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天翔雲流  作者: NOISE
魔王降臨
156/1865

鉄の杯……。

「さあ、冒険者さん♪どこの、冒険者だい?」

 俺は、リーダー格の男の頭を踏み潰し、無邪気に笑う。

 男は、泡を吹き、必死にもがく……。

「て、鉄の杯……」

「ふうん……」

「た、助けてくれ!」

「君のギルドは、他所のギルドにちょっかいを出すのかい?」

「そ、それは……」

「それは?」

「ギルマスが、ここなら良いと……」

「ふ~ん……。舐められたモノだな!!」

 男の横腹を蹴り上げる。

 気が付けば、他の冒険者も、商店街の皆に殴られ、原形を留めていない……。

「ジャショウよ……」

「師匠……。止めても無駄ですよ?」

「何故、止める必要がある?修行がてら、潰してこい!」

 師匠に背中を押され、にやりと笑う。

 男達の首に縄をかけ、後ろ手に親指を締める。

 こうすると、人間は逃れられない。

 勿論縄は、錬気だ……。

「少しでも動いたり、俺をイラつかせると、首が落ちるよ?」

 俺の笑顔とは裏腹に、男達の顔は、恐怖で歪む。

 まあ、顔はボコボコで、表情が分からないんだけど……。

 商店街に人達が、俺達の後をついて来る。

 その手には、各々、武器を持って……。



 鉄の杯……。

 町の中央を陣取ったギルドは、家のギルドの三倍ぐらいの大きさだろうか……?

 このギルドは、傭兵家業が主らしい。

 中の人間の力量は……。

 中々、強そうだが……。

 百人ぐらいか……。

 随分居るねぇ……。力量は、ホブゴブリンクラスと言った処か……。

 扉を叩き開ける。

 静寂……。

 一同の目が、俺に集中する。

 俺はにっこり笑い、

「粗大ごみの日、間違えるなよ?」

 ボコした冒険者を、蹴り飛ばす。

 殺気が、立ち上る!

 しかし……。

 俺の気が、一気に爆発する!

 全員を捕らえた。

 鉄の杯の冒険者が、一同に、地面に突っ伏す。

 俺の気に当てられ、立つ事も儘ならないのだ。

 動けるものは……?

 奥のテーブルに、四人……。

 何事も無い様に、杯を傾けている。

 いや……。

 その首筋には、汗が流れ落ちている……。

 大したこと無いな……。

 これじゃあ、オーガ相手にしている方が、修行になる……。

 ゆっくりと、受付に行く……。

 受付嬢が、蒼白な顔で、過呼吸を起こしている……。

 受付嬢に向けた錬気を解いてやる。

 肩で息をしながら、涙目で、俺の様子を窺っている。

 俺は、にっこり笑い、

「ギルマスは?」

「は、はい……?」

「ギルマス……」

 俺の笑顔が一変し、憤怒に変わる。

 受付嬢は、腰を抜かしながら、ギルマスを呼びに行った……。

 数分もしない内に、強面の男が、アックス片手に、勇んで飛び出て来た。

 俺は、笑顔を崩さない。

「家に喧嘩売るとはいい度胸だ!」

 笑顔を崩さない!

「餓鬼かぁ?帰って、ママのおっぱ……」

 片手で、ギルマスを捻じ伏せる。

「あっがっ……」

 錬気をぶつける。

 さっきとは、比べ物に成らない量の……。

 ギルマスの瞳孔が開く……。

「何故、家に喧嘩を売った?」

「な、なにを……?」

 俺は親指で、さっきの冒険者を指さす。

 ギルマスは、それを確認し、

「い、依頼で……」

「依頼で?」

 俺の腕に、力が入る。

「あっ!?がっ……」

「殺ると言う事は、殺られる覚悟が、有るんだよね?」

「か、金なら……」

「いらねえよ!そんなモノ!」

 力任せに、腕をへし折る。

 俺は、ギルマスの絶叫を聞き、ニヤニヤ笑いながら、もう片方に腕を取る。

「ゆ、ゆるじでぐで……」

 涙とよだれで、ぐちゃぐちゃの顔……。

 良いねえ~。

 感じさせてくれるよ……。

 俺は、うっとりと、ギルマスを見る。

「その辺で、良かろう?」

 ギルドの奥から、声が上がる。

 先ほどから、平静を装っていた冒険者だ。

 立派な体躯と、髭を生やしたドワーフ。

 足を怪我しているのか?

 左足を庇いながら、俺へと近づいて来る。

 右目は、潰れている……。

「おお!ベヘム!こ、こいつらを!」

「儂では、どうにもならん!それは、ギルドマスターが、一番理解しておるじゃろう?」

「で、何?」

 俺は、ベヘムと呼ばれるドワーフを睨む。

「そう、怖い顔をするな……。儂は、この通りポンコツでのう。しかも、ギルドの言う事も聞かない!ギルドマスターからは、クビと言われているんじゃ……」

 こいつ……。

 良い目をしている……。

 このギルドに、似つかわしくない。

 俺は、にやりと笑う。

「で、俺を、どうやって止める?」

「儂の首を預けよう」

「あんたの?」

「何の役にも立たん。戦場で死ぬことも許されなんだ、老いぼれの首じゃがのう」

「価値は、俺が決める!」

 俺は、ベヘムの目を見る。

 最高の、掘り出し物だ!

「後ろの三人は?」

「私達は、ベヘムさんと生死を共にする者」

「そう……」

 俺は、ギルドを見回す。

 どいつもこいつも、怯え、戦意を喪失している……。

 糞だ……。

「決めた!この四人を貰う!」

「そ、そのポンコツを!?あ、あとから……」

 俺は、ギルマスの腕を締め上げる。

「言葉には気を付けろよ?こいつらは、今から俺の家族だ!本当に、殺すぞ?」

「ぎゃああああああ……」

 悲鳴を上げるギルマス。

 それとは対照的に、目を見開き、驚く、ベヘム……。

「儂らが、家族?」

「そうだ!家のギルドの流儀だ。精細は、戻ったら、家のギルマスに聞け!」

 俺は、ぞんざいにギルマスを投げ捨て、ベヘムの肩を支える。

「そうだ!ギルマスさんよう……。次、俺の周りの者に手を出して見ろ?そん時は、地獄を見るぞ?」

 俺の気が、再び、ギルドを包む。

 無早、誰も口を開かない。

 俺は、振り向きもせず、ベヘムを庇いながら、鉄の杯を後にした……。


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