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天翔雲流  作者: NOISE
魔王降臨
162/1865

これが、俺の家族……。

「な、何故、君が、その名を!?」

 俺の驚愕に、一同が息を呑む。

 なんでこいつが、ナビ子を知っている?

 ジャンヌ……。

 君は、何者なんだ?

 俺は、震えた指で、ジャンヌを指さす。

 シャル達も警戒している。

 俺達のただならぬ雰囲気に、ラナが、

「ちょ、ちょっと!まだ、何か隠しているの?そのエステカって……」

 ラナの疑問に、俺は姿勢を正し、ゆっくりと口を開こうとする。

 その時、

「エステカ様は、世界神にして、至高神にあられます!呼び捨てで呼ぶのは、止めて下さい!エステカ様を、呼び捨てで呼べるのは、そこに居る、ジャショウ様、シャル様、サクヤ様のみ!お三方は、神に寄り添われ、認められし者!ジャショウ様が、勇者である所以です」

 ジャンヌの目が変わる。

 何人の意見も、決して受け入れない。

 絶対の理だと言う様に……。

 ジャンヌの豹変に、再び、一同固まってしまう。

 エルですら……。

 それでも、

「六大神に、縦列は無いはずじゃが?」

 流石、歴戦の猛者と言った処か、ベヘムが口を開く。

 しかし、その額には、汗が滲み出ている。

 それだけ、この少女の気迫がすごいと言う事だ……。

 ジャンヌは、ゆっくりと口を開く。

「エステカ様は、六大神を神の道へと導いた神です……」

「今は、名も残らに神か……。何故、お主が、その名を知っている?」

「それは……。私が、ジャショウ様と同じ、転生者だからです……」

 ジャンヌの告白に、俺は、息を呑む……。

 それ以上に、周りの皆は驚愕し、俺の事を見ている。

 俺の、スローライフが……。

「ジャショウよ……。確か、ドルムとの戦いの時も、その様な事を言っておったな?」

 師匠……。

 俺は俯き、意を決する。

「ああ……。ナビ子。いや、エステカとは一緒に旅をしている……」

「一緒に?」

「ああ……。俺は、気付いた時には、キャロイラの森に居た……。ただ一人。途方に暮れる俺に、道を指示してくれて、今日まで生き延びれたんだ……」

「ぬう……。にわかに信じがたいのう……」

「しかし、魔人を倒す術を知り、見事に倒して見せた……」

「馬鹿ジャショウが、そんな嘘をつける訳ないしね」

「ギルム殿は、ジャショウ殿が、転生者だと言う事は……」

「知ってはおった……」

 一同が、眉を顰め、唸っていると、

「ジャショウ様は、凄い方なのです!多くの民を守り、生きたまま、神の下に行かれたのです!」

 ジャンヌお得意の、夢見るモード……。

 しかし、

「何で、お前が知っている?」

 俺は、眉を顰める。

 ここに来る前の事を……!

 俺の過去を、何故、この少女は知っているんだ?

 しかし、ジャンヌはニッコリと笑い、

「私は、祖国フランスの為、神の啓示を胸に、戦っていました……。けど……。私は、捕えられ、魔女として火にかけられ、その生を終えてしまったのです……」

 悲しげな顔……。

 震えているのか?

 この少女は、色んな顔を見せる。

 エルが、ジャンヌの肩に手を添える。

 ジャンヌは、にっこりと笑い、

「私は怖かった……。私の身を焼いた炎が、人が……。この世界に来てからも怯え……。だけどそんな時、エステカ様は話してくれるんです!領土を守るために国を周り、数多の強敵を倒し、そして……。私を焼いた炎が、ジャショウ様の城を焼いて……。ジャショウ様は立ち止まらなかった!国が無くなろうとも、仲間が居なくなろうとも、ただ、民達の為に、一人……。数多の大群に挑んだ!」

 ジャンヌは、拳を掲げる。

 一同の目が、俺に向く……。

 昔の事だ……。

「俺は、ただの人殺しだ……。怯える兵も、竦む兵も、構わず殺した……。人である事を忘れてな……」

「違います!ジャショウ様のお陰で、民は生きる事が出来たのです!例え、国が無くなろうとも!民達を、虎狼の群れから、守ったのです!」

 自嘲する俺を、ジャンヌは叱咤する。

 俺は、そんな大層なモノじゃねえ……。

 怒りに任せ……。

 憎悪に任せ……。

 その拳を振るった……。

 後には、ただ、屍の山が……。

 何も残っちゃいなかった……。

 そんな俺の肩に、

「口惜しいぞ!ジャショウ殿……。儂もその場に居たのなら……」

 ベヘム……。

 あんたは……。

 あんた達は、俺を、恐れないと言うのか?

 俺は、皆を見る……。

 怯えていない?

 ただ、涙を浮かべ、拳を握っている……。

 これが、俺の家族か……。

 俺は頷き、ベヘムの手を握った……。


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