閑話終焉 こうして、物語が始まる……。
「もう、誰も食べない。誰も傷つけたくない……。だれか。俺を、消滅させてくれ……」
地獄の最下層……。
ナナシの慟哭が、無常に木霊する。
地獄の炎に焼かれ、ナナシは、何度も死のうとした。何度も、消滅しようとした。しかし、それは、決して、叶わない……。
堕ちてくる魂は、ナナシに吸収され、ナナシの魂は、異常な速度で、肥大化してゆく。
地獄の業火すらも、生ぬるく感じる。
ナナシは、力に呑まれまいと、必死に自我を保ち、炎の中で、金色に輝く……。
「俺は、俺は……!」
「まったく……。どこにおったのじゃ?何度も言っておろう。わらわの側を、決して離れぬなと!」
地獄に似合わぬ、透き通った、優し気な、女性の声。
ナナシは、必死に自我を保ち、声の方を向く。
「い、イザナミ様……!」
イザナミは、慈愛に満ちた目で笑い、業火の中に、その身をさらす。
そして、優しく笑い、力いっぱい、ナナシを抱きしめた……。
ナナシは、震え、涙を流しながら、
「は、離れて下さい!も、もう、俺は、自分の力を、制御できない……!このままでは、イザナミ様も……!」
「良いんじゃ……」
「えっ……?」
イザナミは、優しく笑い、涙を流しながら、ナナシに、口づけをする。
暖かな感触……。
地獄の業火でも、焼く事の出来ない、ナナシの魂が、暖かな、光に、浄化されてゆく。
イザナミは、優しく笑い、
「お主とわらわは、永遠に、一緒じゃ!天照の奴が、お前を、守っていたのじゃろう……。しかし!それ以上に、わらわは、そなたと、深く、繋がるとしよう!」
その言葉と同時に、イザナミの魂が、ゆっくりと、ナナシの魂に、同化してゆく。
ナナシは、絶望し、
「イザナミ様……!?駄目だ!!お願いだ!俺を!僕を、一人にしないでくれ!!」
ナナシは、子供の様に泣き叫び、必死に、イザナミの魂を、引き剝がそうとする!
しかし、イザナミは、強く、ナナシを抱きしめ、
「馬鹿者……。お前を、一人になどせぬ!お前は、わらわのものじゃ!永遠に……。永遠に!ずっと、一緒じゃ……!記憶で忘れてしまっても。何度、輪廻転生を繰り返しても!わらわは、永遠に、お前の魂の中に居る!何時か、必ず!お前が、自分の力を、制御出来る様に成った時、わらわは、お前の、一番深い所で、巡り合う事と成ろう。大丈夫じゃ……。わらわは、ずっと!お前の、一番深い所で、側に居てやる!だから、悲しむな!孤独を感じるな!ずっと!永遠に、わらわ達は、悠久の時を、生きるのじゃ!」
「イ・ザ・ナ・ミ……」
イザナミの魂が、完全に、ナナシと融合する……。
ナナシの魂が、一粒の涙を零し、静かに、休止してゆく……。
歪に膨らんだ、ナナシの魂は、美しい円を描き、地獄の最下層で、混然と輝く……。
やがて、ナナシは、遥か未来で、再び、イザナミと、巡り合う事と成ろう……。
何故なら、ナナシとイザナミは、一つと成ったのだから……。
ここまで呼んで下さった皆様。誠にありがとうございました!無理な、終わり方と成ってしまいましたが、書ききれたのは、皆様のお陰です!
本当に、本当に!ありがとうございました!




