番外編『未来へ──』
【この物語は、かつて世界を滅ぼした少年が、もう一度だけ救いを選ぼうとする旅の記録である。】
世界を救ったからといって、
すべてが劇的に変わるわけじゃない。
王都の再建は、まだ道半ばだった。
人々は、それぞれに小さな生活を取り戻そうとしていた。
そして俺たちも──
「なあ、レオン!」
朝陽の差し込む広場で、ミレナが声を上げた。
「この鍬、どう使うんだっけ?」
彼女は、ふわふわの金色の髪をくしゃくしゃにしながら、
不器用に畑を耕そうとしていた。
「……柄を持つところから教えないとだな」
俺は苦笑しながら近づき、手を添える。
小さな畑。
種まきから始める世界。
「昔は、戦うことしか知らなかったのにな」
エリスが、腰に手を当てて笑った。
リュシオンも、笑いながら土をいじっている。
誰もが、
剣ではなく、
希望の種を手に持っていた。
「なあ、レオン」
ミレナが、土まみれの手をこちらに差し出す。
「いつか、この畑、いっぱいの花で埋めようよ!」
その無邪気な願いに、
俺は迷わず頷いた。
「──ああ、絶対に。」
未来を創る旅は、まだ始まったばかりだ。
かつて世界を壊した俺が、
今度は、この手で花を咲かせる。
仲間と共に。
何度でも。
終わりなき創造を、続けていく。
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「壊れた世界に、希望の種を──何度でも、何度でも、蒔き続けよう。」
◆あとがき◆
ここまで、『かつて世界を滅ぼした魔王ですが、今度は救ってもいいですか?』を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。
この物語は、
「たとえ過去にどれほどの罪があっても、人はもう一度だけ、未来を選べるのか」
という問いから始まりました。
レオンは、かつて世界を壊した存在です。
でも、壊してしまった過去に怯えながらも、
それでも誰かを救いたいと手を伸ばし続ける少年でした。
絶望と希望。
罪と赦し。
壊すことと、創ること。
この矛盾に満ちた世界で、
彼が選び取った未来を、少しでも一緒に見届けてくれたなら、
こんなに嬉しいことはありません。
そして、読者の皆さんもまた、
自分だけの「未来を創る旅」の途中にいるのかもしれません。
この物語が、あなたにとって、
ほんの少しでも、何か小さな力になれたなら。
そんな願いを込めて、
ここに物語を閉じたいと思います。
また、どこかの世界で。
あなたと、
あなたの創る未来に、幸あらんことを。
──ありがとうございました!
(ZEN)




