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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
98/302

第93話 お姉さん、隣大丈夫?

 夕方...


 「あに。夕日綺麗だね。」

 「そうだな。」


 この町を一通りアイと周った。

 ...とても平和である、むしろ試食だとか言ってお茶と団子いただいてしまった事もあった。

 

 今はすっかり夕方。

 空は綺麗な夕日の色に染まっており、生暖かい風が吹いてゆく。


 アイは流石に眠くなってきたようで、変な所で寝落ちしてしまうと危ない、そろそろ新しい家に帰るとしよう。


 そうしてギルド前に通りかかった時だった。


 タッタッタッタ...


 「?」

 「よーし終わったー!!」

 「「ええ!?」」


 アイの眠気が吹っ飛んだ。


ーーーーーーーーーー


 キジコです。

 依頼全て終えて無事帰還致しました!

 ふぃー...すっかり夕方だなぁ、お腹減ったぁ〜〜〜。


 ...あら?そこにいるのは、


 「な...本当に、終えたのか...あんた!?」

 「そうだよ。ほら、エルバス結晶。」

 「...お姉さんすごいね。」

 「ふふ、ありがと!」


 朝に会った、この町に引っ越してきたご兄妹がいた。

 気にしてはいなかったが、

 ロイヴィという男は普通な、カジュアルな服装をしており、

 アイという少女はどこかのご令嬢私服のような服を着た兄妹。

 そして2人とも綺麗な夕日色の金髪。


 ...おお、見惚れている場合じゃないな。

 依頼完了の報告してこなきゃ。あー、今日は魔物多かったなー。


 数分後...


 ふむ、割と小型ばかりだったし10Gゴールド、70Sシルバーも納得かな。頑張った頑張った。


 疲れたのでギルドの酒場のカウンター席で冷えたサンの実ジュース頼んだ。暑い時はこれに限る。(酒は飲まないよ。)


 「...お姉さん。隣大丈夫?」

 「あら?」


 すると現れたのは夕日色少女オレンジガール...アイ。

 物静かな声で私の隣に座る。

 ...可愛い。


 「どうしたのかな?」

 「お話、お願いする。店長、サンジュース。」

 「あいよ。」


 なんだろ、ゴーグル関係無しに不思議な子だ。でも可愛い。


 「どうぞ。」

 「感謝。」

 「...えーと、アイちゃんだったかな。」

 「アイでいい、です。話の内容ですか?」

 「そう。」

 「...ゴーグル。気にならないの?」

 「へ?ああ、気にしないね。近頃より物騒なやつと戦ってるからね。」

 

 ※例...マギアシリーズとかマギアシリーズとかマギアシリーズとかマギアシリーズとかマギアシリーズとか...


 「何それ、怖。」


 デスヨネ。

 普通そんな世の中知ったら怖いよね、そんなのに立ち向かってるお姉さんも怖いよね。


 「はは...、それゆえアイのその姿ぐらいじゃなんというか、大して気にする必要もしなかったって感じなのよね。そもそも人間誰しも色んな事情抱えているのが普通だ、堂々と生きていいんだよ。」

 「...優しいんだね。」

 「またありがとう。ちなみにアイは好きな事ってある?」

 「好きな事?...ない。」

 「そうか。...でもこの町にいりゃ見つかるんじゃないかな?私まだ知らない事多いけど楽しそうなの見つけたよ。」

 「そうなの?じゃあ...探してみる。」

 

 「アイ、そろそろ帰るぞ。」

 「わかった、あに。」

 「...ありがとう、キジコさん。」

 

 2人は帰って行った。


 ...きっと何か事情があるのだろうけどまだ踏み込むのは早い気がする。

 また出会ったらちょっとした会話でもしよう。


 「マスター、ジュースご馳走様。これお金。」

 「ありがとさん、また来いよ!」

 

 そうして私は館へ戻った。



 「アイ、キジコさんと話をしていたようだが...どうだった?」

 「良い人。もっと話をしてみたい。」

 「そうか、...この町に来て良かった。」

 

ーーーーーーーーーー


 「...プラドか。」

 「?、知ってるの?」


 私は館へ戻りエルバス結晶を採取していた際に現れた男について朱斗と蒼鈴に話した。


 「ちょっとだけな。ここから離れた国に住む有権者でな、黒い噂があるんだ。」

 「黒い噂?」

 「人攫いだ。」

 「!」


 ...なんか怪しい雰囲気があったがそういう事か。


 「珍しい人種や魔力の強い人間がここ数年奴の住む町を中心に起きていてな、事件の発生現場では大体の確率で目撃されている。」

 「...そんな奴だったのか。」


 ...私も弱けりゃ最悪攫われていたかもしれないな。


 「だとすればこの名刺も...やはりな。」

 「追跡の術式が仕込まれてたよ。そのプラドって奴が去った後調べてみた。術式学まだ少しだけど学んでおいて正解だった。」

 

 実際、こうやって名刺にGPS機能のような術式が仕掛けられていた。場合によってはこの町の人も被害に遭っていただろう。


 「...奴は何か言っていなかったか?」

 「えーと...炎の魔人がここらに現れたとかなんとか。」

 「炎の...?」

 「魔人?」

 「...その様子だと知らない感じだね。」


 プラドの言ったその炎の魔人ってなんだろうか...奴を警戒すると同時に調べておこう。


 人攫いだとすれば、その炎の魔人はなんらかの力を持った人物なのかもしれない。


 「炎の魔人ってのが何者かわからないが、おそらく人間だ。人攫いが目的で動いているのならばそう推理できる。」

 「よし、そうと決まれば隠密部隊を動かすとしよう。今日は報告に感謝する。」


 炎、最近現れた...。

 ...そういえばあの兄妹、夕日のような金髪だったな。

 何か関係あるかもしれない。


ーーーーーーーーーー




 ...追跡の術式の反応がないな。

 どうやら気づかれたようだな。


 しばらくは部下を忍ばせてみるとしよう、

 炎の魔人を売り捌けば莫大な利益を期待出来る、人件費に糸目をつける必要ないだろう。


 「なら、その魔人とやらは我々が買ってよろしいでしょうかな?」

 「な!?」


 後にいつのまにか白衣を着た初老の男がいた。

 

 「失礼、私は生物研究をするものでしてね。その炎の魔人とやらに興味が湧きましてね...こちらがその捕獲に手助けをしましょう。」

 「なんと!そうであればそちらに売るとしよう。」


 怪しむこともなくその案を飲むプラド。


 「ありがとうございます。金額は.....でよろしいですかな?」

 「ふ、いい額出すじゃないか。ではすぐに動くとしよう。」



 (炎の魔人ねぇ...新しい被験素体としては面白そうじゃないか。)

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