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プロローグ デビューの日
「今年は八人の騎手がデビューします」
司会者が、そこで言葉を区切る。
一気に無数のフラッシュが、眩しいほどの白い光となって会見場を包み込んだ。
壇上には八人の新人騎手が横一列に並び、報道陣のカメラは誰一人として見逃すまいと、一斉にシャッターを切り続けていた。
「そして、中央競馬史上初となる、女性同期四人全員の騎手デビューとなります。どうぞよろしくお願いいたします」
司会者の言葉に合わせ、全員が揃って一礼する。
その姿だけで会場の熱気はさらに増し、あちこちからフラッシュが瞬いた。
「それでは質疑応答へ移ります」
最初に手を挙げた記者が、中央に立つ斉藤瞳子へ質問を投げ掛ける。
「斉藤騎手。史上初となる女性同期四人でのデビューとなりましたが、この結果を、競馬学校へ入学した日の自分へ伝えられるとしたら、何と声を掛けますか」
ほんの一瞬だけ、瞳子は隣へ視線を向けた。
凛とした横顔の鈴乃。
緊張から何度も深呼吸を繰り返す小町。
そして、カメラへ手を振りそうになって係員に小さく注意され、慌てて姿勢を正す星羅。
自然と口元が緩む。
「きっと、『毎日が、想像以上に楽しいよ』って伝えます」
その答えに、会場から小さな笑いが広がる。
瞳子の笑顔の原点は、一頭の馬の背中にあった。




