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[COORDINATE 0068] Sage’s Labyrinth ver. Pioneer 3

# Sage’s_Labyrinth_2nd_Floor_1:


賢者マクスウェルは、思いついたかのように迷宮に罠を設置していた。

いや、本人に罠のつもりはなかったのかもしれない。

この部屋は分散して始まった方が、それらしい雰囲気が出ると思っただけの可能性が高い。


くそっ。賢者マクスウェルは、賢者を名乗るのをやめろ。

俺は、とっくに故人だろう数百年前の偉人に悪態をついた。


幸い、周囲に魔物の姿は見えない。

どうやら壁際へ飛ばされたようだった。

もし部屋の中央へ放り出されていたら、俺はもう死んでいた。


はっきり言って、これまでで一番の窮地だ。


子どもの頃、何度もじいちゃんに言われたことを思い出す。

嵐の中では冷静でなければならない。慌てて舵を握ろうとしたら、船から落ちるだけだ。


じりじりとした焦りの中、俺の額を汗が伝った。


まず、視線を足元へ向けて、自分が地面を踏みしめていることを確認する。

それから前を向き、大きく息を吸って吐く。

指をぐっと開き、それから強く握り込んだ。


賢者の迷宮は、上級魔物がひしめくSランク相当の危険地帯だ。

徘徊する魔物は、どれも俺が勝てる相手ではない。


だが、外の魔物と違って、ここの魔物はどこか動きがおざなりだ。

生命としての意志や執念が薄い。


まだ詰んでいない。


努めて冷静であろうとしながら、俺は周囲の観察を始めた。


広大な空間に造られた墓地だ。


石の墓標が無秩序に立ち並び、その間を埋めるように雑草が鬱蒼と生えている。

俺の背後には、これまでの通路と同じ褪せた砂色の石壁があったが、地面は土へ変わっていた。

湿った土の上で、どこから吹いているのか分からない風が草を揺らしていた。

頭上からは、月夜のような淡い光が静かに降り注いでいた。


視線を遮る障害物は多い。

墓標と雑草に紛れて移動するべきだろうか。


いや、落ち着いて考えるんだ。

物音を立てずに移動するなんて、俺には不可能だ。


迂闊に移動するわけにはいかない。

思考を巡らせているさなか、部屋の反対側で大きな爆発音が響き、火炎が巻き起こる鮮やかな光が見えた。


――ルナリアだ。


火炎の上がった方向を見やった。


……ついていない。

ルナリアは正反対の位置にいる。


しばらくして、墓場の中で蠢いていた魔物たちが、その爆発に惹かれるように一斉に動き始めた。


様子を伺うように、その動きを注視しながら俺は思考を巡らせた。


三人は、ばらばらに飛ばされたと考えるべきだろう。

それでも、今のルナリアやフェリスがそう簡単に後れを取るとは思わない。

だが、あいつらは分断されたと気づいたら、脇目も振らず俺を探し始めるはずだ。

そうなると、いくら二人でも危険だろう。


俺の生存と位置だけでも、知らせなければならない。


始めに灯火の魔法が思いついた。

だが、これは駄目だ。

周囲の魔物の敵視を引きかねない。


(魔族がいる可能性は低いはず。ローディングの光に賭けるか)


ローディングの光に魔物が反応したことは、これまで一度もなかった。

ルナリアとフェリスなら、その僅かな光でも俺の位置に気づいてくれるはずだ。


一縷の望みをかけて、俺は精神を研ぎ澄ませた。


――キンッ!


俺の周囲の雑音が遠ざかっていく。


薄暗い迷宮の墓地の中、俺の周囲へ柔らかな光が降り注ぎ始めた。

神威を感じる光が、木漏れ日のようにどこからか差し込む。

静かで美しい讃美歌の旋律が、遠くから響いてきた。


[ System : Universal_Truth_Loading... 1%... 5%... 10% ]


光の強さも考えると、五、六段くらいまで、なんとか階位を上げたい……。

だが、そう都合よくはいかなかった。


ローディングを行使し始めてすぐに、異変を感じた。

俺は即座にローディングを打ち切り、そちらへ視線を向けた。


[ System : Universal_Truth_Load 10% Reached ]


眼前の墓標の奥で、黒いものが蠢いた気がしたのだ。


やがて、ゆらりと魔物の影が浮かび上がった。

黒い襤褸切れのような布の外套を纏い、頭蓋に薄汚れた王冠を載せた骸骨。

その眼窩には、生者を憎むかのような赤黒い光が宿っていた。


――ハイ・アンデッドの代表格、リッチだ。


くそっ。


だが、まだ最悪ではない。そう自分に言い聞かせて、俺は心を奮い立たせた。

魔法型の上級魔物なら、即死しない可能性はまだある。


リッチは相性がいいしな。

いつか、ルナリアとともに挑んだあの日を思い出した。


俺はローディングを使用し、階位一段の支援魔法を、魔法耐性向上の属性にして自分に展開した。

腰紐に差していた鞘から、星切を抜刀する。

鋼の刀身が薄暗い迷宮の中で光を返し、鈍くぎらりと煌めいた。


リッチを覆う禍々しい黒い影が、ゆらりと揺らめいた。

魔物の周囲に未知の力が収束し始め、足元の草が風に煽られるようにざわめき出した。

徐々に、その魔力が冷気を帯び始める。


収束した魔力が、六本の氷の槍を形作った。

その槍は、凍てつくような冷気を放ちながら、俺を穿たんと迫ってきた。


靴裏で地面を踏みしめる感触を確かめながら、俺は星切を正眼に構える。

刀を振るうつもりではないから、両手でしっかりと柄を握り込んだ。


魔法を斬り落とすなどという芸当は、俺には不可能だ。

もちろん回避なんて出来ない。だが、あの魔法は俺の急所へ飛んでくるに違いない。


構えた刀で頭と正中線を守りながら、急所に範囲を絞った防御結界を展開した。

その直後、があんっと凄まじい衝撃音が響き、刀に二本の槍が激突した。


氷の槍が激突する衝撃を抑えきれず、跳ね返った刀の峰が俺の顔面にぶち当たった。

頭を仰け反らせ、意識が飛びそうになる。

同時に、凄まじい激痛が腹と左脚に走り、その熱を帯びた痛みが、返って俺の意識を繋ぎ止めた。


鼻血を垂らしながら、即座に致命傷を癒した。

片脚の機能が止まり、崩れ落ちようとしていた俺の身体は、なんとか踏みとどまった。


あ、危ない。

腹に飛んでくるとは思っていなかった。

脳内を駆け巡る興奮がなければ、意識を持っていかれていた。


両脇の少し後ろの地面に、氷の槍が連続して突き刺さった。

どうやら、俺の退路を塞ぐように飛んでいたらしい。


俺はリッチを見やって口元を歪めて笑った。

たらりと垂れている鼻血を、左腕の袖で拭う。


「どうだ、生き延びたぞ」


深呼吸をしてから、再び星切を両手で握り、正眼に構えた。

俺は口元を真っ直ぐ結び、目に力を込めて、自分よりも圧倒的な強者であるリッチを見据えた。



# Sage’s_Labyrinth_2nd_Floor_2:


異常な不死性で耐えきった俺に、リッチが警戒したような素振りを見せた。

リッチは少し下がるように浮遊し、骨だけの左腕を伸ばし手のひらを広げた。


次の瞬間、周囲の墓標の根元の地面が一斉に蠢いた。

墓標を崩すように、土が盛り上がり、内側からスケルトンが這い出してきた。


地中から現れたのは、褪せたような赤い色をしたスケルトン。

それが、六体。


それぞれのスケルトンが、錆びた剣や槍を握ったまま、ぎしり、ぎしりと音を立てて立ち上がった。

骨を軋ませる音を立てながら魔物が迫ってきた。


俺は速度上昇と物理攻撃力向上の属性で、支援魔法を自分にかけた。

淡い光が、俺を優しく包み込み、粒子となって消えていく。


「星切、頼むぞ…」


俺は刀に話しかけながら、上段に構えた。

もっとも近くにいたスケルトンが一体、大剣を真横へ大きく引いた。


両手剣が横薙ぎに払われた。

俺はそれを避けようとはせず、ただ刀を真っ直ぐに振るうことにのみ意識を尖らせた。

右手でしっかり握った星切が、一直線に縦に奔る。

左手はその道筋を補正し、俺の袈裟斬りが赤いスケルトンを砕いた。


両手剣は振り抜かれた勢いのまま、スケルトンの腕ごと彼方へ飛んでいく。


地を這うように、巨大な剣が迫っていた。

ところどころ刃こぼれした、身の丈よりも長い両刃の巨大剣が、ぎゃりぎゃりと地を削りながら俺へ迫る。

速度は遅く、俺はあっさりとその剣を飛び越えた。


跳び上がったまま、星切を上段へ構える。

そして真っ直ぐに振り下ろした。

だが、スケルトンが身を捻るようにして、それを回避した。


「くそっ。調子にのった」


中空では、思ったような剣筋を走らせることが出来なかった。

だが、そのスケルトンは巨大な両手剣を操りきれておらず、構えを取り直すのに手こずっていた。


俺はすぐに地面を踏みしめ、同じように上段に構え一気に振り下ろす。

二体目のスケルトンがずばん、という音を立てて両断された。


お、おおお。

両断できた!


喜んでいる暇は無かった。

さらに、二体のスケルトンが同時に俺へ迫ってきた。


片手剣を握ったスケルトンが、その剣を無造作に振り下ろしてきた。

槍を持ったスケルトンは鋭く突きを放ってきた。


身体を捻るようにして槍はなんとか避けたが、剣は避けられないと判断する。

俺は迫る片手剣へ、左腕を振るった。


鮮血が迸り、熱い激痛が奔った。

俺は歯を食いしばり、左腕に食い込んだ剣をそのままスケルトンから引き剥がした。


地を蹴って距離を取り、星切の柄で俺の腕に刺さった剣を叩き落とした。

すぐに回復魔法をかけ、再び星切を上段に掲げて、無手のスケルトンへ鋭く振るう。

そのスケルトンが砕けるのを確認し、槍のスケルトンへ星切を振り抜いた。


槍で防御され、俺は反動で仰け反った。

スケルトンが今度は槍を薙ぎ払おうと、横へ大きく引いているのがわかった。

俺は魔物の足元に、防御結界を最速で展開した。


その結界に足をとられ姿勢を崩したスケルトンに向けて、袈裟斬りを放った。

星切はスケルトンの肩を砕き、肋骨を砕き、そのまま最後まで振り抜かれた。

槍のスケルトンがその場に崩れ落ちた。


「腕が痛えええ! でも、やったぞ!」


これはもう、ルナリアとフェリスにぺろぺろしてもらうのを我慢しないでもいい頑張りだろう。そういえば、旅に次ぐ旅だったから、いつかの温泉宿の部屋着を着てもらっていない。

あれを着て、前後から抱きしめてもらおう。


残るスケルトンは二体だ。

この色褪せた赤いスケルトンは、下級の上位くらいの強さだな。

気が変わってリッチが魔法でも撃ってこなければ、勝てる。


残るスケルトンは、剣と丸い木製の盾を持ったものと……ん?

もう一体のスケルトンの武器は、弩だった。


「そ、それはずるいぞ!」


先程まで別のスケルトンがいたから、撃てなかったのだろう。

射線を遮るものがなくなったそいつは、ぎりぎりと弩を引き絞り始めた。


刀で矢を防御するべきか。

いや、そんなこと出来るはずない。

さっき、氷の槍を防げたのは、槍が大きくて勝手に刀に当たったからだ。


小さな点の攻撃を防げるような技能はない。

なにかないか。


すぐに、俺は星切を鞘に仕舞い、背の荷物から硝子板を取り出した。

金属質の装飾のされた硝子板。

その金属面を、敵の方へ向けた。

頭と心臓、どっちだ。


よし、頭だ。


そう決めて眼前に硝子板を掲げた直後、ずがん、という音とともに矢じりが硝子板を突き抜け、そこで止まった。

俺は矢の刺さった硝子板を、剣と盾のスケルトンへ投げつけてから駆け出した。


弩を再び引き絞ろうとしているスケルトンを右腕で殴り飛ばす。

俺の握り込んだ拳の指が折れた。

だが、スケルトンの頭蓋にもひびが入り、そいつは仰け反った。


俺は、軸足で強く地面を踏み込んだ。

右手を治癒しながら、再び星切を抜刀し、上段から振り下ろした。

ずばん、とスケルトンが両断され崩れ落ちた。


ガルデン……ありがとう!!


剣と盾のスケルトンが、自分の盾に剣の柄を打ちつけて、がんがんと音を立てていた。

それから、剣を振りかぶり俺へ迫った。


俺は星切でそれを防御した。

金属同士がぶつかる硬質な音が響き、俺とスケルトンが同じように仰け反る。


俺は袈裟斬りを放つべく、上段へすっと刀を構えた。

強く目元に力を込め、先程までと同じように俺が辿るべき剣筋を脳裏に走らせた。


(まずい。盾を持った相手に、俺は刀を振れない)


見え透いた上段からの振り下ろしは、盾で簡単に防がれてしまう。

俺は切り替えて、真横へ刀を振るった。

だが、袈裟斬りに比べて数段練度の落ちるその一撃は、スケルトンに届かない。


スケルトンと数度、剣と刀を打ち合った。

焦れたように、スケルトンが俺を打ち付けようと盾を押し出してきた。

俺は星切の柄を当てて、かろうじて防御する。


攻撃のために押し出された盾を、俺は思い切り蹴り抜いた。

があんっという音が鳴り、スケルトンは盾を握った左腕ごと後ろへ弾かれた。


俺は星切を上段へ掲げた。

腹の下に力を込め、全身の力を使って星切を振り下ろした。

ずばっという音とともにスケルトンが両断された。


「よし! 勝ったぞ! どんなもんだ! はははは!」


土から起こされたスケルトンを俺は全滅させた。

だが、何も前進していない。


勿体つけるかのように何もせず浮かんでいたリッチが、ついにこちらを強敵と認識したのか、その眼窩の赤黒い光が揺らめいた。

リッチが天高く、骨の腕を掲げ理解できない言語を発し始めた。


「I, a nameless seeker of endless life, manifest absolute frost that erases all.」


膨大な魔力が収束し始め、リッチを覆う黒い影が揺蕩う。

冷気を伴うその魔力は、魔物の願いを叶えんと渦巻き始めた。


リッチの大魔法だ。


「いやいやいや、俺にそんなもの使うなよ!」


俺がそう声を上げた瞬間だった。


地面がひび割れるような轟音とともに、赤い炎がリッチの背後に巻き起こった。


迷宮の光に金糸の髪をきらきらと輝かせながら、ルナリアが中空に舞っていた。

ふわりと浮き上がった白いスカートの奥から、汗ばんで熱を帯びた肉感的な太ももが惜しげもなく覗いた。


「わたしのアルスに、触るな!!」


燃え盛る紅蓮の剣を頭上に掲げた彼女は、いつかと同じ言葉を叫び、同じように俺を助けてくれた。

紅蓮の剣が、一直線に奔る。

轟々と燃え盛る炎の剣がリッチを炭化させながら切り裂き、その骨は飛び散ることもなく消滅した。


[ System : Lunaria Reason_Gauge -10 ]


スケルトンとの戦闘に集中していて、ルナリアがすぐそこまで来ていることに気がついていなかった。いや、彼女の駆ける速度が凄かっただけかもしれない。


そのまま軽やかに着地したルナリアは、俺を見つけるなり一直線に駆け寄ってきて、押し倒さんばかりの勢いで抱きついた。

戦いの熱気を含んだ彼女の甘い汗の匂いが、俺の鼻腔を刺激した。

華奢な身体には不釣り合いなほど豊かな胸が押し付けられ、ぐにゅりと形を変えながら俺に密着した。


「アルス! 大丈夫!?」


俺は安堵して、右腕をおろした。


「ああ、ありがとう。ルナリア、助かった……」

「うぅぅ、怖かったよ……」


ルナリアは、俺のことが心配で怖かったんだろう。

言葉の足りない彼女の気持ちが、俺には痛いほどよく分かった。


彼女の来た方向からは、凄まじい数のアンデッドが迫っていた。

俺のもとへ駆け寄るために、攻撃をその身に受けながら突破してきたのだとわかった。

俺は傷だらけの彼女の背中に回復魔法をかけて癒した。


「ルナリア、俺は大丈夫だ。魔物を倒すぞ。フェリスは見つけたか?」

「うぅ。ひっく……。フェリスちゃんはまだ見つかってないの」


見た感じ、かなりの魔物がルナリアの戦いに引きずられたみたいだ。

これなら、フェリスは大丈夫だとは思うが、早めに合流したい。

だが、眼前の魔物をまずは対処しなければならない。


俺はルナリアに支援魔法を展開した。

「ルナリア、まずはあれを倒すぞ」

「……んっ。あぁん!……うんっ、あっ……。うん! 任せて!」


ルナリアは快感に身を震わせるようにして、涙で潤んでいた赤い瞳をさらに潤ませた。

熱を瞳に宿したまま、ぷるんとした唇に笑みを浮かべて、彼女は魔物の群れへ向き直った。


大地を強く踏み込んだルナリアが、魔物の群れへ一直線に突進していく。

毛先に緩やかな波を描く金糸の髪が、迷宮の光を受けて艷やかに輝いていた。


彼女の握る業火の剣はさらに激しさを増し、轟々と燃え盛った。

赤い剣閃が縦横無尽に奔り、ハイ・アンデッドを次々に両断していく。

そのルナリアへ向けて、リッチたちの氷の槍が一斉に放たれた。


彼女は地面を陥没させるほど強く踏み込み、跳び上がった。誰もいない地に次々と氷の槍が突き刺さっていく。


中空に回避したルナリアが、真下へ向けて爆炎を叩きつける。

「――ファイアブラスト!!」


爆炎が大地を焦がし、凄まじい土煙が上がった。

火炎に巻き込まれた周囲の魔物たちが、怯んだように動きを鈍らせる。

その土煙の中へ、ルナリアは業火の剣を左へ引き絞りながら降下していった。


直後、土煙の奥で火炎が描く真っ赤な円が二度閃いた。

一閃目で周囲の魔物が両断され、二閃目でその外側にいた魔物まで崩れるように吹き飛んでいく。


その後方にいた三体のリッチが、同時に理解不能な言語を紡ぎ始めた。

大魔法を同時に放とうとしているのだ。


「ルナリア、気をつけろ! 大魔法だ!」


だが、そのリッチたちの眼前に、鮮やかな緑の疾風が巻き起こった。


「……すまない、遅くなった。……だが、アルス。無事でよかった」


フェリスの鋭く振るわれた緑の剣閃が奔る。

さらに彼女は瞬間移動を繰り返し、三体すべてのリッチの詠唱を次々に止めていく。


「フェリスちゃん、無事だったんだね!」

「……ああ。さっさと片付けよう」


フェリスが動きを止めたリッチたちへ、ルナリアの業火の剣が閃いた。

リッチをあっという間に屠った彼女たちは、そのまま続けざまに剣を振るった。


赤に、緑と紫。


その三色の剣閃は絡み合うような連携で奔り続け、残る魔物たちを次々に討ち倒していく。

この墓場の魔物がすべて沈黙するまで、そう時間はかからなかった。



# COORDINATE 0068 END

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