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天翔雲流  作者: NOISE
スターリーの街角で
98/1794

まあ、ビックボアだし……。

「デカいな……」

 ビックボア……。

 前に狩った奴より、二回り以上大きい。

 奴らは、睨みを利かせ、威圧してくる。

 牡鹿も一歩も引かず、対峙している。

 そんな牡鹿の首に、手を当てる。

「ありがとな……。こっからは、俺がやる!」

 ゆっくりと、闘気を立ち上らせる。

 怖いか……?

 今の俺にとって、魔獣と対峙した俺にとって、何の恐怖も無い……。

 怖いか……?

 聞いているんだ!お前達に!

 二匹の獣は、牙をむき出しにし、威嚇する。

「はっ!」

 嘲笑……!

 お前らに退路は無い!

 一気に加速!

 殺る術は、ただ一つ!

 大きさが変わった処で……。

 その皮膚が、固くなった処で……。

 交差する!

 血風!

 二体のビックボアは、鮮血と共に大地に沈んだ……。

 牡鹿が、大きく嘶く。

 その声は、天高く響き、それにつられて、獣たちが一斉に嘶いた。



「まあ、ビックボアだし……」

 何と言うか、緊迫感が無い。

 まあ、ビックボアだし……。

 けど、まあ、デカいなこいつら……。

 山が二つ……。

 兎に角、血抜きをしないと……。

 でも、こんなの吊るすのに、木が……。

 辺りを見渡す……。

 ん!

 大丈夫そうだ……。

 大樹がひしめき合っている。

 紐はどうするかって?

 ふふふ……。

 何時までも、あの頃のジャショウ様では無い!

 プラント・バインドは覚えた!

 俺は、ビックボアを木々に吊るし、股間から一直線に、腹部を切り開く。

 その自重につられ、内臓が溢れ出してくる。

 危ない危ない……。

 しっかりと、腸を塞いで……。



 解体は、スムーズに行われた。

 今回は、足を引っ張るリョウカもいない。

 内臓は、土に埋め、血抜きし終わった、ビックボアを見上げる……。

 四百K……。

 二体で、八百か……。

 って!?

 牡鹿さん……。健気に運ぼうとしなくていいから!

 どっかの馬鹿にも、見習ってもらいたい。

 プラント・バインドで、一括りにし、ゆっくりと持ち上げる……。

 ふっ!

 俺を舐めるな!

 牡鹿は、俺に寄り添うように歩く。

 さあ、シャルやサクヤに、これを見せなくっちゃな……。


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