まあ、ビックボアだし……。
「デカいな……」
ビックボア……。
前に狩った奴より、二回り以上大きい。
奴らは、睨みを利かせ、威圧してくる。
牡鹿も一歩も引かず、対峙している。
そんな牡鹿の首に、手を当てる。
「ありがとな……。こっからは、俺がやる!」
ゆっくりと、闘気を立ち上らせる。
怖いか……?
今の俺にとって、魔獣と対峙した俺にとって、何の恐怖も無い……。
怖いか……?
聞いているんだ!お前達に!
二匹の獣は、牙をむき出しにし、威嚇する。
「はっ!」
嘲笑……!
お前らに退路は無い!
一気に加速!
殺る術は、ただ一つ!
大きさが変わった処で……。
その皮膚が、固くなった処で……。
交差する!
血風!
二体のビックボアは、鮮血と共に大地に沈んだ……。
牡鹿が、大きく嘶く。
その声は、天高く響き、それにつられて、獣たちが一斉に嘶いた。
「まあ、ビックボアだし……」
何と言うか、緊迫感が無い。
まあ、ビックボアだし……。
けど、まあ、デカいなこいつら……。
山が二つ……。
兎に角、血抜きをしないと……。
でも、こんなの吊るすのに、木が……。
辺りを見渡す……。
ん!
大丈夫そうだ……。
大樹がひしめき合っている。
紐はどうするかって?
ふふふ……。
何時までも、あの頃のジャショウ様では無い!
プラント・バインドは覚えた!
俺は、ビックボアを木々に吊るし、股間から一直線に、腹部を切り開く。
その自重につられ、内臓が溢れ出してくる。
危ない危ない……。
しっかりと、腸を塞いで……。
解体は、スムーズに行われた。
今回は、足を引っ張るリョウカもいない。
内臓は、土に埋め、血抜きし終わった、ビックボアを見上げる……。
四百K……。
二体で、八百か……。
って!?
牡鹿さん……。健気に運ぼうとしなくていいから!
どっかの馬鹿にも、見習ってもらいたい。
プラント・バインドで、一括りにし、ゆっくりと持ち上げる……。
ふっ!
俺を舐めるな!
牡鹿は、俺に寄り添うように歩く。
さあ、シャルやサクヤに、これを見せなくっちゃな……。




