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二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


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第25話 ダンジョン入口

 「話を戻して候補地は二つ」


 私は指をぴっと二本立てる。 

 

 「まず一か所目は大阪城。 モンスターのリポップが特に多い所で、今はゴブリンがメインだけどあそこは特殊なのか徐々にヤバいのが湧くようになるわ」

 

 どうもあそこはリポップする度に微妙に強化されるらしいから、ダンジョン以外で高レベルのモンスターと戦うには良い場所よ。 

 今の蓑鋤のステータスなら移動にもそう時間はかからないから割と手頃な場所だ。

 

 「その割には微妙って顔しているな。 本命は次か?」

 

 おいおい、そんな分かってるって顔でキメんなよ。 ムラムラしちまうだろ?

 蓑鋤の言う通り、将来的にはゴブリンだけじゃなくてオークとかそれの派生種も湧いてくるようになるんだけど今はそこまでの相手は出てこない。 ぶっちゃけ、服部緑地公園で稼いだ方がマシってレベルね。


 で、私が本命って考えている場所なんだけど――


 「ズバリ、万博記念公園よ!」

 「……ダンジョンには近寄らないんじゃなかったのか?」

 

 おいおい、話は最後まで聞く物だぜダーリン。 

 目当ては公園そのもの。 実はあそこってダンジョンを抱えているだけあってモンスターのリポップが多いだけでなく、ダンジョン内のモンスターも外に出て来るのだ。 


 基本的に浅い層のモンスターなのでそこまで強くないけどゴブリンとかよりは美味しい相手のはず。

 

 「そこまで行くならもうダンジョンに入った方がいいんじゃないか?」

 「それは駄目! ダンジョンはマジでヤバいんだから!」


 確かに蓑鋤は私の想定以上に強くなっているし、上手く使えば最強チートの暴食スキルもある。

 私自身も攻撃手段があるから自衛は可能だと思う。 

 だけど、何が起こるのか分からないのがダンジョンの怖い所。 


 ゲームならコンティニューすればいいけど、これはリアルなんだから効率を優先してリスクを無視するのはアホのする事よ。 割と早死にしたけど前の周回でダンジョンを舐め腐って死んだアホな連中を山ほど見て来た身としては可能な限り近寄りたくなかった。


 自分を主人公と勘違いして真っ先にダンジョンへ向かい最初の攻略者になるとかいう幻想を抱いてそのまま当然のようにくたばった奴、バズり目的で配信しながら思いっきり奥へと潜った結果、想定外のモンスターに出くわして自分の公開処刑映像を垂れ流した奴。 


 その他、変に自信を付けて潜って当然のようにどいつもこいつも死んだわ。

 

 「それだけ死んだのなら控えようって流れにはならないのか?」

 

 ――って思うじゃん?

 

 それがならないのよ。 

 忘れがちだけどこのゲームみたいな世界は全てのダンジョンを攻略しないと元に戻らないの。 

 つまり誰かしらがクリアしないとずっとこのまま。 


 だから調べるって言い出す奴は減る事はあっても居なくはならないの。

 それにダンジョンはモンスターのドロップもそうだけど、宝箱から手に入るアイテムも結構な代物なのよ。 レアリティの高い装備なりアイテムなりを手に入れて売ればしばらくは生活できるから一攫千金を狙って入る奴も多いわ。

 

 「なるほど。 リスクに見合ったリターンがあるって訳か」

 「そう言う事。 だからって浅い階層で安全に行くって人も多いけど、たまーに転移トラップ的な物があってヤバい所に飛ばされるなんて話もあるから絶対安全って事もないのよ」

 

 まぁ、裏を返せば入りさえしなければそこまでヤバい事にはならないわ!

 運がよければ出て来たダンジョン産のモンスターをサクッと殺ってアイテムをゲットできればラッキーぐらいの気持ちで行けば変に欲張らずに済むって訳よ。


 「納得したなら行こっか?」


 蓑鋤は納得したのか特に難色を示す事なく頷いた。



 万博記念公園。 

 大阪万博の跡地を整備したおっきな公園でこうなる前は小さい頃に何回か来た事はあったけど、昔過ぎて覚えていないわ! まぁ、前回の周回では一時、バイトで来てたから多少は見慣れてはいる。


 本来なら入場料を払わないといけないけどこの状況だからただで入れるわ!

 

 「――というか入口がぶっ壊されてるのよね……」


 そう、モンスターによって周囲を囲っている柵や出入り口のゲートが壊されてるので出入りに関してはもうガバガバなのよ。 アクセスは簡単で阪急電鉄千里線関大前駅から山田駅まで行ってモノレールで乗り換えなんだけどまぁ、今なら走りで直ぐね。 


 大阪モノレール万博記念公園駅から少し歩いた所にある中央口を抜けるとここの代名詞とも言える太陽の塔が――あるんだけどえらい事になってるわ。

 元々、70メートル近くある巨体は横に広くなっており、両手は広げたままだけど根本の辺りが大きく口を開けて入って来いと言わんばかりよ。 


 「はい、ここが万博記念公園ダンジョンの入口です」

 「太陽の塔が入口なのか。 母さんが知ったら悲しみそうだ」


 私と蓑鋤の両親はここに併設されていた遊園地でよく遊んでいたらしく、ここの話をすると真っ先にその思い出話が話題に上る。 


 夏場はマイナス30℃の世界が体験できるアトラクションが最高だったとか、父さんが母さんにゲームコーナーで取ったぬいぐるみをプレゼントした話、他には蠟燭をもって歩き回り、最後に恐怖度なる物を計測して占ってくれるお化け屋敷の話、某ホラーゲームとのコラボアトラクション、締めの観覧車から見る景色は最高だとか色々と話してはくれたけど私達は結局行く機会に恵まれなかった。


 色々あって閉園し、今は大きなショッピングモールになってしまったからだ。

 個人的に移動式のゴンドラに乗って宇宙人をレーザーガンで撃ちまくってスコアを競うアトラクションには興味はあったんだけどね。 


 当然ながらこんな目立つ代物、注目されない訳がない。

 入口の周りには結構な数の人がいて、何人かはダンジョンに入ろうとしていた。

 

 「あれは大丈夫なのか?」

 「あんまり大丈夫じゃないかもね。 まぁ、前知識があるなら話は別だけど、初見なら生還率は半々ぐらいじゃない」


 うろ覚えだったけどそれぐらいだったはず。 


 「モンスターは何が出て来る?」

 「浅い階層は虫系ね。 でっかい蟻とか蜘蛛とかミミズも出たかしら?」

 「強いのか?」

 「ゴブリンに比べるとめっちゃ強いわ。 もうちょっと下がるとカマキリとかカブトムシとか出るらしいけど、ヤバいのはその先ね」


 これも聞いた話だけど人型の昆虫モンスターが出るらしい。


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