偽り……。
帰り道……。
四人はリアカーに乗り、楽しそうに談笑している。
ラナには、
「走るな!馬鹿ジャショウ!」
と、釘を刺されて……。
俺は、馬じゃねぇ~!
帰りは乗らない!って、言ってたくせに、随分な話だ……。
遠くにあったスターリーの城壁が、近づいて来る。
これで、今日の冒険も終わり!
アリスが、迎えてくれる。
大きく手を振って……。
「シャルちゃん達、お帰り!」
四人もリアカーから降り、挨拶をする。
「あなた達は……」
「は、はい!昨日から子羊の嘶き亭でお世話になってる、ユウです」
「私は、ラナよ……」
ユウとラナ、それぞれ頭を下げる。
「そう……。ユウさん、ラナさん!シャルちゃん達はその……。色々と規格外ですけど、怖がらないであげて下さいね?」
アリスが、俺達を擁護する。
「誰が、馬鹿ジャショウ達を怖がるものですか!」
「姉さん!すいません……。僕達は、ジャショウ達の事を、大切な弟や妹だと思っています!」
二人の言葉に、アリスが、優しく笑う。
その時……。
師匠に気!?
強大な気が立ち昇るのを感じ、俺は、ギルドの方を向く。
「ジャショウ君!」
マルスが駆け寄る。
「師匠だ!」
俺のただならぬ雰囲気に、一同が息を呑む。
次の瞬間、俺は駆け出し、皆も、俺の後を追い、走り出した……。
ギルド前、人だかりが出来ていた。
俺は、人混みをかき分け、中央に行く。
老齢の男……。
如何にも成金な老人と、面立ちの似た若い男が、冒険者を引き連れ、ギルドの前を陣取っていた……。
対面には、師匠が……。
「師匠!」
「うむ。ジャショウか……」
師匠は、気焔を収め、穏やかに笑う。
後から、ラナ達がやって来た……。
「おお、我妻よ!迎えに来たぞ!」
冒険者を引き連れた、二枚目気取りの優男が、右手を広げ、前へと出る。
「ヒビト……」
ラナは、顔をしかめ、男を睨む。
「さあ、帰るのじゃ!お前の様な奴でも、我が息子の妻!しっかりと跡取りを作ってもらわなくては困る!」
「ふざけないで!何時、あんたなんかの、嫁になったと言うのよ!」
ラナの罵声に、ヒビトと呼ばれた男は、にやつき、左手を見せる。
「気の強い子だ。そう言う所も、気に入ってるんだがな……。しかし、困った」
「そうじゃなぁ。お主が折った、息子の左腕、どうしてくれるんじゃ?今なら、不問にしてやるぞ?」
何だ?こいつら……。
何か分らんが、さっきから、イライラする。
ラナの事を、妻などと……。
もう、ぶっ飛ばして良いかな?
「ふざけないで!何時折ったて言うのよ?」
「君が村を出た時、引き留める私の腕を」
「振り払っただけでしょう?」
「ほら!認めたじゃないか!」
なんだ?この三文芝居……。
腕が折れてるだと?
けど、俺の目には……。
しかし、その時、
「可笑しいですね?ラナさん達には、犯罪履歴は無かったはずですが?」
マルスが、前に出る。
「何だ?君は?」
「入城の時、門で顔を合わせませんでしたか?」
「ふん!ただの門兵か!門兵如きが、しゃしゃり出て来るでない!」
ジジイ……。
俺は、怒りを忍ばせ、ゆっくりと前に出る。
そして、
「何だ?君は!?」
「家のラナ姉に、ちょっかい出すテメエこそ、何もんだよ?」
「私は、ラナの夫……。っ!?」
ヒビトの左腕を、捻り上げる。
つまんねえ寸劇に、興味は無い……。
ヒビトは、俺に捻り上げられた腕を、必死に払いのける。
「折れてねえじゃねえか!」
俺の怒気に、ヒビトが怯む。
「ええい!冒険者の皆さん!」
ジジイの号令に、冒険者が武器を取る。
次の瞬間……。
「ラナ姉を、いじめる奴は、許さないんよ!」
「家のギルドに刃を向けた事、万死に値します!」
シャルとサクヤ……。
七人居た冒険者の内、六人が、腕から鮮血を上げて、崩れ落ちる……。
後の一人は……。
こいつらのリーダーか……。
シャルもサクヤも、良く分かっている。
俺の錬気に呑まれ、その場に崩れ落ちている。
ゆっくりと、近づく……。
「どこの冒険者だ?」
男は怯え、俺を見上げる。
「まあ、良い……」
次の瞬間、男の腕の腱を斬り、鳩尾を蹴り上げる。
「お前達は、後で、たっぷり可愛がってやるよ……」
冒険者に背を向け、成金ジジイ達の方を向く。
恐怖で、引き攣った顔……。
久々のSモードだ。
ゆっくりと錬気を絡める……。
成金ジジイは、動く事も出来ず、
「お、おい!衛兵!こいつらをどうにかしろ!お前達の仕事だろう!?」
マルスは、首をゆっくりと横に振る。
「アリスさん……。この男達の罪状は?」
「はっ!冒険者を使った、市内での暴動行為。及び、誘拐未遂。そして、詐称罪です!」
「ジャショウさん……」
「分かっている……。殺しはしない。殺しはしないが!」
俺は、成金ジジイとヒビトの首を掴む。
「ひっ!?な、何を!?」
男達の目を見る……。
絡めた錬気を、ゆっくりと高め……。
(威圧発動……)
男達の顔が、恐怖に歪む……。
瞳孔が開かれて逝く……。
正気を失う手前で、
「次ぃ、ラナ姉達や、俺の周りの者に何かしてみろ?死なんて生ぬるい……。地獄を見せてやるよ?それと……」
俺は、にやりと笑い、ヒビトの左腕を、締め上げる……。
ゴキッ!
絶叫が木霊する……。
「これが、折れると言う事だ……」
その後も、俺はゆっくりと歩き、辺りは静寂に包まれる。
そして、一人の男の前に止まる。
「お前、こいつらの仲間だろう?」
俺の目に映る男の顔は、恐怖で歪む。
「何にもしないよ」
俺の笑顔につられ、男も、ぎこちなく笑う。
その男の耳元で、そっと囁く……。
「スターリーには近づかない事だ……。今度その顔を見たら……。お前だけじゃない。村ごと滅ぼすよ?」
男は、恐怖で、失禁する……。
その後は……。
男達は、アリスに連行されて、詰め所へ連れていかれた……。
残るは、冒険者……。
「ジャショウさん!ほどほどに……」
マルスが、俺の肩を持つ。
俺はにっこり笑い、頷いた……。




