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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第2章 ルシアママは、エルフの魔法騎士
59/92

059 異常事態だよぉっ これぇ!!

 パッ

-------------------------------------

 【HP】(ヒットポイント)の枯渇を確認。

 【逆境忍耐(ペイシェンス)】を発動します。

-------------------------------------


 ぱぁぁ、

 バチンッ!


「かはっ!」


 パッ

-------------------------------------

 勇者魔法【逆境忍耐(ペイシェンス)】が発動しました。

 対象者の意識覚醒を確認しました。

 現在、HPは【10】に回復しています。

 ステータス異常、【毒】を検知しています。

 速やかな対処をお勧めします。

-------------------------------------


「い、いったいなにが──んくっ」


 目を開けただけで激しいめまいがして、気が遠くなる。

 まっくらな視界──というかぼくの頭の中に、【万物真理(ステータス)】からのメッセージだけが、真っ赤な文字で表示されていた。


「うぅっ HPが、10しかない? く…… えっ? 【逆境忍耐(ペイシェンス)】が発動してる? なんで──」


-------------------------------------

逆境忍耐(ペイシェンス)

 種別:勇者魔法

 状況:常時

 対象:術者

 効果:MPを消費する事で、HPを【10】まで回復することができる魔法。

    攻撃によるHPの枯渇、もしくは即死魔法を受けた際に自動発動する。

    発動時には術者の意識を強制的に覚醒させ、戦闘の継続を可能とする。

    なお発動にはMPが必要で、MPがゼロであれば発動不可となる。

-------------------------------------


「しかも毒? な、なんで、うぐっ」


 なにがなんだかわからない。けれど死にかけてる、それだけはわかる。


「くっ【異空収納(インベントリ)】!」


 ぼくは目を閉じたまま【異空収納(インベントリ)】を発動させ、右手をさしこんだ。

 そして中から小ビンをとりだし──


「ぷあっ!」


 じぶんのお顔にぶっかけたんだ。


 ぱぁぁ、


 ぼくのカラダを暖かい光が包みこむ。

 激しかった息が落ち着いてきて、すうっと楽になるのを感じた。


「はぁぁぁっ たすかっ、たぁぁ」


-------------------------------------

【ハイパーマルチポーション】

種 別:マジックアイテム

制 限:1回のみ

価 値:金貨30枚

性 能:この薬を服用、もしくは身体に振りかけることで、

    対象者のHP及びMPを全回復、さらに麻痺、眠り、混乱、毒、呪いなど

    あらゆる異常状態を解除する事ができる。

    なお効果は1人のみで、一度に全量を使用する必要がある。

-------------------------------------


 ぼくが使ったのは、全回復するマジックポーション。

 いわゆるゲームなんかでいう【エリクサー】。


「はぁっ はぁっ ゆ、勇者時代もっ いちども使ったこと、なかったのにぃ まさか、こんなところで使うなんて……でも、おかげで助かった、はぁぁぁ」


 前世の魔王討伐のとき、手に入れたは良いけど?

 けっきょく使わなかったんだよねぇ

 だから【異空収納(インベントリ)】に、前世から入れっぱなしだったんだ。


「ぼくゲームとかでも【もったいなくて使えない派】だったから──って、アプリルさんは!」


 覚えてるのは、アプリルさんが【毒】を飲んだ、そういったこと。

 そしてぼくにキスをして──


「【万物真理(ステータス)】っ! アプリルさんはどこっ!」


 パッ!


 ぼくのアタマのナカに、レーダーがあらわれて──


「って、レーダーのまんなか? ココにいるのっ?」


 慌てて立ちあがるぼく。

 HPも全快したし、毒の効果はもうないからなにも問題ない。

 はずだったんだけど──


「えっ! なにこれ、高い!」


 明らかにいつもの視界より、高くなってて──


「えっ? えっ? っていうか、なんでぼくっ スカート履いてるのぉぉぉ!」


 しかも見覚えのある赤いチェック柄、そして首にリボンを結んだブラウス。


「まま、まさかっ!」


 慌ててぼくが窓のガラスにお顔を映すと──


「ぼぼっ ぼくっ アプリルさんになってるぅぅ!?」


 ◇◆◆◇


「あうぅぅっ 走りにくいぃぃ!」


 ぼくはいま、アプリルさんのカラダのまま、神殿に向かって走ってるんだ。

 だけどいつもと背の高さ、そして脚の長さがちがうから、とにかく走りにくい。


(それにぃぃっ おっぱいが、こんなに揺れるだなんてぇぇ!)


 この世界にも【ブラ】はあるけれど? それはあくまで【ビキニ】のブラ。

 現代日本の【全体を包んで寄せあげる】っていう機能はかなり低い。

 しかもアプリルさん、おっぱいが意外と──


(アマーリエさん級とまではいかないけど、アルタムさん級くらい? アプリルさん日本なら高校生だし? けっこう大きいほうだよねぇ)

「ってぇ それどころじゃないんだってばぁ!」


 ぼくは両手でおっぱいを押さえながら、ひたすら走る。


(とにかく、認めるしかないっ いまのぼくが、アプリルさんのカラダになってること!)


 そして【万物真理(ステータス)】でみたぼくの名前も──


-------------------------------------

・名 前:アプリル(エルフ)

・性 別:女

・レベル:LV22

・状 態:正常

                            下画面があります▼

-------------------------------------


「って、なってたしぃぃ! しかも【正常】ってなにっ? 異常事態だよぉっ これぇ!」


 思わずおっきな声で叫んじゃう。

 そしたら──


「あっ いたっ!」


 そのぼくの視線の先には、あろうことか【ぼく】がいた!


「やっぱりぼくとアプリルさんのカラダが、入れかわったんだ! 止まって! アプリルさ──ん? ぼくだからクリス?」


 そんなぼくの声に、ぼくのカラダが立ち止まる。

 そしてこっちを振り向くと──


「えっ どうして死んでないの?」

「や、やっぱり殺す気だったの!?」


 ぼくのお顔で、ぼくの声で、ぼくみたいな話し方でおどろく【ぼく】。

 けれど【ぼく】は背中を向けて、裏路地へ逃げていった。


「くっ 逃げたって、こっちにはレーダーがあるんだ!」


 けれど、【ぼく】はそこで待ち構えていたんだ。

 剣を構えて。


「どうやってあの毒を解毒したのか知らないけど? ぼくとしては【アプリル】さんに生きてられると、困っちゃうんですよね」

「ぼ、ぼくの姿と声で、なんてことを!」

「だからちょっと痛いかもだけど、死んでくださいね? アプリルさんっ」

「なっ」


 そういうと【ぼく】は剣を構えて、ぼくに斬りかかってきた!

 ──けど


 ヘロヘロ~


「あうっ」

「……え?」


 すっごい【へっぴり腰】で、カンタンに避けられちゃいました。

 そして何回かまた襲ってきたけど?


「ハァっ ハァっ な、なんなのっ! このカラダっ 【二つ名】持ちの冒険者だって聞いてたのにっ まるでシロウト! ぜんぜんダメじゃないかぁ!」

「えー」


 完全に息があがってる【ぼく】。

 ええと、なんでそんなに弱いの?

 ぼく、【タフクの塔】だって攻略済みですよ?


「ええと、とりあえず確保ぉぉ!」

「ふぐっ!」


 ぼくは【ぼく】の後ろに回り込むと、その首に腕を廻して、きゅっと締めた。

 無手でも【格闘術:LV77】【体術:LV82】【暗殺術:LV85】のスキルがある。

 そんな絞め技を喰らって、あっけなく落ちる【ぼく】。


「とりあえず、なにか縛るもの……あった!」


 【異空収納(インベントリ)】から縄を取り出して、手足を縛る。

 そしてそのカラダを抱きかかえて、歩きだしたんだけど、


「うわっ 軽いなぁ、ぼくのカラダ。それにしても、なんだかこれ」


 路地の窓ガラスに映るぼくの姿は、

 まるでコドモをさらう、女子高生の誘拐犯みたいだった。


 ◇◆◆◇


 そして、案の定、


「あっ アプリルさん? ご無事で──ええっ! クリスをどうする気ですか!」

「ちがうんだっ アイナママ!」

「貴女に【ママ】と呼ばれる覚えはありませんっ」

「そんなぁ!」


 神殿の前を通りかかったとき、アイナママと鉢合わせちゃって──


「ともかく、クリスをこちらに渡してくださいっ」

「ち、ちがうんだよっ アイナママっ ぼくがクリスなのっ」

「は? アプリルさん、やはりなにか悪いものでも食べて──」

「ぼ、ぼくがアプリルさんにっ カラダを入れ替えられちゃったの!」

「入れ替える? そんな事が、できるのですか?」

「うぅ ぼくもなんでかは、わからないよっ けど、アプリルさんがヘンな術を使ったせいで、こうなったんだ!」

「し、信じがたいですっ」

「ですよねー でも信じてぇっ」


 とにかくアイナママに、信じてもらわないことにはどうしようもない。

 そんなふうにぼくがオロオロしていると、


「では、お伺いします」

「貴女が本当にクリスだと言うなら、わたしの問いに答えられるはずです」

「わ、わかったよ、アイナママっ」

「く、話し方だけはクリスに似て──では、わたしの【娘】の名前は?」

「レイナちゃんっ」

「正解です。では、あなたの【ご両親】の名前は?」

「ええと、【産みのママ】のステラママ、【義理のママ】のルシアママ、【育てのママ】のアイナママ、パパの名前は知りませんっ」

「せ、正解です、お父様の名前は、引っ掛け問題だったのですが」

「だったら!」

「ですが、ルシアから聞いていたのかもしれません」

「そんなぁ!」


 たしかにその可能性もあるけどぉ

 アイナママ、慎重すぎるぅぅっ


「では──」

「ええと、きのうの晩ゴハンはハンバーグ、おとといは肉団子のスープ! きのうはレイナちゃんが1回おかわりして、ルシアママは2回してた!」

「な、なぜそれを」

「ぼくがクリスだからだよぉ!」

「で、ですが──」

「だったら! ゆうべの【レッスン】は、まずアイナママがぼくの上になって」

「な──」

「つぎはおくちでキレイにしてくれてから、おっぱいでもして」

「ちょ──」

「そのつぎはうしろからっ そのつぎは──」

「わ、わかりましたからっ お願いだからやめてぇぇっ」


 アイナママ、お顔をまっかにしてへたりこんじゃった!

 でもなんとか説得、できたのかなぁ?


 ◇◆◆◇


「と、ともかく、貴女の言う事が事実であることは認めましょう」

「あっ ありがと──」

「ですが最終的な判断は、クリスが目覚めてからです」

「そんなぁっ」


 そして【ぼく】のカラダはアイナママに奪われて、お膝の上に乗ってるんだ。

 確かに目覚めてみないと、中身がぼくじゃないなんてわからないしなぁ。


「でもっ そっちの【ぼく】は、ぼくに斬りかかってきたんだよ!」

「それは、貴女がそう言っているだけかもしれません」

「で、でもぉ」


 そっちの【ぼく】が目覚めたら、いったいなにをするかわからない。

 それでもいちおうぼくを信じてくれるのか、両手両足を縛ってる縄を外すのは待ってくれてるみたい。

 だけど、


「え? なにあれ?」

「よくわからないけど、アイナ様とクリスくんと、ほらっ あっちのエルフのコ」

「なにあのコかわいいっ」

「エルフってホント美形しかいないのね~」

「って、なんでクリスくん縛られてるの?」

「わかんないけど、あのエルフのコと関係あるっぽい?」

「もしかしたら、クリスくんのカノジョ?」

「ルシア様が選んだ【許嫁】(いいなずけ)、とか?」

「「「「きゃぁぁぁんっ♪」」」」

(うぅ、すっかり人が集まってきちゃった)


 ぼくたちは冒険者ギルドの前にいるんだけど?

 ぼくたちの周りは遠巻きに、たくさんの人たちが集まってる。


「うぅん」

「クリス? 大丈夫ですか?」

「あ、アイナママ? なんでぼく──え? 縛られてる?」

「え、ええ」

「なな、なんでぇ!」

「あ、あなたにはアプリルさんと入れ替わっている容疑があります。ですので、それが晴れるまでは──」

「ひっ ヒドいよぉ! アイナママぁ! ぼくを、信じてくれないの?」

「あぁっ クリス」

(ちょっ!)


 ぼくの姿でそう言われ、アイナママはすごく揺れてるみたいだった。

 そんなあっちの【ぼく】は目を潤ませて、アイナママを見つめてる。


(いけないっ このままじゃ、アイナママが堕ちちゃうぅぅっ?)


 と、その時──


「あっ アイナママっ!」

「え?」


 思わず叫んでしまたぼくを、アイナママは振り返る。

 けれど、ぼくが叫んだのは悪手だった。

 なぜなら、アイナママがこっちを見てしまって【それ】に気づけなかったから。

 あっちの【ぼく】の目が、赤く光っていることに。

 あのアプリルさんと入れ替わったあの時と、同じように──


(いけないっ)


 【ぼく】がアイナママにキスっ しようとしてる?

 そんなぼくが駆け出そうとした、そのとき──


「ダメぇぇぇっ!」

「えっ?」


 どんっ


「んちゅぅぅぅっ」

「んむっ!」


 人垣のなかから飛び出してきた女の人──若いメイドさん。

 アイナママのお膝の上から、あっちの【ぼく】を突き飛ばして、キスしちゃった!?

【おっぱい番付】

 21年3月場所時点


横 綱:ミヤビ   「あぁっ 見られてるぅぅ あふん」

大 関:アイナ   「は、はずかしい、です、うぅ」

関 脇:ルシア   「ん? 見られて恥ずかしい身体はしていないぞ?」(どやぁ)

小 結:クラウ   「防御力アップの為とはいえ、理解し難い文化だねぇ」


前 頭:アマーリエ 「は、ハリとカタチには自信がありますわっ」

十 両:アルタム  「だらしないカラダでごめんなさいぃぃっ」

三段目:アプリル  「いつかルシアさまと釣り合う為に、がんばりますっ」

序二段:ミラ&マハ 「「決して小さくないはずなのにこの順位、()せぬ」


序ノ口:レニー   「ふふ、燃え尽きたよ、真っ白にね」

番付外:レイナ   「ぐぬぬ、わたしほんとうにママの子?」

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