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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第2章 ルシアママは、エルフの魔法騎士
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071 【悪霊】はやっぱり性格悪かった!?

「あ、アマーリエさん!?」


 思わずそんなふうに叫んじゃうぼく、

 でも、内心はわかってる。

 アマーリエさんはもう、【悪霊】に身体を取り替えられてるって。


「こ、【金色(こんじき)の大獅子】!」


 そしてぼくらの前に現れた、巨大なライオン。

 いや【6体の魔物】のうちの1体を唖然と見つめながら、アプリルさんがいう。


(【万物真理(ステータス)】っ!)


 パッ!

-------------------------------------

【ネメアンライオン】

 出典:万物真理事典『ステペディア(stapedia)』


 巨大な体躯をもつライオンの魔物。

 2対の前脚を持つ6本足のライオンで、そのサイズは全長8メートルを超える。

 背中に1対の翼を持つが、飛行することは出来ず高くジャンプする程度のもの。


 その金色の毛皮はいっさいの剣や弓矢は通さないと言われ、

 実際に挑んできた数多の英雄たちを食い殺しているという。


 また、その毛皮に包まれた者は【不死】を得ると言われているが、

 その効果は定かではない。

-------------------------------------


(なっ、これ物理攻撃無効ってことっ?)


 あの大カニの【カルキノス】も頑丈な魔物だったけど、それでも【ただ大きくて堅い】、そんな相手だから討伐できたんだ。


「ならっ 魔法で倒すしかないじゃないか!」


 ぼくは動けずにいるアプリルさんの前に出て、


「シュミンケ!」


 ぱぁぁぁっ


「セーラーコス☆美少女戦士! エルフィー・シルフ! 風にかわってぇ、おしごとですっ」


 きゅぴーん☆


「先手必勝! 囲みこめっ【塵旋風(じんせんぷう)】!」


 ここは室内だけど、そうもいっていられない。

 ぼくは【塵旋風】を発動させ、同時に風防壁を展開する!


「巻き上げて!」


 室内で発生したその竜巻は、ネメアンライオンのカラダを取り囲む。

 そして積もりに積もったホコリを巻き込み、凶悪な風刃を作り出した!


 ギュバァァァァァっ!


「どうで──あぁっ!」


 バキィィ!


 【塵旋風】の巻き上げる上昇気流は、なんと天井をブチ抜いてしまった!

 そしてその中に居たネメアンライオンは、その身を高く跳躍させた。


「しまった!」

「逃げたんでしょうか?」

「いやあれは──ダメっ ここはあぶない!」

「えっ? きゃぁん!」


 ぼくはアプリルさんと神官さんを後ろにかばいながら、


「切り裂けっ【烈風斬(れっぷうざん)】!」


 ドバン!


 5本の風刃でその壁をふっとばし、慌てて部屋から逃げ出した。

 その瞬間っ


 ガァァァァァっ!


「なっ!」


 ネメアンライオンが大きく咆哮すると、それは衝撃波となって!

 さっきまでぼくらがいた部屋の家具をぺちゃんこにした!


「あ、あれは【風弾】!」

「ま、魔法まで使うだなんてっ」


 しかも風の魔法とかっ ぼくとかぶってるじゃないかぁ!

 なんてぼくが、思わず【おこ】になっていると──


「あら、残念。相変わらずしぶといですのねぇ」

「あ、悪霊!」

「いつのまに、そんなところに!」


 アマーリエさんの姿をした悪霊は、おとなりの屋根の上から、ぼくらを見下ろしてる。

 そのお顔はいつもどおりキレイなのに、とびきり冷たい目をしていたんだ。


「アマーリエさんのカラダまで、卑怯なっ!」

「あら? んふふ、最高の褒め言葉ですわぁ その悔しそうな顔、それだけでこの罠を仕掛けた甲斐がありました」

「くっ」


 そうだった。

 この【悪霊】、その【身体を取り替える】という能力で、人族に嫌がらせを繰り返してる。

 それだけでも大迷惑なのに、あの馬鹿にしたようなあざけり顔。

 相手を絶望させることを、心から愉しんでるみたいだった。


「ともかく、クリスくんにアプリルさん? あなた方にはここで、死んで頂こうかと思いまして」

「さ、させないっ」

「ええ、ですが、その【ネメアンライオン】の毛皮は、矛先や刃を通しません。ですから【風使い】であるあなた方には、相性が最悪なのでは?」

「くっ!」


 確かに、風刃はあくまで刃の一種。

 そしてあのネメアンライオンの毛皮は、単純に【防御力が高い】とかそういう問題じゃないんだと思う。


(やっぱり【物理攻撃無効】とか、そんなスキルがあるのかもしれない)


 しかもトラック並みのサイズのくせに、とにかく動きが機敏だし!?

 その羽根のせいで、飛べないまでも高く飛び上がるし!


「そして、あなたがたがここから逃げた場合、そのままあの魔物に街を襲わせます」

「なっ!」

「そ、そんな」

「それがお嫌でしたら、どうぞ、殺されてください。アプリルさん? あなたの封印魔法はやはり厄介ですので」

「うぅ」


 すると悪霊は、どこからかナイフを取り出して、


「さらに、この私の身体が【人質】になっていることをお忘れなく」

「うっ」

「ああ、それともこの顔に傷でも付けたほうが、クリスくんには喜んでもらえるかしら? んふふっ」

「そ、そんなこと、許さない! それにお前だって、無事じゃ済まないでしょ!」

「ふふ、その時は、この身体を捨てるまでです」

「ひ、卑怯な」

「そすからそれ、褒め言葉ですよw」


 カラダを捨てて逃げる。

 前にルシアママともお話したけど、やっぱりそんな事もできるのか!

 なら、もしかしたら【悪霊】に対しては──


「なら──」

「ん? なら、どうしましたか?」

「ならやっぱり、【浄化魔法】が効くんじゃないでしょうか!」

「なにを──」


「【キリエレイソン】!」


「ぐわあぁぁっ!」


 そんなぼくの声に応えるように、神聖魔法が悪霊を包み込む。

 しかもこの魔法【キリエレイソン】は、タフクの塔にいたあの【魔族】。

 あいつをさんざん苦しめて胸に大穴を開けた、アイナママの呪文だ!


「来てくれたんだねっ アイナママ!」

「はぁっ はぁっ 遅くなりました、クリス──いえ、アプリルさんっ」

「あ、いけないっ アイナさん、てへ♪」


 そんな可愛いポーズで、ごめんなさいするぼく。

 なんだか最近、すっかり女の子らしいしぐさに抵抗、なくなっちゃったなぁ


「うぐ、な、なぜここに聖女がっ?」

「それを教える義理はありませんっ」


 そんな無慈悲なアイナママだけど、

 もちろんアイナママが、ここへやってきたのには訳がある。

 アイナママを含むぼくたち4人は、こんなアイテムを持ってるから。


-------------------------------------

【方位人針】

種 別:マジックアイテム

制 限:無制限

価 値:金貨4枚

性 能:これを持つ者同士の、居場所の方角を示してくれるマジックアイテム。

    そのスイッチを押すと、他の同アイテムに光と音で緊急を知らせ、

    かつその居場所を、針の向きで教えてくれる効果がある。

    ただし、2つ以上同時にスイッチが押された場合、

    最後に押されたものが優先され、先のものはキャンセルされる。

-------------------------------------


 そんな緊急と居場所を教えてくれるっていう、ぼくお手製のアイテム。

 見た目はストップウォッチっぽいシルエットで、方位磁石みたいな針が付いてる。

 そして時計の竜頭っぽいボタンを押すと、他3つの同じアイテムに、ぼくの緊急事態と居場所がわかるって仕組みです。


(おお急ぎでつくったカンタンなヤツだったけど、役に立ってよかった)


 だからもちろん、アイナママだけじゃなくて──


「両断せよっ【御名方(みなかた)】!」


 光り輝く水の一筋! その【ウォーターカッター】が、ぼくらに襲いかかろうとしていたネメアンライオンを迎撃する。


 ガァァァァァっ!


 けど、そのカラダに当たっても切断されることはなく、

 逆に咆哮の衝撃波で、その魔法を打ち消してしまった!


「お、遅れてすみません!」

「アルタムさん それに、そのひとは?」


 すでに【エルフィー・ウンディーネ】の姿のアルタムさん。

 けどその後ろには、ぼくの知らない女性冒険者、剣士さんがいた。


「あ、このヒトは──」

「アマーリエですっ クリスくんっ アプリルさんっ」

「えぇぇ!」

「私、クリスくんが狙われてるって聞いて、心配でっ」


 あっ そうかっ

 アマーリエさんは悪霊に、この剣士さんのカラダと替えられちゃったのか!?

 だけどその時、


「ね、ネメアンライオンっ 先に聖女を始末しなさいっ」

「──っ! させないっ! 【風樹嘆(ふうじゅのたん)】っ!」


 ブワっ!


 ぼくの放った風魔法が、ネメアンライオンを突風でなぎ倒す!

 けれどその瞬間──


「あぁっ アマーリエさん!」


 悪霊はアマーリエさんのカラダのまま、屋根の上から身を投げた!


「間に合えっ!」


 ぼくは俊足のスキルを発動し、その落下地点に向かって駆ける!

 そして風の精霊を呼び集めて、その落下スピードを堕とす事に成功した。

 けれど、


「あ、あれ? アマーリエさん?」


 受け止めたカラダを揺らしても、ぜんぜん起きる気配がない。

 そのとき、


 ぱぁぁぁっ


 ぼくの腕の中のアマーリエさんのカラダが、暖かな光に包まれる。

 そして気絶している神官さんと、こっちに駆け寄ってきた女剣士さん。

 その3人のカラダが光り輝くと、剣士さんが地面に崩れ落ちた!


「ちょ、大丈夫ですか!」

「く……クリス、くん?」

「えっ アマーリエさん、ですか?」


 ぼくの腕の中のアマーリエさんが目をさまし、そういったんだ。


「ええ、今のは【リターンスピリッツ】、正しき身体に魂を戻す呪文です」

「あ、アイナさんっ」」


-------------------------------------

【リターンスピリッツ】

 種別:神聖魔法

 状況:常時

 対象:術者、対象者

 効果:神々の神聖なる慈悲の力で、対象者の魂を正しい身体に戻す魔法。

    ただしその身体と魂が、範囲内に揃っていなければ発動しない。

    また正しい身体と魂の組み合わせを、意図的に入れ替えることは不可能。

-------------------------------------


「アマーリエさんたちは、まだ身体を入れ替えられたばかり、ですから急ぎ魂を戻したのです」

「え? じゃあ、」

「ですが、どうやら悪霊はアマーリエさんの身体を捨てて、逃げたようです」

「そう、なの?」

「ええ、屋根から堕ちる寸前に、逃げる気配を感じました」

「アイツめぇ」

「それよりも、今はあの魔物を!」

「そうでした!」


 見れば、アルタムさんが【御名方】(ウォーターカッター)で攻撃しつつ、アプリルさんが風防壁を張ってフォローしてる。

 けど、水の魔法はどうあっても【物理攻撃】。

 さっきから何度も当たっているのに、決め手になってないみたいだ。


「あ、アルタムさんっ 今助けに──えぇ!」

「え、私──」


 ぱぁぁぁっ


 ぼくに抱きかかえられたアマーリエさんのビキニショーツがっ

 さらに面積少なめの、きわどいモノに変化して──


「これって、変身ヒモパン!?」


 そしてアマーリエさんのカラダが、虹色の光に包まれ──


「火の精霊! 火の元素を司る、情熱の紅き炎! エルフィー・サラマンダー参上!」

「火にかわってぇ、断罪しますっ」


 きゅぴーん☆


挿絵(By みてみん)


「姫巫女さまぁ♪ また巡り会えましたわっ」

「アマーリエさんまで、【四人の乙女たち】なのぉ!?」

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