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2話 案内人

僕はアウレリウスの話をただ黙って聴いていた。


アウレリウスは、悲しそうな表情で続けた。

「君は、この世界を救うために、星々に選ばれたのだ。君の力で、この世界を、この

星都を救ってほしい。」

アウレリウスの言葉に、僕は息をのむ。どんな反応が正解なんだろうか。

「僕が…この世界を救う…?」


アウレリウスは戸惑っている僕を見つめると静かに息を吐いた。


「さすがに突然すぎる話であるから、まず君の案内役を紹介しよう。」

齢は僕と同じくらいだろうか。アウレリウスは、僕に一人の青年を紹介した。

「よお、アキト!俺はシエル!こいつは星霊のシルフ!よろしくな!」

シエルは、太陽のような明るい笑顔で僕に話しかけた。彼の隣で、シルフはくるくると宙を舞い、楽しそうに風を巻き起こしている。

「シルフは風属性の星霊で、俺の相棒なんだ。強力な風魔法を操れる気の良いやつだよ。ま、分からないことだらけだろうから俺達を頼ってくれよな!」

シエルは、シルフのことを自慢げに紹介した。シルフは嬉しそうに風を巻き起こした。

「当面はこの街で暮らすことになるだろう。まずは王と謁見するとしよう。この国の歴史、文化も学ばねばなるまい。やることは山積みだが…」

コンコン。 アウレリウスの途中でドアが音をたてる。


「アウレリウス様、アキト様、ナルジア国王陛下がお待ちです。」

イリスがやってきて王様へ会うことになった。王様って一体どんな存在なんだろうか。まったく想像もつかないけど。

どのくらい歩いただろうか。今記録官の部屋に戻れと言われても迷子になってしまうだろう。イリスがドアの前で立ちどまった。

「王は今執務室におられます。非公式のためこちらで王と謁見していただきます。シエル様とシルフ様はこちらでお待ち下さい。」

アウレリウスに促され共に入っていく。こんな時なにか言うべきだろうか?

「し、失礼いたしますっ。」うわずった声が響く。机の奥に座る国王が腕組みをしたまま、わずかに顎を上げて僕を見た。値踏みするようなその眼差しは鋭く光を放っている。傍には、スラッとした美形の青年が少し緊張した面持ちで控えている。隣には美しいという言葉で済ませていいのか分からないほどの美人が立っていた。

「ふむ、そなたがアウレリウスが騒ぎ立てている異邦の者か。まあよい、話は聞いている」

国王の声は低く、どこか人を試すような響きがあった。

「は、はじめまして、国王陛下。アキトと申します」

僕は緊張しながらも、深々と頭を下げた。

「堅苦しい挨拶は不要だ。余は、予言などという曖昧なものに左右されるつもりはない。だが、アウレリウスがそこまで言うからには、一応話を聞いておこうと思ってな」

国王の言葉に、僕は内心で驚きを隠せなかった。予言を信じていないのか。僕は不要な存在として処刑されるだろうか?

「アウレリウス様からは、星都が抱える問題、そして古代の予言について伺いました。私にできることがあれば、微力ながら、この世界のために尽力したいと思っております。」

僕の言葉が終わるか終わらないか食い気味で、国王は鼻で笑った。

「尽力、か。異世界から来たばかりのそなたに何ができるというのか。まあよい。マキアス」

国王が隣に立つ青年に目を向けると、彼は少し気まずそうに一歩前に進み出た。

「アキト様、私は第一王子マキアス、どうぞお見知りおきを。わたしは異世界の話にとても興味があります。客人としておもてなしさせていただきますので、なにか入り用ならなんなりと。」

「ありがとうございます、マキアス王子殿下」

なんだか王子の言葉に、わずかながら救われた気がした。親切そうな人だな。

「まずはこの星都の様子をよく見るといい。アウレリウスの言葉を鵜呑みにせず、己の目で確かめるのだな。協力は…まあ、そなたの行動次第で考えよう」

国王はそう言って、再び腕を組み、アキトから視線を逸らした。マキアスと呼ばれた王子の隣にいる人は誰だろうか?特に挨拶もなかったけど。僕はアウレリウスと共に退室した。シエルとシルフが心配そうな表情でイリスと話している。イリスもまた、困惑したような顔をしていた。

極度の緊張で喉が渇いたようだ。


「なぁ、爺さん、イリスも上がりだろ。アキトが来た記念だし親睦を深めるためにもみんなで街に行こうぜ。ナナリィの店にいい酒が入ったんだよ。アキトも飲むだろ?」

「まあ今日はもうすることもないしの、今後のこともつめなくてはならん。酒が飲めるならそのほうがいいじゃろう。」アウレリウスはお酒が好きなようだ。 

「いいですね。わたしも行きます。準備するので現地集合にしましょう。」

「僕はシエルがいないと何も分からないからね。よろしく頼むよ。」この世界の街に繰り出すことにしよう。


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