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第二王子アレックス殿下の男子会(不定期)

子供を産めない事で中傷を受ける表現が、少し入ります。今のクルシェ達では無く親世代の話ですが、そうゆう話は嫌だと思われる方は、この話は飛ばして下さい。

昼間…クルシェ嬢と分担した封筒の宛名書きを終えた俺は、ムクムクと顔を覗かせる好奇心から、レイナード公爵のタウンハウスを訪れた。

彼女より少し割り当ての少なかった俺は、自分が先に終えている事を確信している。ただ、ほんの少しの差なので、彼女もそろそろ書き終わるだろうと思っての行動だった。

対応に出た執事が止めるのも構わず、彼女の居る執務室へと踏み入った。

彼女が執事を見る様子に、騎士ギースに似た面差しで兄と察するが、言葉無きやり取りに、じりじりとした気持ちが生まれる。

俺は、手土産にと持ってきた花を、早く受け取れとばかりに割って入る。

執務机に座り俺を見上げる瞳は、明らかに不満を浮かべている。

伏した目で、「淑女たるには…」と言われたが、学園の制服で無い、ドレスでも無いその姿は、シンプルなデザインながら、とても可愛いと思った。だから「可愛い」と言った。

が、自分で言って何なんだか…俺の方がテレてしまった。急いで花を受取れと催促する。

仕方無いと立ち上がった彼女に、押し付ける様にして花を渡したどさくさにその手を取る。暖かくて細い指先。ダンス会の時の冷えて強ばる指先を思い出し、その暖かさに安堵した。

一体俺は、何をやっているんだろう?  恥ずかしい事この上無い。




来客が来ていては終わらないからと早々に帰される事となったが、王宮に帰れば間もなくと、レイナード家から記入済の封筒が届けられた。

既に俺の書き込みを待って梱包の作業場になってしまっていた俺の執務室で、刺繍のイニシャルと宛名を確認し、最後の梱包作業が終わろうとしていた。

比較的に早く終わった…。なら、もう少しお茶の相手をして貰っていても良かったのでは? と思う。


「アレックス様。リストの確認も終わりました」

「こっちも、配達の振り分けがおわったぞ!  王都のみだから、明日中には終わる」


レインとイヴァン。

数日の地味な作業から解放されて一段落と、口調も軽い。

俺も、承認の必要書類へのサインを終えるとこだった。丁度いい。今日は終わりだ。


「食事は何方でなさいますか?」


気付けば、そんな時間だ。

何時もの流れなら、此処でそのまま軽食をとゆう事もあるが、俺は部屋でとる事にした。此処でも部屋でも、二人も着いてくる。


心得た様に、レインが執務室を出て行った。

俺も執務室を出る。当然とイヴァンも着いてきたが、何故かしたり顔だ。


「何だよ?」

「断られたな」


何を…パートナーだよ。イヴァン言いたい事は分かった。


「それが?」

「残念だったな」

「…本当だ」


そのままの心情で答えたのに、イヴァンは目を見開くと、にやりとした。


部屋でといったが、自室では無い。王子と側近の食事室…談話室か?

俺が16歳になったと共に王子宮から出て王宮の西の棟に部屋が移された。同じく側近(内示)のイヴァン。一年遅れでレインも、俺の並びで部屋を賜った。 共に政務に慣れて行けとゆう事だろう。

指示を終えたレインが戻り、イヴァンがちょっとと自室に立ち寄った。

エドガーも王子宮を出て政務の手伝いを始めていれば、側近候補と共に自覚をもつ事が出来ていただろうと思った。王族として、自覚の無さには、弟ながら閉口だが…教育と実践は違うのだと知ったのは、此処に移ってからだった。俺だって、初等科の頃はあんなもんだっただろう。


料理を運び込む給仕の横を通り抜け、座る。

一品ずつ運び込むのでは無く、最初から料理をテーブルに並べて貰う。

途中出入りされると、気安く話も出来無いからだ。

料理が一並びした頃、イヴァンも合流。兎に角食べよう。


「アレックス」


粗方の料理が胃袋に消える頃、イヴァンが口を開く。

別に、黙って食べるのがマナーとは言わ無い。単に、腹が減っていただけだ。


「あの日。王宮に戻った時、ヴァイス将軍と二つの師団長が居たのには驚いただろ?  まぁ、関係者と言えば関係者だったんだけどな…」


言葉を切るイヴァン。

確かに驚いた事ではあった。俺が報告へと陛下の前に立った時、既にその場に揃ってたのだから。「何で居るんだ?」と、口には出さなかったが、疑問であったのは確かだ。

一人は第一師団長なので、護衛の関係から報告が行ったと考えれば、そう不思議な事では無いといえる。が、そこに将軍位を持つ者と、第二師団長が揃えば、どんな国の一大事かと怯んだ俺は悪くない。クルシェ・ジス・ハレス・レイナードの親族。異母繋がりと知った今ならばだが、分からない内の威圧は勘弁して欲しかった。

それで? と、先を促す。


「将軍と騎士団とクルシェ嬢の関係!」

「異母繋がりだろ?」

「それだけであの場に揃ってられた事が脅威だろ?」


言われてみればと頷く。


「第一師団長のロイス・ジス・ギースが、分かつてるだろうけど異母兄の伯父。第二師団長のルイス・アンバースは妻が異母姉で、義兄!」


そこでな…と、騎士団の絡む話が始まった。


ルイス・アンバースの妻、ロレイン・アンバース。

彼女が16歳の時…夏の王宮舞踏会の前、春先の王宮茶会の時に起こった一件から…。

初等科を卒業したロレイン。中等科に進む話もあったが、在学中の嫌がらせにより断念。卒業後は寮を出てレイナード家の中の別邸に戻ったが、彼女を妻にでは無く愛人にと望んだ男が押し掛ける。断ったが、押し入り連れ去ろうという事まであった。使用人以外は、ほぼ子供のみ。父親のハロルド・アーデンテスは国内視察で留守。当時、第二師団に所属していたグレイ・ギースが、同僚の騎士と共に屋敷を守り大事を防いでいた。護衛の仕事としてでは無く、休みの者が自発的に協力をしたらしい。その中の一人が、ルイス。

そして四月始めの王宮茶会。ロレインを何としてでも手に入れたい男は、冤罪をでっち上げた。令嬢として傷が付けば、行く宛ての無い令嬢の一人、手に入れるのも簡単との考えからだ。

事は男の自滅で終わる。

視察から戻ったハロルドが、嫌がらせの証拠から、不正を行なっていた事実までを、王宮茶会のその場で暴露。学園で嫌がらせをしていた者達は、共に不正を行なっていた家の者達だった。それぞれの家の指示で、行なっていたとは言っても、学生としても悪質だったと判断される程苛烈であり、下された罰は相応に重いものだったそうだ…。

その中で育まれたのが、ルイスとロレインの恋。

異母姉や自分達を守る為に屋敷に寝泊まりしていた騎士は、当時9歳のクルシェ嬢にとって頼もしい兄達だったとゆう事だ。


「因みに、結婚前のロレイン嬢の家名はエルンスト!!」


どうだと言わんばかりに得意げだ。

俺もビックリだ。

エルンストは北方伯の家柄だ。北方の領地の先には騎馬の民が暮らしていて、数年に一度は大きな衝突がおこる。そこの守りを固める一族である以上、伯とはいえ上位貴族に他ならない。陥れたって、手に入る家の娘では無い筈なのだ。


「どうしてエルンストの娘が、クルシェ嬢の異母姉になるんだ?」

「あぁ、それはやっぱりハロルド・アーデンテス!!」


イヴァンは、ここ大事とばかりに人差し指を立てる。


そもそも父親は、ハロルド・アーデンテスで間違いは無い。なら母親は…という事だが、エルンストの者では無い。それでも、名家と言われる程に古くからある伯爵家の娘だった。その娘は嫁いだものの、子の出来無い事を理由に婚家を出される。離縁だ。実家に戻ったが、気分転換にと家族に誘われ出掛けた先で、元夫と妻に収まった愛人と出会した。そして衆目の中、子供も産めないくせに公の場に顔を出すとは恥知らず…とか何とかと、難癖を付けられた。相手は公爵家だったのもあり、言い返すのも家族に迷惑が掛かると言葉を飲み込んでいた時、レイナード家と婚姻を結ぶ前のハロルドが言葉を掛けた。

「私の子供を産んでくれ」と。結婚の申し込みで無く、文字通りの意味で。

その後ロレイン嬢が産まれ、何時の間にかエルンストと再婚していたのだという。


「何でレイナードの中の別邸でロレイン嬢が暮らし始める事になったのかは知らないが、ロレイン嬢とエルンストの関係は良好らしいぞ?  だから、どうしてロレイン嬢が後ろ盾の弱い令嬢と思われのかが謎だ。だけど、因縁か恨みかな? 元夫の公爵家は傾いて伯爵位に、その一族の男がロレイン嬢に執着したんだと聞いた。エルンストとハロルドの報復で没落取り潰しになったけどな」


言われて、傾いた公爵家から伯爵…取り潰しと、思い浮かべてみる。数年前に一つあった。


「凄いな」

「凄いだろ?  聞いてて耳を疑ったよ」

「あぁ…色んな意味で凄いよ」

「で…その時の騎士連中の独自の伝達網で第二師団から将軍まで伝わった」

「どれから詳しく聞いたらいいか」

「詳しく聞かれたって困るぞ?」

「手強いな…」


もう一度とパートナーを申し込んだ時、一歩下がった彼女を掴まえたくて手を伸ばした。緊張に体が強ばったのに気付いたら、触れるのが躊躇われた。

自分に苦笑いだ。


「お父様がお許しになったならば」


彼女の言葉で断られ無かった事が嬉しかった。「お父様」に、選択を委ねたのなら、少しは望もあるかもしれないと浮き立つ。

ただ、彼女の中に入り込むのは…難しそうだと感じる。


「本当に手強い…」


無意識に言葉になる。

イヴァンもレインも、俺の様子を伺ってる。無言の微妙な雰囲気だ。

そう言えばと、何かを思い出したレイン。

何だと聞けば…これまた、思いもしない事だった。


「うっかりしてました。そのハロルド・アーデンテスですが、夕刻には屋敷に入ったそうです」


爆弾だ!!

二三日の猶予があるかと思っていたが、話を聞いただけでも破天荒さに度肝を抜かれる気がするのに…。

俺は、助けを求める様にイヴァンを見た。

見たが、イヴァンも俺に返す言葉も出ない様だった。







今回も読んで頂きありがとうございました。

週にせめて2話は更新出来るように頑張ります!!


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