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4.SPの使い道

 朝の光があたりを照らしている。


 夜の間、俺は木の上に隠れていた。生きた心地がしなかったが、何とか朝を迎えることができた。


 何もただ隠れてたわけじゃない。この先、死なないようにするために、このSPをどう使うかずっと考えてた。


 ステータスを上げるか、スキルを強化するか、新しいスキルを取得するか。


 SPを全て攻撃力に変換すれば、278→622まで上昇する。


 だがそこまでやってもあの化け物には及ばない。


 だから俺はステータスではなくスキルの強化と獲得を選ぶことにした。


 俺は人間だ。知能という武器があるし、煙の支配者というスキルもある。


 戦略の幅が広がれば、ステータスで負けていても勝てるのではないか、という気持ちがあった。


 今まで戦ったやつだって、たぶんステータス的には俺より上だったやつも多いはずだ。


 まず俺が選んだのは……魔法。


 持っていない属性の魔力操作を全部取った。


□□□□□□□□□

SP:3440

・火属性魔力操作Lv1:200

・水属性魔力操作Lv1:200

・土属性魔力操作Lv1:200

・回復属性魔力操作Lv1:200

・付呪属性魔力操作Lv1:200

・召喚属性魔力操作Lv1:200

・特殊属性魔力操作Lv1:200

□□□□□□□□□


 正直火属性だけは迷ったけれど、夜が暗すぎてどうしようもない。


 明かりがほしかったから仕方なく獲得した。


 そしたら色んな称号やら魔法やらスキルやらが一気に増えた。例の頭に流れるあの機械みたいな声が、ぶっ壊れたように読み上げをはじめた。


 ちなみに新しい称号は『クインティプル』とかいうやつだった。


 その効果でスキル『MP消費緩和Lv2』ってのを獲得し、さらに魔力関連のステータスが大幅に上がった。


 それから次に魔法の一部を強化した。悩んだ末、俺は四つのレベルを上げることにした。


□□□□□□□□□

SP:2040


強化できるスキルは以下のとおりです。

・水属性魔力操作Lv1→2:500

・風属性魔力操作Lv1→2:500

・雷属性魔力操作Lv1→2:500

・回復属性魔力操作Lv1→2:500

□□□□□□□□□


 で、最終的にこうなった。


□□□□□□□□□

名前:リュート

種族:竜人種/ミニチュアドラゴン

レベル:4

SP:40

HP:1329/1329

MP:1076/1289(+200)

攻撃力:278

防御力:279

敏捷性:278

魔法攻撃力:378(+150)

魔法防御力:379(+150)


魔法:

『火球』、『水弾』、『水の龍』

『氷の槍』、『切り裂く風』

『突風撃』、『風の障壁』、『飛行』

『雷の矢』、『雷鳴』、『閃光』

『雷歩』、『土の槍』、『治癒』

『回復(小)』、『強化加工』

『器物召喚』、『魔力灯』

『忍び寄る闇』、『疾風迅雷』

『大嵐』、『乱気流』、『癒しの風』

『癒しの雨』、『肉体増強』

『竜への変身』、『人への変身』


スキル:

『言語理解』

『HP・MP自動回復上昇Lv1』

『MP消費緩和Lv2』

『格闘Lv1』、『片手武器Lv3』

『集中Lv2』、『範囲攻撃Lv1』

『隠密Lv3』、『防御Lv2』

『恐怖耐性Lv5』、『麻痺耐性Lv5』

『毒耐性Lv2』、『精神汚染耐性Lv5』

『石化耐性Lv5』

『水・風・雷・回復属性魔力操作Lv2』

『火・土・付呪・召喚・特殊・闇属性魔力操作Lv1』

『★煙の支配者』、『☆ドラゴンブレス』

『☆竜の闘気』、『☆竜魔法Lv1』


称号:

『異世界からの来訪者』、『耐えるもの』

『クインティプル』

□□□□□□□□□


 魔法がもの凄い数になっている。


 まあ何がショックだったかっていうと、求めていた照明が『魔力灯』って魔法だったんだけど、火の魔法じゃなくて特殊魔法だったのだ。


 火の魔法いらなかったんじゃないか? まあいいけど……。


 さて、強くなったところで敵を探すか。今日は一日、モンスターを狩る。






 * * * * * *






 俺は煙を使って巨大なカエルのようなモンスターを空中に縛りつけた。


「【土の槍】!」


 土が勢いよく盛り上がって、先端を尖らせた形でカエルに向かっていった。


 どすっ!


 土の槍が動けないカエルの体を一気に貫いた。


 …………。よし。仕留めた。


 間もなく、また夜がやってくる。今日一日で敵を五体も倒すことができた。


 明らかにヤバそうなやつからは逃げて、倒せそうな敵だけ選んで倒した。それでも今日だけで2つもレベルアップをした。


 敵の強さは鑑定などしなくても、ある程度は分かるのだ。


 強さにランク付けをするとすれば、俺はせいぜいDランク。


 最初に出会った蟻はEランク。ただし集まった時の脅威はCランクくらいか。


 狼もCランクで、大蛇はA、ゴリラはBランクってところか。


 あの俺を絶望させた猿は別格だ。Sランクとしておこう。


 俺が狙うのはDとC。


 それ以上は危険すぎるし、Eランクはそもそも数が少ないうえに、倒した時に得られるSPが少ないからだ。


 レベルを上げ、SPを稼ぐ。


 長丁場になるだろう。必要となるのはセーフティゾーン。拠点だ。


 そういうわけで俺は探索の途中、拠点にできそうな場所を探し回っていた。


 そして運のいいことに、ちょうどいい感じの洞窟を見つけた。


 何がいいかっていうと、洞窟に入ってすぐに地下へ続く深い縦穴になっていて、壁に張り付いてられるやつか、飛行できるやつじゃないと先へ進んでこれないようになっているのだ。


 似たような景色ばかりで迷いそうになったが、俺はその見つけた洞窟へ戻ることができた。辺りはだいぶ暗くなっている。


 入口付近から縦穴の中へ煙を放った。白い煙がもくもくと穴の中へ満ちていく。


 ――よし。動いている敵はいないな。


 俺は縦穴を地下へ向かって潜っていく。壁に張り付いて壁に一体になったようなやつは煙で感知できない。俺は警戒しながらゆっくりと下降した。


 途中で横穴へ入り、狭い道を抜けると、そこは少し広くなっていた。八畳くらいだろうか。


 煙で探った限り、ここが一番よさそうだと思った。


「【魔力灯】」


 俺がそう唱えると、風船のような光源が目の前に出現した。ぷかぷかとまぶしい光を放ちながら浮いている。


 初めて使ったが、数時間は持ってくれるだろうことは感覚的に分かる。


 俺は時間をかけて少しづつ光源を増やしていくことにした。


 そうすれば一気に消えてしまってパニックになることはないと思ったからだ。最初に作ったやつが消えたら、新しく追加すればいい。






* * * * *






 三時間くらい経っただろうか。


 俺は少しづつ光源を増やしていった。


 ちょっと休憩したい。警戒し続けて疲れてしまった。


 なんだか眠いし、それに腹も減った気がする。


 この感覚もなんだか久しぶりだ。人間らしい感覚があってほっとする。


 でも、眠るのはまだ先だ。


「ふ、ふふふ」


 今こそ使ってみるのだ。例の魔法を!


 俺は念のため煙を使って敵がいないことを確認してから、


「魔法【人への変身】!」


 そう唱えた。


 すると黒い魔力の輝きが体から放たれて、


 ぼんっ!


「お、おお! 人間になってるぞ!」


 ドラゴンの手足が人間のそれに。ツノが消え、尻尾が消え、翼が消えた。


 相変わらず三歳くらいの体だけど、俺は人間になったのだ!


 鏡は見てないけど、背中も顔もたぶん大丈夫だろう。


 しかもこの魔法を使っている間、MPの自動回復力が増すみたいだ。


 そんなに速いペースじゃないけど、人間になっておけば通常の二倍は早くMPを回復できると思う。


 その代わり、ドラゴンブレスが使えなくなるようだ。


 力もなんとなく弱くなってる感じがする。戦闘には向いてないな。


 俺が念じると、ぱっと体が元に戻った。


 ついでだし、ドラゴン変化もやっておくか。


 ドラゴンっていえば、めちゃくちゃでかい生き物だったよな……。


 せっかく見つけた隠れ家を壊したくないので、いったん洞窟の外に出てから試すことにした。


「【ドラゴンへの変身】」


 ぼんっ!


 さっきと同じように魔力が輝いて、俺の体が変化した。


 ん? なんだこれ。


 ち、ちっちぇえぇぇぇぇ! 手乗りサイズか? バレーボールくらいの大きさしかないぞ?


「みゃー! みゃー!(喋れねえし!)」


 鳴き声こんなかよっ! 意外すぎる。人間より小さいじゃないか。


 うーん。でも。

 こんなでも性能は上がるみたいだな。力や防御力だけじゃあない。スキルや魔法も一段階上になるっぽいことがなんとなく分かる。


 MP消費は……。げっ! めちゃくちゃ速いペースでなくなってる。このままじゃ数時間ももたないぞ。


 なるほど。人間モードの逆ってわけか。


 ぼんっ! と元に戻る。


 だいたい分かった。明日以降、検証を続けよう。


 ……ちょっと疲れた。休憩しよう。このままだと煙が出せなくなりそうだ。


 俺は洞窟の部屋へ戻り、その後、少しの間だけ久しぶりに眠るのだった。

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