ああ、あの頃が懐かしい……。
セナが、今まで以上に、執務室に来る様に成った。
俺の膝に乗り、
「ジャショウ!セナ、足し算覚えた!お手伝いするね♪」
「ははは!それでは、ここの計算を、頑張ってもらいましょうか?」
「うん♪」
セナが、一生懸命、計算を始めた。
幼いながらに、頑張っているな。
丁度そこに、
「セナ様!セナ様!」
「ローバだ!ローバ!セナは、ここだよ!」
セナは、満面の笑顔で、応える。
ローバも、執務室の現れ、
「ジャショウ王!ご壮健の様で何よりです!」
「ははは!ローバ殿!そう、畏まらないでくれ!貴方も、私の家族だ!ジャショウでも、ジャショウ殿でも、気軽に呼んでくれ」
「いえ!セナ様の御前です!礼儀作法は、しっかり、見本を見せませんと!」
「ははは!ローバ殿は、よく、セナの事を、育てている様だな?感心するよ。これで、スターリーの未来も、安泰だな」
「はっ!勿体無きお言葉!」
深々と、頭を下げるローバ。
俺は、笑い、肩を叩く。
ローバにウインクし、
「今晩、どうだ?少し、二人で、酒を飲もう」
「はっ!御心のままに!」
やれやれ……。
ローバは、根を詰めすぎだな。
少し、ガス抜きしてやらぬと。
たまには、家族と、酒を飲むのも、悪くは無いだろう……。
「ジャショウ殿!私は、私は!」
「ははは……。ローバ殿は、根を詰めすぎだ。少し、肩の力を抜いて、セナと、接してやってくれ」
「分かっております!分かっておりますが……。あの男を、思い出すのです!セナ様は違う!供に暮らして、頭では、よく分かっています!聡明で、善悪を、あの歳で、よく理解しております!それでも、あの男の顔が、脳裏に、ちらつくのです……」
「そうか……。それでも、セナは、ローバ殿の事を、よく慕っている!その事だけは、よく覚えておけよ?あの男の様に、私を、失望させないでくれ」
「ええ、分かっております。分かっておりますとも!セナ様は、我が子の様なもの!時には厳しく。大切に育てます!」
「ああ、頼りにしているよ」
ローバは、酒が入ると、泣き上戸と、なるのだなぁ。
いや……。
多くの苦難が、そうさせているのか……。
俺は、ローバの背を摩る。
ローバは、泣きながら、
「ローフよ!済まない事をした!我等の咎だ!王を諫めるのが、忠臣の務め!我等は、逃げていたのだ!」
やれやれ……。
長い夜に、成りそうだ……。
セナよ、立派に育てよ……。
ここから先は、俺達大人が、道を切り開き、お前達の時代と成る。
ヨセフは、駄目であったが……。
セナよ。人々を照らす、光と成れ……!
「ジャショウ君。父の事、感謝します」
「んあ?エローラか?別に、俺が、酒の友を、欲しただけだ。気にする必要は無いよ」
「ふふふ……。それでも、ありがとうございます。今日の父の顔は、清々しいモノでした。父は、弾む声で、ジャショウ君こそ、誠の王だと。私も、そう思いますよ」
「ははは!俺は、壊す事しか出来ない、愚かな王だよ。エローラ達の、誰かが、王に成ったらどうだ?」
「ジャショウ君!また、そう言う事を言う!もっと、シャキッとしなさい!ジャショウ君の代わりは、誰にも、務まりません!」
「はぁ……。俺も、ヨルムの親父達の様に、隠居したいんだがなぁ……」
「馬鹿な事を、言っていないで、今日も、しっかり、働いてもらいますよ!」
「ははは……」
やれやれ……。
これでは、俺は、王のままか……。
人々の笑顔……。
強欲勇者と呼ばれたころが、懐かしいな……。




