闇の中の風
「漆黒に眠れ…死の悪夢!」
私の突き出した右手から闇色の魔霧が発生し、目の前の魔人を捕らえようと動き始める。
「妬けちゃうわ…そんな良い力を人間が持ってるんだもの…」
魔人がそれを避けようと右足を浮かせる。
私はその隙を狙って左手を振り払っていう。
「逃がさない…行け…駆ける斬撃の獣!」
私が左手を振り払った事で発生した小さな風が鋭い獣へと姿を変えて浮いた魔人の足を斬り裂く。
「痛い…痛くて痛くて妬けちゃうわ…なんで貴方みたいなチビガキがそんな力を持ってるのよ…嫉妬しちゃうわ。」
「言ったよね?私はこう見えて姉のウィンディーネよりも強いから素直に暗黒巫女を諦めてくれれば命は助けるってさ。それを無視してやってきたのはそっちの方よ。今更、嫉妬なんてしてんじゃないわよ。」
「フフッ…ムカつくガキね。所詮食われるだけの神が偉そうにしちゃって…その心に嫉妬しちゃうわ…」
暗黒巫女が3歩歩いて言う。
「貴様は一つ勘違いをしている。私はまだ神の力を使っておらぬぞ。」
「なんですって?」
魔人が驚いた様に目を開く。
暗黒巫女がまた3歩歩いて言う。
「対象捕捉…我が命令を実行せよ死になさい。」
「ッ?!アア?!ガアアアアアアアアアアア?!」
暗黒巫女が苦しむ魔人に近寄って言う。
「無駄な抵抗はしない事ね。貴様の能力と私の能力では相性が悪いわ。他の魔人なら私も暗黒神の力を使わなければならなかったでしょうね。貴様の能力は"対象を意識しなければ発動出来ない"一方、私の能力は"対象が自分か味方を意識していれば発動可能"なの。これが貴様の敗因よ。」
「バカな…バカなバカなバカなバカなバカナアアアアアアアアアアアア………………………………………………」
魔人の息の根が完全に止まる。
暗黒巫女は扉の方を向いて言う。
「今日は客人が多い…が、こやつは放っておいても問題なかろう。して、風神よ…」
「何かしら?」
「そなたにやってもらいたい仕事があるのだが…良いかな?」
「あら、人間が神に指図するつもりかしら?」
「無論、そなたが拒否するなら世は滅びに着くのみだが?」
「ふふっ…それは困るわね。」
「何、そう難しい事では無い。時の神殿に使いを頼まれてもらいたいのだ。」
私は少し考えて言う。
「いいわ。頼まれてあげる。ただし、条件があるわ。」
私がそう言うと暗黒巫女が意味ありげに笑いながら言う。
「ほう…申してみよ。」
私は暗黒巫女の目をしっかりと捉えて言う。
「絶対に死ぬんじゃないわよ。あんたは神の力が無くても神に匹敵する力を持ってんだからね。」
暗黒巫女はクスクスと笑いながら言う。
「容易い事よのう…安心して行ってくるがよい。私は間違いなく最強なのでな。」
私は神殿の裏口から出て真っ直ぐに時の神殿に向かう。
後ろでは暗黒巫女が戦っている様子がわかる。
「絶対に助けるんだから…」
ポツリと言葉を零して全速力で時の神殿に向かう。
フィリアムはゆっくりと目を閉じて言う。
「さぁ…新たなる神よ…神として目覚める時です…リア、全力で来なさい。人狼の少女と共に我を超える事が出来たなら、神は覚醒するだろう。フィリアム・オクロウルが力とくと見定めるが良い!」
俺は魔剣を精製し、ナディーは魔力を高める。
「そういう事なら全力で行くぞ!」
「ナディーも…頑張る…魔導拳…解放!」
フィリアムが目を開いて言う。
「我が声、我が時、我が世界…この世に焼き付いた時を貪り喰らえ!発現せよ…時械神世界!」
いよいよ、リアたちの物語が動き出しますっ!
いつまでも回想だと面白くも無いかなとっ!(おい)
それではまた次回っ!
お楽しみにっ!
…「っ」多いな。