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二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


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第23話 食料調達

 「――で、母さんに大見得切ったらしいが、具体的にどうするんだ?」


 あふと眠そうに欠伸をする蓑鋤がそんな事を訊ねて来たけど、二周目の私を舐めて貰っちゃいけないぜ?

 

 「前にも言ったけど基本的に物品はアイテム扱いになるから人から貰うか買うしかないのよ」

 「コンビニの水やらは普通に取れたのは何でだ?」

 「ゲーム開始時点では置いてある物とかは所有者がいない状態だからダンジョンで拾えるアイテムとかと同じ扱いになるのよ。 だからコンビニの飲食物を取れたって訳」


 まぁ、これに関しては他も早々に気付くだろうからもう粗方取られているだろうし、誰かから貰うしかないわ。 アイテムボックスがあるから個人で持ち歩ける量がすっごい多くなるからね。

 入らないくても所持しているだけで入手扱いになるから独占して高値で転売なんて真似もできるって訳よ。


 「その様子だと実際に居たみたいだな」

 「いたねー。 コンビニやらスーパーで食料品やらを結構な数持って行って高値で売ってた奴」

 「なるほど。 やはり、生産ができないから貴重になって来るのか?」

 

 ――って思うじゃん?


 実の所、そんな事はなかった。 蓑鋤は察したのか小さく鼻を鳴らす。


 「また、ジョブやらスキルで作れるってパターンか?」

 「その通り。 工場やらの機械を操作できるジョブとそれ関連のスキルを使って生産できるわ」

 「車と同じか」

 「そう言う事」 


 蓑鋤の言う通り何をするにもスキル頼りになる。 

 システム側の意図としては生産体制が整うまでは今あるリソースでやり繰りしなさいって事なんでしょうね。 


 察しの良い奴はスーパーとかコンビニで独占に走ってると思うけど、自販機とかはまだ手付かずのが残ってると思うから飲み物に関しては探せば手に入るわ。

 食べ物に関しては公民館で配ってるから今の間は問題ない。


 ただ、生産系のスキルがないとリソースが尽きるから、いつまでもは貰えないのよ。

 

 「そんな訳で生産系のジョブ持ちって割と重要なのよ」

 「だろうな。 話を聞く限り、生産系のスキル持ちは飲み食いだけでなく生活の質に直結する」


 実際、生産系のスキルを持ってる人は何処に行ってもある程度は優遇される――って思うじゃん?

 重要ではあるんだけど、ステータスがあるからって皆、好戦的になるって訳じゃないのよ。

 戦いたくないって人は生産に振るけどそれが割合としては結構、多いのよねぇ……。


 だから、スキルとかの内容で差別化を図るって訳ね。 

 優遇と冷遇の、ね。 いやぁ、ステータスって怖いわ。 

 能力が可視化されるから何が出来て何ができないかがある程度はっきりするだけあって、下手な履歴書以上に判断を左右するのよ。 避難所とかはそれが顕著でスキルを持った人が掛け持ちで料理やらをする感じになるわ。 


 「……母さんが普通に料理してたのは――」

 「多分、もうスキルを取ってるからだと思うわ。 スキルなしだと料理の体裁を整える事も難しくなるから」


 正直、タイミング的にもう少し後かなとは思ってたけど、今朝の料理を見ればスキルを取ったのは明らかだった。 前の周回でも避難所で食事を作ったりしていたから驚きはなかったわ。

 道を歩きながら近くの自販機を確認するとまだ売り切れになっていない。 ラッキー、幸先いいわ。


 持っていた硬貨を押し込んで購入。 

 手持ちの金を次々に自販機に突っ込んで飲み物を買っては蓑鋤に持たせる。

 お金が無くなるまでそれを続ける。 うーん、すっかり文無しになっちゃったわ。


 まぁ、既存の通貨は役に立たなくなるから使うならこの時期なのよね。

 

 「ぶっ壊して中身を抜かなくていいのか?」

 

 蓑鋤が割と正しい意見を言うんだけど、私としては悪目立ちは避けたい事もあってそれはまだ先で良いと思っていた。


 「今はまだ、ね。 前にも言ったけど、この世界って目立っても良い事ないから」


 下手に独占に走ったりとか思い切った行動は明確な勝算がないと何処かで破綻するわ。

 出る杭は打たれるというのはどんな世界、ジャンルでも起こり得るのよ。

 蓑鋤は納得したのか小さく頷いた。 一先ず、飲み物は確保できたし、一度戻ろうかしら?


 三十本ぐらいは買えたからしばらくは大丈夫でしょう。 

 後は食べ物は公民館で貰えるからそっちは問題なし。


 「このやり方はどの程度、通用するんだ?」

 「一週間ぐらいは大丈夫かな? 避難所で暮らすならさっさと行ってポジションを取るように促すのもありよ」


 実際、おばさんは避難所で料理担当として立ち位置を確保していたわ。

 ただ、共同生活って割と軋轢を生み易いから居心地が良いって感じじゃなかったわね。

 私もよく分かんない人と共同生活するの嫌だったわ。 


 ――結局、早々にバイト探しって体で出て行ったけど。


 我ながら余裕がなかったわ。 

 鑑定を活かしてアイテムを調べるのはそこそこ稼げたけど直ぐにお払い箱になるから今回はダンジョンに近寄るのはナシね。 


 「とりあえず食料を仕入れたらまたレベルを上げに行くよ!」

 

 必要なのは目立つ行動ではなく、地味な積み重ねによる優位の確保よ!

 大事なのは私と蓑鋤とおばさんの安全。 後はまぁ、適当に!




 ――一度、家に戻って買った飲み物を下ろした後、公民館でレトルト食品を数食分受け取り、服部緑地公園へ。 


 そのままレベリング作業へ。 

 やっぱり一晩寝かせるとゴブリンやらのレベルもそこそこ上がってるっぽくて経験値も多くなってるっぽい。 

 

 それにしても蓑鋤強い――っていうかなんか戦い方変わった?

 相変わらずフィジカルに物を言わせてゴブリンやらコボルトやらを景気よく殴り殺してるけど、明らかに攻撃を喰らう事を許容してる感じがするわ。 敢えて躱してないって感じというか……。


 相手にボコボコ殴られてるけどあんまり効いてなさそうに見えるんだけど昨日と比べると明らかにゴブリンの攻撃でダメージを受けているように見えないわ。


 それでも蓑鋤は事ある毎にちらりとこっちを見て回復を要求するので言われるがままホイホイとスキルを使用する。 

 対象が蓑鋤一人だからMPには全然余裕があるんだけど全然余裕だわ。


 蓑鋤だけに戦わせているからなんだけど私も援護とかできるようになった方がいいかも。

 ボチボチ20でジョブチェンジができるから攻撃系のスキルを覚えられるのを取ろうかしら?

 そんな事を考えていると私のレベルが上がってちょうど20になった。


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