これが、俺の家族……。
「な、何故、君が、その名を!?」
俺の驚愕に、一同が息を呑む。
なんでこいつが、ナビ子を知っている?
ジャンヌ……。
君は、何者なんだ?
俺は、震えた指で、ジャンヌを指さす。
シャル達も警戒している。
俺達のただならぬ雰囲気に、ラナが、
「ちょ、ちょっと!まだ、何か隠しているの?そのエステカって……」
ラナの疑問に、俺は姿勢を正し、ゆっくりと口を開こうとする。
その時、
「エステカ様は、世界神にして、至高神にあられます!呼び捨てで呼ぶのは、止めて下さい!エステカ様を、呼び捨てで呼べるのは、そこに居る、ジャショウ様、シャル様、サクヤ様のみ!お三方は、神に寄り添われ、認められし者!ジャショウ様が、勇者である所以です」
ジャンヌの目が変わる。
何人の意見も、決して受け入れない。
絶対の理だと言う様に……。
ジャンヌの豹変に、再び、一同固まってしまう。
エルですら……。
それでも、
「六大神に、縦列は無いはずじゃが?」
流石、歴戦の猛者と言った処か、ベヘムが口を開く。
しかし、その額には、汗が滲み出ている。
それだけ、この少女の気迫がすごいと言う事だ……。
ジャンヌは、ゆっくりと口を開く。
「エステカ様は、六大神を神の道へと導いた神です……」
「今は、名も残らに神か……。何故、お主が、その名を知っている?」
「それは……。私が、ジャショウ様と同じ、転生者だからです……」
ジャンヌの告白に、俺は、息を呑む……。
それ以上に、周りの皆は驚愕し、俺の事を見ている。
俺の、スローライフが……。
「ジャショウよ……。確か、ドルムとの戦いの時も、その様な事を言っておったな?」
師匠……。
俺は俯き、意を決する。
「ああ……。ナビ子。いや、エステカとは一緒に旅をしている……」
「一緒に?」
「ああ……。俺は、気付いた時には、キャロイラの森に居た……。ただ一人。途方に暮れる俺に、道を指示してくれて、今日まで生き延びれたんだ……」
「ぬう……。にわかに信じがたいのう……」
「しかし、魔人を倒す術を知り、見事に倒して見せた……」
「馬鹿ジャショウが、そんな嘘をつける訳ないしね」
「ギルム殿は、ジャショウ殿が、転生者だと言う事は……」
「知ってはおった……」
一同が、眉を顰め、唸っていると、
「ジャショウ様は、凄い方なのです!多くの民を守り、生きたまま、神の下に行かれたのです!」
ジャンヌお得意の、夢見るモード……。
しかし、
「何で、お前が知っている?」
俺は、眉を顰める。
ここに来る前の事を……!
俺の過去を、何故、この少女は知っているんだ?
しかし、ジャンヌはニッコリと笑い、
「私は、祖国フランスの為、神の啓示を胸に、戦っていました……。けど……。私は、捕えられ、魔女として火にかけられ、その生を終えてしまったのです……」
悲しげな顔……。
震えているのか?
この少女は、色んな顔を見せる。
エルが、ジャンヌの肩に手を添える。
ジャンヌは、にっこりと笑い、
「私は怖かった……。私の身を焼いた炎が、人が……。この世界に来てからも怯え……。だけどそんな時、エステカ様は話してくれるんです!領土を守るために国を周り、数多の強敵を倒し、そして……。私を焼いた炎が、ジャショウ様の城を焼いて……。ジャショウ様は立ち止まらなかった!国が無くなろうとも、仲間が居なくなろうとも、ただ、民達の為に、一人……。数多の大群に挑んだ!」
ジャンヌは、拳を掲げる。
一同の目が、俺に向く……。
昔の事だ……。
「俺は、ただの人殺しだ……。怯える兵も、竦む兵も、構わず殺した……。人である事を忘れてな……」
「違います!ジャショウ様のお陰で、民は生きる事が出来たのです!例え、国が無くなろうとも!民達を、虎狼の群れから、守ったのです!」
自嘲する俺を、ジャンヌは叱咤する。
俺は、そんな大層なモノじゃねえ……。
怒りに任せ……。
憎悪に任せ……。
その拳を振るった……。
後には、ただ、屍の山が……。
何も残っちゃいなかった……。
そんな俺の肩に、
「口惜しいぞ!ジャショウ殿……。儂もその場に居たのなら……」
ベヘム……。
あんたは……。
あんた達は、俺を、恐れないと言うのか?
俺は、皆を見る……。
怯えていない?
ただ、涙を浮かべ、拳を握っている……。
これが、俺の家族か……。
俺は頷き、ベヘムの手を握った……。




