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ここは異世界ですか?  作者: 月見里サチ
幼少期
3/3

子供におやつは死活問題

〜カイトside〜


この世界は1年が12ヶ月、1ヶ月が30日、1週間が7日で回ってる。


新年も新年度も1月1日。


まあ、安直で覚えやすいから俺は気に入ってる。


そして、今は11月。


ちょっと寒い。


ゴロゴロ転がって毛布に包まっていたくらいだ。


勢い良すぎて壁にぶつかった。


カーペットの上で良かったよ。


ベットの上だったら死んでたわ…。


ーー閑話休題。


ちょっと前に話してみたんだよねー。


「かぁさあ?おぉさあ?」って。


……何言ってるかわからないと思うけど。


「母さんは?父さんは?」って言おうとしたんだよ。


うん、言葉って難しいんだね…。


てか、言葉ってどの位から話すものなんだろ?


あんまりにも会わないから思わず聞いちゃったけど…。


不気味に思ってたりしないよね⁉︎


虐待とかしないよね⁉︎


ごめんなさいすみません許してください、5円あげるから物投げないでー!


あ、5円どころか、お金自体見たことねえ。


お金の単位って何なんだ?


まあ、いっか。


いつかわかるだろ。


え?そんな俺は何してるかって?


……どーせ、1人で本読んでますよー‼︎


いや、だって俺を監視してる(じっと見てくる)くせに誰も俺の傍に近寄らないし⁉︎


両親なんて始めの数日以来見てないし⁉︎


幼児だから上手く歩けなくてすることないし⁉︎


ま、じ、で、暇だからね⁉︎


だから、ヨロヨロ歩きで探検した結果見つけた図書室?みたいな場所で大人しくしてますよ。


数日過ごしてたら、いつの間にかメイドさんがここにおやつ持ってきてくれるようになったし。


それにこの世界は中世をモデルにしてるくせに言葉は日本語。


文字はローマ字で日本語を書いてある。


俺からしたら可笑しなものにしか見えないけど、まあこれが普通なんだろう。


……(バカ)は楽で嬉しいけどな‼︎










今日は12月30日、妹か弟が生まれるらしい。


今は廊下で待機中だ。


久しぶり過ぎる程久しぶりに会った父さんはさっきからウロウロ、ウロウロ、廊下を行ったり、来たりしてる。


正直言って鬱陶しい。


そんなこと怖くて言えないんだけどな!


周りには、静かに立つ執事さんとメイドさん達。


俺は執事さんが用意してくれた椅子に座ってる。


身体がまだ小さくて、ブラブラと地面に付くことのない足を揺らす。


なんというか俺まで落ち着かなかった。


前世も含め兄弟なんて初めてだからさ、すっごい楽しみなんだけど‼︎


「…ぅぎゃーーーー!」


ぅおっ⁉︎…めっちゃびっくりした…。


悲鳴みたいだったんだけど…。


どうやら、生まれたらしい。


父さんはドアを蹴破る勢いで入って行った。


中からワーワー騒ぐ声が聞こえる。


きっと、怒られてるんだろうな。


だって、これは流石にうるさい。


思わず俺も呆れて溜息が出てしまう。


あー、生まれたかー。


12月30日ってことは俺と年子か。


1つ違いだけど、同い年って変な感じだなー。


なんか、運命感じちゃうっ。


……うわ、キモッ、すみません可愛くないくせに調子乗りました。


おっと気づいたら誰もいなくなってるぞ。


って、あと1人メイドさんがいたか。


メイドさんは俺のことをジーと見ている。


あ、早く入れってことですねごめんなさい。


謝罪の代わりに曖昧に笑ってみせる。


すると驚いたように目を見開かれた。


え…?驚くほどキモかったですか?そんなに?


………はい、もう笑いません。


少し勢いをつけて椅子から飛び降りる。


なんか、この瞬間って楽しいよね。


大きくなってからだと出来ないし。


ゆっくりと部屋に入れば、そこには赤ん坊を抱いて慈愛の笑みを浮かべた母さんとだらしなく顔を緩めた父さん。


「(うわー、)とぉさ(んの顔ヤバイって。なんかもうキャラ違うし。アンタはもっとクール系だろ⁉︎そんな顔してたら)かぁさ(んに引かれるよ?いや、俺の方がキモいかもしれないけどさ‼︎)」


母さんは父さんに赤ん坊を渡すと父さんは壊れ物を扱うようにそっと受け取った。


この部屋にいる人達はそれを暖かい目で見守っている。


「シーナ、俺達のシーナ。生まれてきてくれてありがとう。」


どうやら、赤ん坊の名前は“シーナ”というらしい。


母さんがルーナで父さんがシンだから、合わせてシーナってところかな?


そこでふと、空腹感を覚えた。


部屋にある時計を見れば、今は5時。


おやつの時間が過ぎている。


はっ、おやつをまだ食べてない!


子供にとっておやつは死活問題だ。


しかも、この家は金持ちだからか、一周回って無表情になる程おいしい。


もしかしたら、気の利いたメイドさんがまだ用意してくれてるかもしれない。


そうと決まれば、急がなくては!


身体を反転させて廊下に向かう。


あ、最後にちょっとだけ赤ん坊の様子を見ておこう。


ちらり、振り返ればたまたま赤ん坊と目が合う。


母さん似の綺麗な青色の目だった。


なんとなく伝わりそうな気がして願う。


「…しー、な(って男?女?もし、男だったらお兄ちゃんを)まも(ってくれ)る(と嬉しいなー。でも、名前的にやっぱり女かな。ん?兄だ)から(逆だろって?そんなのムリに決まってるじゃないかー。)」


その時、夕陽が目に入って目を細めた。


うっわ、眩しー。


ほとんど何にも見えないし、目なんかほぼ開けられないし。


と、いうことでおやつ(お楽しみ)に向かってレッツゴー!


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