伝わる【姫巫女の戦装束】。

 天の神、ミヤビさまの神託によって【英雄級】の精霊魔法が使えるんだ。


(もちろんこの【エルフィー・ノーム】のチカラは、【6体の魔物】を封印するのにすっごく役立ったけど)


 そんなぼくがワナワナしてると~


「ふむ? クリス、魔法はどうだ?」

「うぅ あ、はいぃ ええと、来たれ【黒砂】」


 ブワッ!


 ぼくがそう命じると、大量の黒い砂が、お部屋の宙に現れた。


「あぁっ 召喚できちゃったよぉ!」

「……クリス? お部屋を汚さないように、それを戻しましょうね?」

「あ、はいぃぃっ!」


 フッ──


 きれい好きのアイナママが、ほっぺをぴくぴくさせてそういった。

 こんなのお部屋に落としたら、お掃除がたいへんだもんね?


「【姫巫女の従者】って、【乙女(しょじょ)】じゃなきゃダメなんじゃないのぉ!?」


 だから、アイナママやルシアママは除外されてたのに~


(っていうかぼくだって【チェリー(どうてい)】じゃないのに! もう基準がガバガバだよぉ!?)


 そんなふうにぼくがナミダしていると、


「これはわたしの推論なのですが……」

「ほう? どう思うのだ? アイナ」

「クリスは先日まで、アプリルさんの姿でした。そして元の身体に戻る為に、まずはアプリルさんになりきる必要がありました」

「ああ、そうだったな」

「その結果、クリスはアプリルさんの仕草や口調をほぼマスターし、元の姿に戻った今も……その女性らしい仕草と思考が抜けないのでは?」

「がーんっ!」


 そ、そんな、バカなぁ!


「ああ、それはありえるな」

「ええ、クリスくん……最近すっごく仕草がかわいくて!」

「そうなの!?」

「元々クリスは仕草が上品でしたからね。アプリルさんのそれを習得して、さらに磨きがかかったのでしょう」

「ちょっ アイナママっ なんで嬉しそうなのぉ!?」

「だってママ、粗暴なクリスなんて見たくないですし?」

「ああ、激しく同意だな」

「クリスくんは、かわいい方がいいですっ」

「ちょっとぉ!?」


 そんなわけでぼくは、引き続き【エルフィー・ノーム】をすることになり……

 普段からこの変身ヒモパンをはき続けることを、約束させられたのでした。


「ぼく、男のコなのにぃ!」


 ◇◆◆◇


「ふーむ、飛行魔法の相乗効果か……いやいや、考えたこともなかったな」

「えへへ~」


 ぼくは今、アイナママとルシアママの3人で、一緒にお空を飛んでいます。

 ちなみにこれから街へ行くので、ルシアママは【カニンヒェン】のコスプレ──格好をしてるんだ。

 そしてアプリルさんと実験した【ふたりで一緒に風魔法を使う】という方法を、ルシアママに報告してたんだけど?


「ふたり一緒に風精霊魔法を使ったら、速さもすごくなったし? ぼくらだと、ひとりじゃムリだったアイナママも運べたんだよぉ」

「こほん! ともあれ、3人で何度か空を飛んだのは事実ですよ? ルシア」

「ふむ、ではクリス? 私との相乗効果も試してみようではないか」

「いいよぉ? じゃあ」


 ぼくらの周囲にはすでにたくさんの【風の精霊】さんたちがいるけど?


『∩(´∀`∩) ワショ──イ!』


 そんな精霊さんたちの声が、ぼくにも聞こえてきたんだ。


「おぉ、これはすごいな」

「そうなの?」

「ああ、精霊たちが大喜びしているぞ?」

「そうなんだ?」

「ふむ、例えるなら──熟練の大物吟遊詩人と新人の売れっ子が同じ舞台に立ち、その両方を応援していた愛好家が、それを見て狂喜乱舞している様だ」

「そ、そうなんだ」


 なんだか、アイドルのコラボユニットの追っかけみたいな?


「うむ、なにやら」


『キタ━━━━(゜∀゜)━━━━━!』


「などと言っているな」

「うわぁ」


 いま精霊さんたちのなかで『祭り』が起きちゃってるっぽい?


「ともかく、これ以上の速さは不要ですよ? すでにお茶を飲むほどの時間もかかっていないのですから」

「ああ、そうだな」


 ルシアママがビキニを装備することで、ぼくら2人を一緒に運んでも?

 そのスピードは時速100キロを簡単に超えちゃう。

 そしてアイナママがお空を飛ぶのに慣れてきたから、最近はおうちから街まで10分かかってないんだ。


「ふむ、テーブルと椅子を一緒に飛ばせば、本当に茶が飲めそうだ」

「ええ、クリスの収納アイテムがありますからね。あなた達がそれをしても、わたしは驚きませんよ」

「ははっ 違いない」


 そんなことを話している間に、もうケストレルの街が見えてきた。

 ホント、街が近くなっちゃったなぁ


 ◇◆◆◇


「こ、これを、わたしが装備するのですか?」

「ええ、アイナさん」


 そんなアイナママとお話してるのは、アルタムさん。

 ぼくらはアプリルさんのお店にやってきています。

 そして、なにをしにきたかというと~


「で、ですがこれはあまりにも……」

「お言葉ですが、アイナさんは先日のレベルアップでレベル57です。それで今までのビキニが【強制排除】されたということは、もはやコレくらいの布面積でないと、装備できないかと」


 うん、アプリルさんがアイナママに差し出したそのビキニ。

 デザインこそ同じだけど、布面積が3/4くらいに減ってたんだ。


(あれ、お尻なんてもうヒモしかないよね? おっぱいも、南半球が丸出しになっちゃうんじゃあ? どきどき!)


 そして、それは同じくレベルアップしたルシアママも一緒で~


「い、いや……これはさすがに」

(うわぁ)


 もともと【超エアロモデル】っていわれてたルシアママのビキニ。

 それがもうブラは1/2、ショーツに至っては1/3くらいしか覆っていなかった。


「ルシア様、お似合いですよ」

「そ、そうか? しかしこれでは、はみ出してしまうのでは?」

(な、なにがはみ出しちゃうのっ?)


 だけど、アルタムさんは落ち着いてて?


「あ、いえ。なぜかビキニアーマーははみ出さないんですよ」

「そうなのか?」

「ええ、そりゃぁ破れたりすれば別ですが、おそらくそれも【神託】の一部らしくて、絶対にはみ出しません」


 それって、絶対にミヤビさまのシュミだよね?


『全てを見せると、むしろ飽きられやすい、ゆえに、ふぇちずむ大事、と♪』


 な~んてコトいってたし?


「ならいいのだが、さすがの私もこれは」

「ええ、わたしも……」

「いえ! アイナ様やルシア様は、女性冒険者の希望なんです!」

「「は?」」

「実際、年齢を気にしてビキニアーマーの装備を止めたり、中にはそれを気に病んで、冒険者を引退してしまった女性も多かったんです」

「そ、そうなのか?」

「しかし! アイナ様とルシア様のそのお姿を見て、勇気づけられた女性冒険者たちがどんなに多いことか!」


 あー、この世界のビキニアーマーって?

 高レベル冒険者ほど、ビキニの面積が小さくなるっていう制限があるし。

 さらにはビキニアーマーを装備するのは20代前半までの【若い女性】っていう、いわゆる暗黙の了解があるんだよねぇ


「ですから今! アイナ様とルシア様に憧れて、またビキニアーマーを装備し始めた中堅女性冒険者が、すごく増えたんです!」

「なんと、そんな事が」

「ええ、先日アマーリエさんとも話したんですが、その死亡者数や重症者数もぐっと減ったそうです」

「まぁ……」

「ですから今っ アイナ様たちがビキニアーマーの装備を止めたりしたら──」


 そ、それって、まずくない?

 なんて感じでぼくがアイナママたちを見たら──


「わ、判りました……試着、してきますぅ」

「ああ、そうだな」

「アルタム、私はルシアとカニンヒェンの2装備を頼む」

「承知しました♪」


 な~んて、すっごく嬉しそうなアルタムさん。

 って、今更だけど? カニンヒェンの装備、やっぱりアルタムさんの用意だったんですね?


(ルシアママも隠す気ないしなぁ──あれ?)


 カララン♪


 そのとき、ドアを開けてお店に入ってきたのは、


「あっ クラウさん」

「やぁ、君はクリス君じゃないか。久しぶりだね」


 それは冒険者のクラウさんだったんだ。

 クラウさんはパーティーを組まない【ソロ冒険者】で、そのレベルの高さはアイナママたちに次ぐ高レベル冒険者なんだ~


「クラウさんは、今までおでかけだったんですか?」

「ああ、受けた討伐依頼、が思いのほか手間取ってしまってね。予定以上に街を離れるハメになってしまったよ」

「あ、ということは?」

「ああ、無事に達成して、今はギルドに寄った帰りさ」

「それはお疲れさまでした~」

「ああ、ありがとう。ふふ、いやぁ……思いのほかいいものだね」

「え、なにがですぅ?」

「いや、こうして依頼を達成し、ねぎらいの言葉を受ける。ギルドの受付嬢以外には、なかなか言ってもらえないセリフでね」

「あー」


 冒険者は、なかばチンピラっぽいひとも多いから?

 街のひとたちからは【腫れ物扱い】されちゃうことも多いんだ。

 もちろん魔物を討伐してるから、感謝してるひとも多いんだけど?


「だったら、ぼくでよかったらいつでもいってあげますよぉ? だってぼく、クラウさんのファンですから」

「ふふ、それは光栄だね」

「えへへ」


 なーんて、ぼくとクラウさんがお話してると?


「く、クリスっ」

「今の【ファン】というのは、どういう意味なのだ!」

「あ、アイナママ、ルシアママ」

「ああ、お二方のお噂はかねがね、私はソロ冒険者のクラウと申す者、以後お見知りおきを」

「そ、そうなのか? クリス」

「あ、うん クラウさんってスゴいんだよ? だからぼく、クラウさんに憧れてて~」

「なっ!」

「ええっ!」

「ん? どうしたの?」


 ぼくがそういったら、なんだかふたりとも固まっちゃって~


挿絵(By みてみん)


「ふふ、では私はこれで」

「あっ」

「ではクリスくん、またどこかで」

「あ、はい~ クラウさんも」


 そういって、クラウさんはお店の奥の方へ行ったんだけど?


「クリス! なんなのだ、今の女は!」

「え、ええ……いくらなんでもあの歳では──」

「え? なにいってるの?」

「だがな、アレはさすがに歳が行き過ぎだろう」

「ええ……見た所、わたしとさほど違わなそうですし」

「え?」


 ええと、ママたち?

 まさかぼくが、クラウさんを【女性】として憧れちゃってると思ってる?


「もー ぼくはお話ししてただけなのにぃ ママたち、おとなげない(ぼそ」

「「がーん!」」


 なんてぼくのひとことで、ママたちはショックを受けちゃったみたい?


「もぉ、なんだかなぁ」

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