ただいま!!
真上に昇ったお日様が、西に傾く。
今、俺達は、戦利品を持ち、街へと向かっている。
俺は、ビックボアを……。
サクヤは、大八車を転がし……。
大八車には、木の実の入ったリュックが二つ、予め用意していた麻袋いっぱいの、鉄鉱石を乗せて……。
最近知ったが、サクヤの筋力も相当のモノだ。
人型に変わり、能力が上がった上に、絆の効力で、一般の成人男性より、遥かに強い。
シャルすら、一般男性を凌駕している。
なので、爆走中!
森を抜け、高原をひた走る。
土埃舞って、さしずめ、暴走特急と言った処か。
たまにすれ違う冒険者が、目をひん剥いて、凝視している。
「到着~~♪」
気が付けば、城門まで来ていた。
って、あれ?アリスさんとマルスさんが、お出迎え……。
「何やってるんですか~!!」
アリスさんが、凄い形相で来る……。
何って何?
「ジャショウさん達、往来を……って、何それ~~!!」
「何って、ビックボア?」
「大量なんよ♪」
「頑張りました♪」
俺達は、満面の笑みで答える。
「ジャショウさん達は、少し、常識を学んだ方が良いですね……」
マルスさんまで……。
気が付けば、周りに人だかりが……。
「と、兎に角、詰め所に来なさい!」
俺達は、アリスに背中を押され、城門をくぐる。
詰め所って……。
他の、門兵も、こっち見てるし……。
その後、アリスの剣幕が鳴り響く……。
何だよ……。冒険者しただけなのに……。
こってり、一時間絞られました……。
やっぱり、ビックボア二匹は、まずかったのか?
アリス曰く、そう言う次元じゃないと。
折角、褒められると思っていた、シャルとサクヤは意気消沈し、トボトボと歩く。
「あ~~。元気だせよ、二人共。アリス達は、心配してくれたんだよ」
「そうなん?」
「そうね……。うん、そう!サクヤちゃん、元気出そう!」
「うん♪」
元気が戻って何よりで……。
俺は、二人に笑いかける。
取り合えず、広場行こう。
おっさん達に、戦果を見せなくっちゃ。
すれ違う人達が、こちらを凝視する。
いかん……。
アリス達が言ってたこと、何と無く分かる。
そもそも、俺の様なチンチクリンが、何倍ものビックボアを担いで……。
悪目立ちだ……。
好奇な目にさらされ、俺は俯いてしまう。
「ジャショウ?」
「元気出すんよ?」
「あ、ああ。兎に角、おっさんの所に急ごう」
俺は、二人を急かし、その足を速めた。
広場に着いたのは、一五時と言った処か。
広場から時計台が見える。
人は疎らで、それでも、三時のおやつ感覚で、屋台で食べ物を買っている人が多くいた。
冒険者が帰って来るには、少し早い。
一般人が主だろう。
かき分けるほどの、人は居ない。
それでも、俺達が来ると、道が開かれる。
「へい!らっしゃい!」
威勢の良い、呼び込み……。
おっさんだ。
「「「ただいま!」」」
俺達は、元気良く応える。
おっさんは、手を休め、顔を上げる。
凝視……。
「お、おま、お前ら!!」
「獲って来たよ!」
「なんじゃ、そりゃ~~~!!」
おっさんの声が木霊する。
俺達は、大声で笑い、周りの露店からも、人が集まって来た。
さあ、何から話そう?
俺達は、みんなに囲まれ、今日の戦果と、冒険禄を語り始めた。




