エピローグ
「偉い、偉いよくやった」
多嘉良が美和の頭をポンポンする。
「うん…。これでいい。これが正解」
うつむく美和。
「そうだよ。これが生まれてきた者の正しい道だ」
多嘉良はたまに真剣になる。たまに…だが。
「さあ、帰るか」
愛鷹たちが去っていく。
「みんなありがとう」
応えるように右手をあげる愛鷹。頭を下げる戸隠。
「美和ちん、またねー」「ばいばい」手を振って梓と早瀬も帰っていく。
月は雲に隠れて辺りはすっかり暗くなって、闇が広がっている。
「ところで、ライト持ってるか?」
「え?多嘉良さんないの?何もなくて山の中へ来たの?」
「美和が持ってると思ったんだよ」
「あるけどリュックの中で、リュックは山の上…」と上を指さす。
「うあー、信じらんねー。この暗闇をどうやって帰れと?」
「仕方ないでしょー」
「あのう、良かったら狐火をお貸ししましょうか?」
聴覚が良くて、ふたりの会話が聞こえていた戸隠が声をかける。
「戸隠さんっ。ありがとうございます」
美和と多嘉良は深々と頭を下げた。
ぼんやりと周りを照らす狐火を頼りに、神社に帰ってきたふたり。
「楽しかったなぁ。さえちゃん、さようなら…じゃない。またね。」
雲が晴れて月明かりに照らされて、村の夜は静かに更けていく。
*
月曜日。どうしてもさえがいた席を見てしまう美和。
「先生が、この席は誰も使ってないから机を片付けておくようにって」
クラスメイトがそう言って、さえがいた席を片付けていく。
*
移動教室で上級生のクラスを通りかかったときに
教室から声がした。
「この写真いる人。去年のだけど、誰かいる?…あーっ」
美和の足元に写真が一枚落ちてくる。
写真を拾って、美和は目を見開く。
さえ。
ふたりの少女の間から、さえがこちらを見ている写真だった。
「ごめん ごめん。風で飛んじゃった」
教室から出てきた上級生に
「この写真、欲しいです。譲ってください」と頼む美和だった。
「お金払います」
「ううん、いいよ。欲しい人はいないみたいだから、あげる」
「ありがとうございます」丁寧にお辞儀をして、写真を抱きしめた。
*
美和には人間の友達がいなかった。
そんな美和の部屋に、親友の写真が飾られた。
読んでくださってありがとうございました。
次回のお話も楽しんでいただけますと嬉しいです。




