魔神との出会い
「リア様、おかえりなさいませ。」
アリアスが城門前で俺を待っていた。
ノワールはアリアスに気品のある礼をしながら言う。
「初めまして、美しいお嬢さん…私はノワール…よろしくね。」
アリアスはノワールを見て言う。
「貴方がノワール様ですね。私はアリアスと申します。貴方の噂は聞いてましたが、こんなに可愛らしい方とは思いませんでした。」
「ふふっ…どんな噂なのか気になるけど、悪く思われてないなら良かったわ♪これからは私の事もよろしくお願いするわね?」
「かしこまりました。では、私達の宿まで案内しますね。」
アリアスに案内されて、皆が居るであろう宿にたどり着く。
俺が扉を開けた途端にナディーがちぎれんばかりに尻尾を振って飛びついてきて言う。
「リア…!リアだぁぁぁぁぁぁ!」
「おわっ…と、危ないから勢いよく飛びつかないでくれよ。」
「だって…だってぇぇ…!」
ナディーの全力の抱き締めの力が強くて苦笑いしていると髪の毛がボサボサのフィリアムが降りてきて眠そうな声で言う。
「ふわぁ…煩いですね…」
フィリアムは俺に気がつくと言う。
「あ…貴方でしたか。」
「おう。俺だ。」
ノワールが俺の後ろから出て来て言う。
「こうして直に会うのは始めてね…私はノワール。よろしくね。」
フィリアムはボサボサの頭を掻きながら眠そうな声で言う。
「ああ、貴方があの王の娘さんですね。私はフィリアム・オクロウルです…よろしくお願いしm…ふわぁぁぁぁぁ…」
「おいおい…欠伸しながら言うなよ。」
俺が苦笑してるとノワールは少しだけ楽しそうに微笑んで言う。
「愉快な人ね。これからお世話になるつもりよ。」
「ん。わかりました〜…」
ナディーはまだ満足してないのか、ずっと俺に抱きついたままだったが、そのままノワールに顔を向けて言う。
「ナディー…よろしく。」
「ええ、よろしくするわ。」
一通りの挨拶が終わり、次の目的地を探しているとノワールが一番近いアニスフィーと言う集落を教えてくれたので、そこへ行く事にした。
「アニスフィーは正式な名前は無いけど、世界中のありとあらゆる情報が手に入るとされてるわ。様々な種族の獣人達が団結して暮らしてるみたいだけど、最も多いのは猫男族みたいね。最近は天使族も居るみたいよ。」
「ケットシーって事は、俺と同じ種族って事か…」
「正確には性別が違うのだけどね。リアなら、仲良くなれるかもね。」
俺たちはアニスフィーへ向かう為に急ぎ足でシルファリオンを出る。
門のところでアルテノンが待っていた。
「お?やっと来たみたいね。」
「アルテノン…」
俺とアルテノンは互いの目を見る。
アルテノンが静かに言う。
「君たちの旅が素敵なものになる事を祈ってる…」
アリアスが一歩前に出て言う。
「エフィルさん、どうかお元気で…」
「アリアスちゃん…ありがとっ!」
アルテノンはどこか寂しげな満面の笑みで言う。
ナディーがアルテノンの方へ歩き、そっと手を握って言う。
「また会う…」
「そうだね…また会えるよね。」
「うん…」
俺たちはアルテノンの横を通り過ぎる。
すれ違いざまにアルテノンが俺に言う。
「ノワールちゃんの事、よろしくね。」
「任せとけ。」
俺たちがシルファリオンの門を出ると遠くからものすごい速さで何かが頭上スレスレを飛んでいって、すぐ後ろの道に落ちた。
(ちゅどーん!)
土埃が上がり、まるで爆撃でもされたかのような音だったが、土埃の中からケホケホと咳き込みながら何者かが出てくる。
「勢いつけ過ぎちゃったわ…」
何者かの正体は銀色の長い髪が美しい妖狐の少女だった。
少女がアルテノンの方を向いて言う。
「そこのエルフちゃん、驚かせてごめんね?」
アルテノンは面食らった様に目を見開いてパチパチと瞬きをしていた。
少女が俺の方にニコニコと微笑みながら歩いて来て言う。
「お嬢さん、リアと言う名のケットシーナの居場所とかわかるかしら?」
俺は一瞬何を言われたのかわからなかったが、すぐに俺の事を聞かれたと理解して言う。
「リアは俺だが…」
「あら?そうなの?」
少女は面白そうに微笑みながら言う。
「私は妖狐のエイリスよ。」
エイリスと名乗った少女はそう言うと俺の両手を握って言う。
「私、貴方に興味があってきたの。」
「お、おう。そうだったのか…?」
突然の事で少し戸惑っているとエイリスはニコニコと微笑みながら言う。
「そう言う訳だから、貴方のパーティに私も加えてちょうだいね?」
エイリスはそう言うとテキパキとパーティ申請をして、あっという間に俺のパーティとして加入した。
アルテノンがハッと気づいたように言う。
「驚き過ぎて思考が固まってたけど、エイリスってあの"魔神エイリス"だよね?」
エイリスはニコニコと微笑みながら俺の腕に胸を押し付けるようにしがみつく。
「それは古の時代の私ね。今の私はリアのエイリスだもの♪」
ナディーが凄い顔をして見ていたのは見なかった事にしよう。
アリアスは何故か涎を垂らしていた。
「…では、貴方にも私たちと戦ってもらいましょうか?ね?ナディーさん♪」
フィリアムがナディーを見てニコッと微笑む。
ナディーは尻尾をピーンと立てて言う。
「うん…殺しちゃおう…」
エイリスは変わらずニコニコと微笑みながら言う。
「私の力を見定める…と言う訳ね…良いわよ♪相手になるわ!」
エイリスがアリアスの時の様な特殊なフィールドを形成する。
エイリスは左手を突き出し、3本指で言う。
「3分だけ、時間をあげるわ。それまでに私が貴方たちを倒せないか、私が一撃でもダメージを受ければ私の負けよ。」
ナディーが俄然やる気で言う。
「一瞬で終わらせる…」
「ふっふっふ…私を相手に時間指定ですか、いい度胸ですね!」
フィリアムもやる気なので止めようにも止まらなさそうだった。
ノワールが楽しそうに言う。
「ここで御三方の実力が見れるのね。楽しみだわ…」
アルテノンは呆れた様子でアリアスを見ていた。
アリアスはそんなアルテノンを気にする事もなく、大量のおにぎりを貪っていた。
エイリスが相変わらず微笑みながら言う。
「それじゃ、始めましょうか♪」
ナディーが真っ先に両腕の拳に雷を纏い、地を蹴ってエイリスに突っ込む。
「大いなる雷の一撃を!ボルテックスメテオ!」
ナディーが光速を超える速さで拳を突き出す。
「遅いですね。止まって見えますよ?」
エイリスはナディーの後ろで微笑んでいた。
フィリアムがニヤリと笑って言う。
「かかりましたねっ!時止め!」
エイリスの時が止まる。
ナディーが振り返り拳を突き出して言う。
「これでお終いっ!」
ズガーン!とエイリスに当たった拳が爆発する。
「呆気なかったですね。」
フィリアムがそう言うと楽しげな笑い声が聞こえてくる。
「アハハハ!今のは危なかったなぁ!さすがに時を止められたら、何も使わない訳にはいかなかったよ!」
いつの間にかフィリアムの背後には無傷のエイリスが居た。
そのままエイリスは膨大な魔力を使って言う。
「フィリアム・オクロウル、貴方のその力…この勝負の間だけ奪うわね?ドレイン!」
「んな?!」
エイリスが緑色の魔力を纏った左手でフィリアムに触れる。
フィリアムの体力が凄い勢いで減っていくが、フィリアムは抵抗出来ないで居るようだった。
ナディーがテレポでエイリスの後ろにワープして言う。
「隙ありっ!」
エイリスはナディーの雷の拳が当たる寸前でフィリアムから離れて攻撃を避ける。
「はぁ…はぁ…ナディー、助かりました。」
「あいつ…逃げ足早い…もっと本気出す…!」
ナディーは凄まじい灼熱と雷を放ち、雷桜神の力を発動させる。
エイリスは少しだけ懐かしむように言う。
「雷桜神の力…ねぇ…」
フィリアムも力を解放する。
「神羅万象の時を操る我が力…とくと見るが良い!時を破壊する真空派!」
フィリアムから見えない真空派が放たれる。
しかし、エイリスは動じることなく冷静に真空派を避ける。
「まだ…やるっ!桜花の花吹雪っ!」
ナディーが突き出した拳から燃え盛る花吹雪が放たれる。
「その程度…か…」
エイリスはポツリとそう言うと後ろに飛び退きながら魔力を高める。
「これで終わりよ…」
ナディーとフィリアムの周りに無数の黒い魔力の球が発生する。
「収束せよ…ダークネス!」
エイリスがそう言うと一瞬で黒い球がナディーとフィリアムを襲う。
あまりの速さと苛烈な攻撃にナディーもフィリアムも声を上げることすら出来ずに倒れる。
その様子を見てエイリスが言う。
「やっべ…やり過ぎた…」
特殊なフィールドが消えて、フィリアムが痛そうに起き上がる。
「いったぁ!なんなのよもう!あんた、少しくらい手加減しなさいよねっ!」
フィリアムの様な見た目をした少女が不満そうにエイリスに言う。
エイリスは特に気にする様子もなく微笑みながら言う。
「いいんじゃない?本来の姿を取り戻せたのだから…」
「あーのーねぇ!あたしは別にこの姿になりたかった訳じゃ無いのよ!」
フィリアムが不満そうにエイリスに詰め寄りながら言う。
「ぁ…ぅ…」
ナディーが震える足で立つ。
しかし、その瞳に光はなかった。
エイリスはそれを見て嫌そうに言う。
「…久しぶりね。」
ナディーはニヤリと笑って言う。
「まだ生きていたとはな…」
あ、書き忘れてたけど、ノワールの武器は刀です。
例えるなら、某海賊アニメの三刀流の剣士みたいな感じです。




