表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第2章 ルシアママは、エルフの魔法騎士
79/92

079 変身ヒモパンの今後って?

「いやぁ、凄まじい爆発音だったなぁ」

「ええ、アプリルさん? あの爆発は、本当に魔法ではないのですか?」

「あっ はい、違いますよ?」


 あれから、合流してきたルシアママとレニーさんだったけど?

 やっぱり塔の中でも、すっごい音と振動がしたみたい。

 ねんのためにキマイラの足元にも【アスガルド】を張ってもらってよかった~


(でなかったらいまごろ、屋上の床が抜けてたかもね)


 そうしたら、下の階にいたルシアママたちも無事じゃすまないし?

 とにかくあの【水蒸気爆発】で、キマイラが討伐できてホントによかった


「たしかにあの大量の【水】と【溶岩】は、魔法で出したものですけど?」

「ええ」

「じっさいの火山とかでも、閉じたところにある水に溶岩が流れ込めば? お山のカタチが変わっちゃうくらいの爆発をおこすんです」

「そ、そうなのか?」

「恐ろしい……ですね」

「こわいですよねぇ」


 さすがのキマイラも、あの規模の爆発は未体験だったみたいだ。

 さんざん【舐めプ】してくれた、バチがあたったと思いたい。


「しかし、よくもそんな作戦を思いついたな?」

「ええ、本当に」

「え? あ、ええと~ ステラさまの遺されたご本に?」

「ああ、なるほど」

「さすがはク──いえ、アプリルさんですね」


 ふう、やっぱりステラママの名前を出すと、説得力があるなぁ

 もちろん【水蒸気爆発】は、前世の知識からだけど?

 と、そのとき──


「あ、アマーリエさんっ しっかり!」


 アマーリエさんが手で頭を押さえて、辛そうにしてる!


「え、ええ……なんだか少し、めまいが──」

「大丈夫ですか!」

「え、ええ。なんでしょうか、その……なんだか、目の回るような感じの様な」

「ああ、それならおそらく【レベルアップ酔い】だな」

「レベルアップ酔い、ですか?」

「ああ、アマーリエ? 其方(そなた)は冒険者ではないから、レベルが1だったのだろう?」

「ええ」

「それが先ほどのキマイラの討伐で、一気にレベルが上がりすぎたのだ」

「レベルが、上がりすぎる?」

「レベルが上がると、その身体能力が上昇するからな。普通は少しづつ上がるから、その差異も判りにくいのだが」

「そうなの、ですね?」

「ああ、一気に上がりすぎるとその差異に頭が追いつかず、まるで酔いが回ったような状態になるそうだ」


 あー、レベルアップ酔い、前世でもあったなぁ

 ルシアママたちに【パワーレベリング】してもらったときに~


「え? じゃあワタシも、すっごくレベル上がってるんでしょうか?」

「ああ、聞けばこれまでの魔物はすべて【封印】だったらしいが、今回のキマイラは、完全に【討伐】してからの封印だったのだろう? 故に、かなりの経験値が入ったはずだ」

「おぉぉ ならこの騒ぎが終わったら、調べてくださいっ アマーリエさんっ」

「それは構いませんが……武器職人のアルタムさんがレベルが上がっても、使いみちがないのでは?」

「はっ! そうでした」

「それに高レベルになると、ビキニアーマーの面積が減りますよね?」

「そうでしたぁ!」

「ま、まさかあたしもかいっ アルタム!」

「あ、【上級者】もレベル35を超えると、ビキニ小さくしないとダメですねぇ」

「なんてこった!」

「でも、この【戦装束】に比べれば~」

「こいつは【認識阻害】っての、してくれるんだろ? いつもの神官服のビキニは、そんなのしてくれないんだよっ」

「あ~」


 ん? そういえば、


「そういえば……この【悪霊】と【6体の魔物】の騒ぎがおさまったら、とりあえずこのチームは解散ですよね?」

「ん? ああ、そうなるな」

「ええ、アプリルさんも、目的は果たした事になりますよね?」

「じゃあこの【変身ヒモパン】って? これが済んだら、私が皆さんの分もエルフの森に持ち帰るんでしょうか?」


 なんて聞いてから、ちらりとぼくのカラダのアプリルさんを見ると?

 『さ、さあ?』みたいなこまったお顔でぼくを見てる。


「ふむ、だが現在のエルフの森には、その【戦装束】を伝える者は、アプリルしかいなかったはず」

「え? ええ、そうですね(棒)」

「故に、従者の戦装束は【6体の魔物】の封印のあいだの期間限定、もしくはその従者の生ある限り──なのやもしれぬな」

「な、なるほど」

「え? じゃあこの変身ヒモパン、ワタシたちがもらっちゃっていいんですか?」

「ええ、6体の魔物をすべて封印後、残っていれば、ですが」

「それにこの【戦装束】に変身しないと、あれらの魔法は使えませんよぉ?」

「そうでした!」


 うん、この【セーラー服美少女戦士】ふうのビキニ。

 ビキニアーマー全盛のこの世界でも、けっこうキワモノ扱いなんだよねぇ

 だから? プライベートでもコレを装備したいってヒトは、いないかも?


 ◇◆◆◇


「な、なんということでしょう」

「ああ、まさか、とは思ったが……」


 あれから──

 どさくさにまぎれて逃げた【悪霊】と、最後の1体の魔物。

 それを探してぼくらはまた、塔の捜索を続けました。

 そして宿屋で一夜を明かした朝──改めて地下を捜索し始めたら……


「こんなところから、ダンジョンが広がっているとはな」

「ええ、しかもこの階段を降りた先は……」

「魔素が濃い、ようだな」


 そう、キマイラ討伐の時の振動のせいか?

 隠し通路への入り口みたいな壁が崩れてて、その先には通路が続いてたんだ。


「アイナさん? これって」

「往々にして【魔素】の濃いダンジョンは、なぜかその規模が拡張するのです」

「え? ダンジョンが、勝手に、ですか?」

「ええ、まるで生き物のようにその身を伸ばし、新たな階層すら作り上げる……話には聞いてましたが、実際にそれを見るのはわたしも初めてです」

「そんな」

「ともあれ、捜索するしかないだろうな」

「ですね、ではチーム分けはどうします?」

「いや、ここは多少の距離を置く程度にして、同行するとしよう」

「私とアイナ、そしてアプリルが先行。その後を残りの4人で追う形としよう」

「ええ、それがいいでしょうね」

「では、後ろのチームのリーダーはクリス、殿(しんがり)は神官のレニーに頼む」

「わ、わかりましたっ」

「ええ、承知しました」


 ◇◆◆◇


 とはいえ、


「【ホーリーブレス】」


 パァァァァァ、


 アイナママが杖を掲げて神聖魔法を放つ。

 それだけで、たくさんいた魔物──アンデッドたちが浄化されていった。

 そう、タフクの塔の地下にできた増加版ダンジョンは、アンデッドの巣窟だったんだ。


「むぅ、最初はどうなるかと思ったが、おおむね【中級者】でなんとかなるレベルの魔物だな」

「ですね、ほぼアンデットですけど~」


 とはいえ? さすがに初めて人が足を踏み入れたダンジョンだけあって?

 そのアンデッドの数はハンパなく、さっきから全然とぎれない。

 けど? こっちにはアンデッド系に強い【神聖魔法】のエキスパートがいる。

 だからさっきから、


「【ホーリーブレス】」


 パァァァァァ、


 アイナママがほぼひとりで無双しちゃってます。


「ぐぬぬ、【レイス】やゴーストならともかくっ ゾンビやスケルトンなら、剣や風刃で討伐できるではないか!」

「いえ、そもそもアンデッドは元々人族や亜人の成れの果て。ならばむしろ、天に送ってこそ供養ではありませんか」

「ぐぬぬ」


 とまぁ? さっきから出番のないルシアママはおもしろくないみたい。

 ソレに対してアイナママは珍しく、ドヤ顔をキメちゃってる~


(あとアイナママー、さっきから後ろでレニーさんが)

『あたしのホーリーブレスと格が違う……』

(って落ち込んでるのに、きづいてー)


 そりゃまぁ? アイナママは【英雄級】の神官で、しかもその最高位の【聖女】。

 ホントならたいした威力じゃないホーリーブレスも、メッチャ効き目ありすぎ。


「つーまーらーんー 華麗に活躍して、最愛の息子に尊敬の瞳で見られたいー」

(ルシアママっ 本音がダダ漏れだよ!)


 な~んてぼくらがお話してると、


「これは、行き止まりでしょうか?」

「ふむ、それにしては一本道だったのだが──」


 カッ!


 そのとき、ぼくたちの足元の床に、現れた魔法陣。

 それが一気に輝きを増して──


(しまった! 強制転移!?)


 そして消えゆく景色のなか、


「あ、アイナさまたちが!?」


 慌てて駆け寄るアプリルさんたちの姿が、最後に見えたんだ。


 ◇◆◆◇


「こ、ここは……」

「ふむ、この声の響きよう、かなり広いな」

「ふたりともっ 身体に異常はありませんか!?」

「あ、私は大丈夫ですっ」

「ああ私もだ、アイナはどうだ?」

「ほっ ええ、わたしも異常はありませんが──」


 ズンッ!


「なっ!」

「アイナ! 灯りを!」

「ええっ 【ライト】!」


 ぱぁ、


 そこに見えたものは──

 最初、見上げるような大きな岩かと思った。


 ズズズズ……


 けど、それは這うようにこちらを振り向いた。

 そのカラダは太くて手足がなく、まるで鎧のようなウロコに包まれている。

 そしてそこから伸びる9本の長い首は、赤い目をらんらんと光らせて──


「【九首の大蛇(オロチ)】、ヒュドラか!」

「こ、こんなところにいたのですね」


 パッ!

-------------------------------------

【ヒュドラ】

 出典:万物真理事典『ステペディア(stapedia)』


 9本の頭を持つ巨大なヘビの魔物。

 魔族大陸の辺境にあるとされる毒の沼地に生息し、

 水辺では不死に近い生命力を発揮するとされている。


 巨大な胴体に9本の長い首が生えており、それぞれが独立した意思を持つ。

 毒のブレスを操り、その毒は浴びた者をまたたく間に死に追いやるという。


 その硬い鱗は生半可な剣では通用せず、たとえ首を切り落としたとしても、

 強力な再生能力で瞬時に生え変わるといわれている。

-------------------------------------


 そこは石作りの広い空間で、その天井は見上げるほどに高いところにあった。


(けどヒュドラが大きすぎて、なんだかせまく見える!)


「ともあれ、ここは私達だけで討伐するしかないな! 喰らえ!【真・塵旋風(しん・じんせんぷう)】!」


 ギュオォォっ!


 ルシアママが放った逆巻く竜巻が、ヒュドラに向かって放たれた!

 粉塵を含んだ強固な風刃が、そのカラダに襲いかかる。

 けど──


 ブワァァァッ!


「なん、だと!」


 ヒュドラがその9本の首を激しく振ると、風刃はそのまま霧散してしまった!


「あ、あのウロコが風刃を防いでるんです! もっと強力な刃でないとっ」

「むぅ なら1本づつ落とすまで! せやっ」


 ヒュバッ!


 ルシアママが振るう剣から、巨大な風刃が放たれた!

 そしてそのままヒュドラの首の1本に届くと──


「やった!」


 そのまま首は切断され、地面に落ちていった!

 だけど──


 ブゥン、


「なにぃ!? さ、再生、しただと!」

「し、しかもこんなに早く!?」


 首がなかったのは、ほんの数秒たらずのこと。

 その切断面に魔法陣が光ったかと思うと、切ったはずの首が再生されていた!


「あ、ありえませんっ 魔物がこんな再生をするだなんて!」

「でも【6体の魔物】は【不死性】があって、倒しても復活するって」

「くっ コイツも魔族にいじられているということか!?」


 そんなぼくらが戸惑いを隠しきれずにいると──


 ゴガァァァ!


「なに! ブレスだと!」

「こ、これは毒のブレスです!」


 キマイラの尻尾のヘビが吐いていた、毒のブレス!

 その毒が、9本全部の首から発射されて──


「まずいっ【風防壁】!」


 ヒュゥゥッ!


 ルシアママの放った風が防壁となって僕らを包み、毒のブレスを吹き飛ばす!

 風の防壁なら、こんな毒のブレスの対処にはぴったりだった。


「まいったな、これではうかつに近寄れない」

「ええ、しかもあの再生能力、どうしたら──」

「アイナ? 毒のブレスを防ぐ神聖魔法の防壁は?」

「【アスガルド】なら、しかしこちらからの攻撃も困難になります」

「むぅ なら──」

「解毒の呪文【スケルチブラッド】をかけ続けるしか、」

「それしかないか、」


 せめて火が使えるアマーリエさんがいれば、その切断面を焼くという手段が使えたかもしれない。


(けどあの異常な再生能力は、どんな魔法も防いでしまうかも? なら、この手しかない!)


「ルシアママ、アイナママ?」


 ぼくはアプリルさんのマネを止め、クリスとしてそういった。


「ヒュドラを倒すには……9本の首、そのすべてを同時に切り落とすしかない、そうだよね?」

「あ? ああ、一般的なヒュドラはそうだが」

「ですがあの再生の速度では、よほどの速さすべてを切断するしか……」

「私の風刃でも、さっきの威力なら1発づつが精一杯だぞ?」

「うん、でもぼくたちが直接、【ソニックブレード】で切りつけたら?」

「むぅ、あの僅かな間にか? 私なら3本、いや、4本いけるか。だが、私はともかくお前の剣技では──」


 ルシアママのいいたいことはわかる。

 いくら【姫巫女の戦装束】をまとったアプリルさんのカラダでも、その技はルシアママには及ばず、上回ることはない──って。


「うん、だけどそれを可能にするマジックアイテムが、ステラママの遺品にあったとしたら?」

「なにっ?」

「まぁ」

「もちろんそれは、そう何度もつかえるものじゃないんだ。だけど──」

「それに賭けるしか、ないか」

「あぁ、ふたりともどうか気をつけて……【アインヘリヤル】!」


 ぱぁっ


 ぼくとルシアママの身体を、アイナママの神聖魔法が包み込む。

 【アインヘリヤル】──衝撃を緩和・消滅させる神聖魔法の正防壁だ。

 その虹色の輝きをまとったまま、ぼくたちは、

 毒のブレスでカラダを覆う、ヒュドラの姿をにらみつけたんだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ