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隠れチート、見つけました  作者: トニーひろし
第1章 異世界転移編
16/33

第16話本当に幸せ者だと感じました。

次回は明日の12時過ぎに第17話掲載予定です。

ブクマ、感想、評価、レビューも出来ればよろしくお願いします。






 俺はスキルの種の入った容器を手に持つ。


「やはりスキルの種は今使う方がいいかな?」

「そうですね、売る気がないならそうするべきだと思います。わざわざ保管しておくメリットも無いですし」

「それには賛成だよー。やっぱ問題はその分配だな」


 フィンとレイナが白金貨を回して遊びながら言う。君たち、遊ぶなら銅貨(約1円の価値)にしなさい!


「分配かー。スキルの種は10つあるんだから山分けの3つずつで、残った1個は盗んできたレイナが使えばいいんじゃないか?」


 レイナに向かって俺は言う。


「「――っ!?」」


 レイナとフィンはその俺の言葉を聞いて目を見開いた。

 どうしたのだろう? そんなに驚いたような表情をして⋯⋯。


「ご主人様は独り占めしてしまおうとか思わないんですか?」

「ここまで欲のない奴も珍しいな」


 なるほど、2人は俺がスキルの種を独り占めすると考えていたようだ。

 確かに超希少アイテムだし、俺には相性がいいアイテムだ。けど独り占めするほど俺も落ちぶれてはいない。


「そんな事思わないよ。俺がそんな人間だと思っていたのか?」


 意地悪くニヤつきながら2人を見る。

 少しからかってやろうと思ったのだ。


「いえ、そんな事は」

「いやー、俺はそう思ってたよー」

「お前!」


 フィンの目つきが細く、つり上がったように豹変する。

 レイナはそれに全く動じずに、両手を適当にいじる。


「いやいや、だってさ俺たち一応眷属なんだから主人には逆らえないじゃん? だったら普通はもっと自分勝手に俺らを使うだろ」


 そう、この世界では眷属が主人に反逆する事を許さない仕組みとして眷属はその主人を殺そうと場合、身体に電撃のような痺れが走って麻痺状態になるらしい。勿論、この状態になったらどんな強力な眷属でも動けない。

 つまり『眷属』と『主人』の関係には単なる主従の上下関係よりもより明確な上下関係が存在するのだ。


「それは確かにそうかもしれないですけど」

「はい! 認めた!」

「私たちのマスターですよ! 貴方にはもっと敬いの心が必要だと思います」

「フィンは堅物すぎるところが難点だと思うよ」


 舌を出してコッチを見た後、レイナの表情が嫌らしい笑みに変わった。フィンをわざと挑発してからかっているようだ。


「ムムムムッー!?」


 フィンが顔を真っ赤にしている。

 この2人の性格は本当に噛み合わない。


「2人ともそこまで。フィン、さっきのは冗談だから。レイナ、あまりフィンをからかうな」

「はい、すみません」

「あははっ、つい」

「おふざけはここまでにして本題に戻ろう」


 そう俺が言うと2人とも真剣な表情になった。フィンはともかくレイナも根は真面目なんだと思う。


「俺はお前達2人の事を大切に想っている。勿論『眷属』としてではなくて『仲間』としてだ。だから立場の上下関係を利用した独占とかはしない」


 俺が自分の眷属を『仲間』として扱う理由は大きく2つある。

 1つ目は『眷属』として扱うよりも『仲間』として扱った方がこれからの冒険が楽しくなりそうだからである。

 ――何事でも言い合える関係自体がそれだけで尊いものではないだろうか。

 2つ目の理由は『眷属が主人に反逆する事を許さない仕組み』の穴をカバーするためだ。

もし、眷属が主人を本気で裏切るなら主人を直接手にかけなくてもやり方はいくらでもある。例えば、主人の情報を流して自分以外の奴に殺させるとかである。

 それを防ぐためにはやっぱり自分の眷属を『仲間』として大切に扱う事である。自分の眷属との間にしっかりとした信頼関係が築けていれば反逆されたりしないのだから。


「マ、マスタ〜」

「ハ、ハン、俺はそんな事言われても特に嬉しくねぇけどな」


 俺の言葉を聞いて2人ともほんのり頬が赤くなっていた。フィンは目をウルウルさせてこちらを見ており、レイナはそっぽを向いている。

 ――アレ?なんだかチョロイ?

 これは眷属ハーレムも夢ではないかもしれない。

 そしてある程度レイナと親しくなった後に気づいたのだが、レイナはツンデレである。ツンデレは2次元だけの遺産ではなかったんだなと気づいた時に驚いたものだ。

 俺は今、猛烈に感動している。

 その数秒後フィンとレイナが真剣な表情に戻った。

 ――もう少し拝んでおきたかった。


「しかし、レイナの手柄と言ってもスキルの種はマスターがもっと使うべきです。このアイテムを最大限利用出来るのはマスターだけです。配分は私が2個でレイナが3個、マスターが5個がいいと思います」


 フィンが顎を手でさすりながら言った。


「しかし、いくら俺がアイテm」

「いいよ、博之は6個使いな。俺も2個でいい」


 しかし、『いくら俺がアイテムを最大限利用出来るからといってもスキルの種を半分も使ってしまうなんて横暴ではないだろうか?』 と言おうとした所でレイナがそう被せるように言ってきた。


「へっ!?」


 俺は予想しなかった展開に間抜けな声をあげてしまった。


「いいんですか?」

「まあ、少し貸しでも作ってやろうと思ってな」

「素直じゃないですね〜」

「お、俺はいつでも素直だぜ!」

「まあ、そういう事にしておきましょう」


 そして、俺が呆気にとられているうちにフィンとレイナの会話が終了する。

 おいおい、ちょっと待てって!


「流石に6個使うのは申し訳ないんだが⋯⋯」


 そう言うとレイナがメンドくさそうな表情を浮かべた。


「ああ、もう! あんたにあげるって言ってんだからありがたく受け取れって!」


 フィンは苦笑いしながら続ける。


「レイナも私も2個で十分です。マスター、6個のスキルの種をどうぞ使ってください」

「⋯⋯⋯⋯」



 2人の眷属の表情を見たらわかる。

 彼女達は俺に遠慮してそう言っているのではないと。

 それが分かった今、胸がとても熱い。

 溢れんばかりの気持ちが自然と言葉になる。


「ありがとう」


 息をするように自然にこの言葉が口から出て来た。

 俺は今、とても嬉しいと感じている。


「分かった。6個つかわせてもらおう」

「マスター!」

「フン、最初からそう言っとけば良かったんだよ」


 フィンが嬉しそうなキラキラとした表情で俺を見つめて、レイナはツンデレをかます。

 俺はこんな眷属に巡りあえて本当に幸せ者だと感じたのだった。



















次回は明日の12時過ぎに第17話掲載予定です。

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