共に背中を合わせ、この世界を生き抜くために……。
強さに際限など無い……。
上りつく先には、更なる高見があるだけだ。
強さの先にあるモノとは……。
無間地獄の様に、もがき、恋焦がれる力の際限……。
永遠に続くこの道を、弛む事無く、上り続ける。
何時か、振り向いた先にある屍の山を数え、懺悔する時が来るのだろうか……。
『今回倒したのは、四十体なんよ♪』
「大きな個体は、ホブコブリンの様ですね」
『ファイヤーストームは、威力があるんけど、死体をまき散らしてしまうんよ……』
「そうね。死体の回収に時間がかかってしまったわ」
『あまり時間をかけすぎると、増援が来る可能性があるんよ』
「ええ。後の事を考えると、あまり良い戦い方では無かったわ」
シャルとサクヤは、反省会も余念が無い様だ。
死体から、硬貨袋を回収しながら、意見を出し合っている。
二人としては、魔法のレパートリーを増やす事と、今あるスキルの中で、どう立ち回るか、入念に吟味している。
歴史に、IFは無い。
しかし、個々の実績に対し、シミュレーションを重ね、戦術を磨く。
とても大切な事だと思う。
「シャル姉、サクヤ。俺から言わせてもらうと、マジック・アイは、慎重に使った方が良いと思うぞ」
『?何でなん?』
「相手に、魔法が使える者がいたら、感づかれる可能性があるからさ」
「そうね。メイジ系のゴブリンが居たら、奇襲が失敗してたわね」
『じゃあ、どうするん?』
「気配察知のスキルを学ぶのが良いんじゃないかな?」
『アタイ、LV1有るんよ』
「私は、持っていません……」
『大丈夫なんよ♪すぐ覚えられるんよ』
「そうね。無ければ、学べばいいのよね」
二人共、とても前向きで好感が持てる。
さすが、俺の姉妹!
俺は、二人を抱きしめ、抱擁する。
『くすぐったいんよ♪』
「ジャショウ。急に甘えて、どうしたんですか?」
「ん!二人とも偉いなぁって、思ってさ」
恥ずかしそうに笑う二人と、それを抱きしめる子供が一人……。
壊滅したゴブリンの集落の真ん中で、なかなかシュールな光景だ。
『ジャショウ。シャル姉に、気配察知を教えるんよ♪』
「ああ……」
俺は、二人を優しく下ろし、集めたゴブリンの死体に火を灯し、抗議を始めるのだった。
『シャル姉、気配察知覚えたん♪』
ゴブリンの死体の火が鎮火し、一息ついた頃、俺の主催する『第一回・キャハ♪気配察知を覚えよう』の講義も終わろうとしていた。
二人は熱心に抗議を受け、LV2まで、習得している。
これ以上は、実戦で上げてゆくしかない。
それと同時に、俺のLVも、6から7へと上がった。
教えるのって、自分の復習にもなって、ためになるよね。
二人はさっそく、実践に移した様で、眼差しが真剣だ。
まあ、魔力と違って、MPとか減らないが、結構集中するんだがな……。
これが、自然に出来る様になれば、一人前と言った処か。
実際俺は、寝ている時も発動している。
スキルと言うか、呼吸をする様な、自然な行為だ。
この世界は、どうにも、どんな行動も、スキルと言うモノに当てはめたがる様だ。
俺にとっては、自然な行為でも、特殊な事になってしまう。
まあ、要領を得れば、あまり意識する事では無いのだが……。
それに、悪い事だけでも無い。実際覚えたかどうか、はっきりわかる点、スキルと言うのは、明白で良い。
覚えたつもりで、知ったかぶりをされても、いざ戦場で役に立たなとなれば、生死に関わる。迷惑な話だ。
話は脱線したが、二人には魔法だけでは無く、様々な場面に対応できるよう、多くのスキルを学んでいってもらいたい。
これから、共に戦う仲間として……。
共に背中を合わせ、この世界を生き抜くために……。




