表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
11/20

世界に未来の贈物を…

「神羅万象全てを切り刻む雷よ…そして、神羅万象全てを焼き尽くす獄炎(ごくえん)よ…我が声に呼応し、この力をかの者にさずけたまえ…」


僕の雷桜神(らいおうしん)の力はお前に授けよう…

受け取るがいい…小さきものよ…

せいぜい僕を楽しませてくれ…






「この力は…!」


…………はそれを受け入れる。

これで…………も……と一緒に戦える…!













「我が名に呼応し、この身に宿り来たれ!ナディーは…リアを守るんだー!」


ナディーから凄まじい灼熱と雷が発せられる。


「雷桜神の力じゃと?!私でもそんなものは見た事ないぞ?!」


フィリアムが驚きのあまりに声を荒らげて言う。


「雷桜神…?」


俺がそう言うとフィリアムは灼熱と雷を放つナディーの方を向いたまま言う。


「コホン…雷桜神とは…通常なら、存在しないはずの神ですわ…雷神と炎神が同等の力で一つの存在に成った時にのみ発生する在せぬ神です。そして、あれは間違いなくフルパワーで一つの存在に成った雷桜神…まさに伝説級の存在ですわ…このままでは彼女も私も貴方も危ないですわ。」


フィリアムは翼を大きく広げて言う。


「とにかく、あれを止めてください。出来なければ二度とここからは出られず、永遠に死に続けるだけです。」

「止めるつったってよ…どうやって止めるつもりなのさ?」


俺がそう言うとフィリアムは言いにくそうに言う。


「彼女を殺すしかありません…それ以外で暴走した神を止める術はありません。特にあの神は強い思いに結びつきます。本人とは意図しない形でね…」


俺はゆっくりとナディーの方へと歩いていく。

フィリアムがそれを遮る様に光の柱を俺の前に発生させる。


「無茶は辞めてください。ここで死なれると困るんですよ。」


俺はゆっくりとその光に手をかざして言う。


「神の名において命ずる…我が歩みを邪魔するな。」


俺の行く手を阻んでいた光が消える。

フィリアムが驚いた様子で言う。


「あんた…一体何をしたんじゃ…」


俺はゆっくりとナディーに向かって歩きながら言う。


「俺の力を行使したまでだ。本来の俺には身に余る力だがな。」


ナディーは灼熱と雷を放ちながら俺の方を向く。

俺は構わずゆっくりとナディーに向かって歩いていく。


「グルルルルル…ガアァァァ!」


ナディーが虚ろな目で灼熱と雷を放ちながら飛びかかって来るが俺はそれを避けずに待ち構える。

ナディーの爪がすぐ目の前で振り下ろされる。


「ナディー…」


俺はただ静かにそう呟く…

ナディーはハッと我に返った様に虚ろな目を見開く。


「リア…だ…め……」


ナディーの爪が俺の頭を切り裂く寸前で止まる。

ナディーから発せられる雷と灼熱が収まり始める。

俺はナディーの身体を抱きしめながら言う。


「よく頑張ったな…」


ナディーは震える声で言う。


「どうして…ナディー…避けなかったの…死んでたかも…しれないのに…」


俺はナディーの身体を離して、目を見て言う。


「俺はナディーを信じてる。ナディーが俺の事を好きだって言う気持ちと同じだ。俺もお前も好きなやつを傷つける事はしねぇよ。絶対にな…だから、安心してお前を受け止められた。」

「バカ…でも、リアのおかげで元に戻れた。ありがとう…」


ナディーは涙を零しながら、力の抜けた様な声で言う。

それを見て見たフィリアムが言う。


「のう、人狼の娘よ…貴方の着ていた服は焼けてしまって、全裸状態なのですが…」


一瞬でナディーの顔が真っ赤に染まり、尻尾がピーンと伸びる。

ナディーは吹っ飛ぶ様に俺から離れて体を丸めて顔を隠しながら言う。


「もうお嫁に行けない…」


俺はナディーに上着をかけて言う。


「大丈夫だ。俺が居る。」

「リア…」


俺は自分の着ていた上着を脱いで気づいたのだが、上着のすぐ下がシャツだった。

着ていたものが違うくねと内心思っているとどこからともなくこんな事を言う声が聞こえた気がした。


「私の思い出の服だよ。君にも馴染みが深いんじゃないかな。」


俺はきっとシルクの事だなと思う。

俺はあっちで見慣れた服に懐かしさを感じる。


「何と言うことじゃ…リアの力も凄いが、あの人狼の娘は雷桜神の力をリアへの思いだけで従えてしまった…初めは暴走こそすれど、それを従えるなど並大抵の思いでは出来ぬ…我には到底辿り着けぬ境地よのう…」


フィリアムは想像以上の出来事に気が抜けた様な声で言う。

俺はフィリアムの方を向いて言う。


「フィリアムさんよ、そろそろ終わりにしないか?俺もあんたもこれ以上はもたねぇと思うぜ。」

「そう…ですね…」


フィリアムはそう呟くと自身の能力を解除する。

一瞬目も眩むような光が視界を奪い、目の前には「贈物」を使った場所の景色が広がる。


「リア…我は貴方を甘く見てました。初めて、あの子に神の力を授ける様にと言われた貴方を見た時、正直、こんな器の小さなやつが我の後継者だなんて嫌じゃと思いました。こんなやつに力を渡して死ぬくらいなら殺して死んだ方が良いとさえ…ね…」


フィリアムは申し訳なさそうに目を閉じて話を続ける。


「だから、試練と称して、貴方を殺そうと思いました。後継者が居なければ我の力は想像された相応しい者に受け継がれる…神が後継者を殺す事、それは神の死でもあります。故に殺して理想の者に力を渡そうと思っていました。」


フィリアムは目を開けて言う。


「ですが、先程の貴方たちを見て、我も考えを改めねばならないと感じました。そう…貴方の器はどこまでも広がる、言わば無限の可能性を秘めた誰よりも何よりも素晴らしい器の持ち主です…」


そして、フィリアムは一通り話し終えた後、頭を深く下げて言う。


「リア、これまでの数々の無礼をお許しください…そして、身勝手な願いとは存じ上げますが、どうか我が命尽きる前にこの力を受け取ってください…」


俺はフィリアムを見る。

そして…


「俺はあんたの力はあんたが使うべきだと思ってる。俺には俺の役割がある様にお前にはお前の役割がある。だが、それでもお前の意思で俺に力を渡したいと願うなら、俺はそれを受け入れよう。フィリアム、お前はどうしたいんだ。誰かに言われて力を渡したいと言うなら、それはお前の意思では無いぞ。」


フィリアムは頭を下げたまま黙り込んでしまった。

俺はその様子をただ静かに見守る。

フィリアムから小さな雫が落ちる。


「我は…我はまだ死にとうない…だが、我にはもうどうしようもないんじゃ…このまま何も出来ずに死ぬのは嫌じゃ…出来る事ならまだ生きていたい…私は…まだ何もしてないのに死にたくない…でも、神の運命はそれを許さないわ…だから、来世に期待しようと思うの…今度こそ誰にも縛られずに私の人生を生きたい…」


フィリアムはそれだけを言うと膝から崩れる様に泣き始めてしまう。


フィリアムもまた神の力を持ちながら人間だったのだ。

見た目相応の年頃の少女なのだ。

俺は一度死んでるから少しはわかるが、それでも想像以上の後悔と悲しみを抱えて生きていたに違いないだろう。


俺はフィリアムと同じ目線に腰を下ろして、フィリアムの頭を撫でて言う。


「じゃあ、俺が何とかしてやるよ。お前が死ななくてもいい方法を思いついたんだ。」

「ふぇ?」


フィリアムはマヌケな声を出して、涙でぐしゃぐしゃの顔を上げ俺を見る。

俺は立ち上がって言う。


「なあ、ナディー…俺の能力ってさ…なんだっけ?」


ナディーはキョトンと首を傾げて言う。


贈物(プレゼント)じゃない?それがどうかしたの?」


俺は空を見て言う。


「じゃあさ、こいつが生きるって言う未来をこの世界に"送り届ける(プレゼントする)事も出来る"んじゃないかな…」


フィリアムは驚いた様に目を見開く。

ナディーは何が言いたいか分かってると言いたげに言う。


「それは…よくないと思う…だって…それをしたら…リアは…」


ナディーはそれ以上は言いたくないのか黙り込んでしまった。

フィリアムもそれで気づいたようで勢いよく言う。


「だ、駄目ですよ!そんなの!私なんかの為に貴方が犠牲になる必要はありませんよ!貴方が居なくなったら誰が彼女を守るんですか?!」


俺はナディーとフィリアムを交互に見て言う。


「んや、俺は誰かの為に誰かが死ぬなんて結末(エンド)は嫌いだし、やらねぇよ。ただお前の生きたい未来をこの世界に届けるだけだ。俺も一度死んでるからな…もう後悔するなんて真っ平御免だし、死ぬなんて事二度と経験したくないね。」


俺はフィリアムの肩に手を置いて言う。


「世界よ…俺の声を聞け…今から俺はフィリアムの生きたい未来をお前に届ける…しっかり受け取れよ!贈物…発動!」


俺が能力を発動した瞬間、世界が大きく動く感覚がこの世界の全ての住民に感じられた。

それはやがて一人の少女の運命を変え、少女の望んだ未来を与える。

一人の少女はそれを自覚し、こう言ったのだ。


「あぁ…私はとんでもない幸せを手に入れてしまった…感謝の思いが満ち満ちて溢れかえります…ああ、神よ…私は貴方をどこまでも尊敬致します。」


その日、全ての生き物が新たな神の力を自覚したのだ。

そして、名もしれぬ、新たな神の力に奮い起つのだった…


「すみません!どなたか、この家にいらっしゃいませんかー?」


そんな声が小さな小屋に響く。

シルク・ザッハーク

種族:猫女族(ケットシーナ)

能力:???

詳細:リアと同じ姿をした魂の女の子。リアの神としての力の覚醒に手を貸す。

この世界にて誰もが崇める全能神レグラスを呼び捨てにするなど不明な点は多々あるがリアの力を最大限に引き出す手助けをしている存在。

作中に登場したのは今回が初だが、今までもリアの能力をフルで活かせるようにひっそりと活躍していた。

可能な限りリアの障害を取り除き、リアが動きやすい様にしていた。


ブラスライガン

種族:雷桜神

能力:雷の支配者(ライガロエム)炎の支配者(ブラスガルム)

詳細:本来なら存在しないはずの神。

そのためほとんどが謎に包まれており、雷神と炎神が同等の力でぶつかり合った時に誕生する事以外何も分かっていない。

ただし、必ず誕生する訳では無いので他にも条件があると思われる。

フィリアムはこれを両神が一つの存在になって誕生すると考えている為、作中では「雷神と炎神が同等の力で一つになって誕生する存在」だと言っている。

ただし、フィリアム自体は雷桜神を見た事がないらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ