第85話 武器を新調しよう
キジコです。
私と同じ神獣候補であるニコという獣人と戦い1日が経ちました。
現在はニコ派の獣人国パースへ、エデルの大統領が正式な同盟を結ぶために明日向かうという事で準備をしている。
そのため館内や外は政府や警兵達が明日のための準備をしており緊張感が走る。
クロマとルザーナも朱斗と蒼鈴の手伝いのため動いているそうだ。
しかし私はちょっと急ぎで確保しなければいけないものがあったのだ。
え?何かって?
武器です。小太刀です。
折れました、昨日。
ニコとの激闘の末折れました。
ちなみに向こうは魔法具の大剣にヒビが入ったそう。
魔力を纏わせていたもののあの小太刀は魔法具でもなんでもない、本当にただの小太刀だったので耐久力が保たなかったのだ。
これは不味い。流石の私でも魔力量は無限じゃないし、物理で攻撃しようにも相手がニコのような激強戦士とかだったら拳だけで戦うわけには行かない。
ヴァルケオ達が私自身の戦い方にあった上で選んでくれた武器なのだ。実際魔法の発動のしやすや、機動力の確保を十分に出来た。
武器とかは自分で選ぼうかなって気持ちもあったけど、誰かに選んでもらうってのも悪くない。
というわけで私は良い鍛冶屋を探すべくリーツを周るのだ!!!
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ふーむ...
とりあえず色々走り回ったが、この町の鍛冶屋は3軒。この町広いからちょっと大変だった。
この3軒は刀の製造もしているが...刀は製造に時間がかかるから既に作られているのを購入しようとしたが、小太刀はどこにも売ってはいなかった。
ちょっと困ったな...この異世界は敵がドロップアイテム持ってるとかそういうのじゃないし...
「師匠ー!!」
おや?この声は...
「師匠、私思いつきました!!」
目を光らせ現れたクロマ。
思いついた?ああそういえば小太刀の事話してたな。
「師匠、確か折れた刀の破片全て回収していましたよね?」
「うん。」
「魔力変形ですよ!!」
「え!?」
魔力変形は魔力を纏わせた物体を変形させる技だ。
元から魔力を帯びていたり魔力が強い者ほど正確な造形が出来たり、永続に変形させたりする事ができるのだ。
確かに魔力変形なら元に戻せる...。
だが、今後の事を考えるなら耐久力や斬れ味を強化しなければならない。
「元には戻せるだろうけど、今後の事も考えて強化する必要あるけど...どうしよ?」
「ふふん、お任せ!これを使うのです!」
[クロマはフォーセ鉱石の結晶を出した!]
「....は?」
「いやー、以前師匠が研究所にカチ込んだ際に私達岩場に隠れてましたよね?あの辺りに偶然フォーセ鉱石の欠片がいっぱいあったの。
おそらくこの岩場でも何かしら実験していたんだろうと周辺探し回っていたらまた欠片がいっぱいありました!
そのあとルザーナに集めた欠片を魔力変形させ、この様に結晶にしました!!」
なんて事をーーーーーーー!!!
「マジか...これ持ってちゃまずいのでは..?」
「朱斗蒼鈴さんには見せたのですよ?そしたら、採掘禁止区域外にあった物である上に加工したなら加工した私がなんとかしてくれって言われましたので!」
あの2人なんて事をーーー!!!
「これを魔力変形で混ぜ込むのはどうでしょうか!?」
この子そんな危なっかしい発想する子だったかな!?
いやでも初対面いきなり泥棒紛いの事してきたしそこまで...いやいや..。
「でもつまり...事実上適切に扱うのであればどうだって構わないって事だよね、それ。」
「はい!」
というわけで私は危なっかしい素材を使い装備を作成...いや、改造するのでした。
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町外れ、改修予定の家付近の平野にて。
「この辺で行うか。ちょうど大きな木があったから日除けには良いだろう。」
「はい。材料はフォーセ結晶に加えこれです。」
クロマは金属片をいくつか出した。
「これは?」
「鍛冶屋にて発生した屑鉄です。使い道自体はあるのですが、その時ちょうど金属の在庫が結構あったみたいで、欲しいと言ったらくれました。良質な鉄なのでちょうどいいかと思いまして!」
「おお!それはありがたい。」
なんだかんだ優秀な所が多いのよね、この子。
「じゃあ、始めようか。まずは屑鉄を使って修復と再精錬しよう、魔力変形!!」
小太刀は輝き始め、折れた破片と屑鉄が融合し始める。その際不純物であろう物質を少しずつ取り除き、しっかり固める。
刀は結構複雑な構造なので、それぞれの割合が狂わないよう調整するのがかなりキツい。
数分後...
「よし、土台は出来た。あとはフォーセ結晶混ぜるだけだ。一番面倒だろうけど...。」
「頑張れ、師匠!!」
フォーセ鉱石を浮かせ、小太刀に魔力を込める。
「魔力変形!!」
すると....
「え...え....!?」
小太刀は怪しい光を帯び、膨大な魔力エネルギーが小太刀に注ぎ込まれてゆく。正直、少しでも油断すれば暴発も起こしかねない状況である、意識を飛ばさないよう精神を研ぎ澄ます。
「(す...すごい魔力...!!これが高純度のフォーセ結晶の抽出エネルギーだなんて!...不純物の多い鉱石と比較にならない...。師匠、頑張れ!!)」
「...。」
練り込まれる魔力は小太刀と一体化し、どういうわけか刃の刃文が不均一な波状に変化してゆく。
フォーセ結晶が完全に小太刀へ取り込まれたようにも見えるが膨大な魔力はまだ怪しい光として残っている。精錬はまだ終わっていない。
光が少しずつ収まってきたのは15分経った頃だった。
「(頑張って...師匠!)」
「シュルルル....シャアアッ!!!」
「...!?」
あと少しであろうタイミングで現れたのは黒い鱗の大きな蛇だった。以前キジコが戦ったあの大蛇よりも大きい。
おそらく、精錬により発生した魔力に反応しやってきたのだろう。
「...クロマ、お願い。絶対に近づけさせないで。」
「お任せください、師匠。」
こんな大きな魔物が町へ侵入したら大変だ。
クロマは杖を構える。
「師匠へは絶対触れさせません!!」
キジコ防衛イベントバトル、開始!!
今更ですが
シャープチェンジは元々[魔法整形]と書いておりましたが、だんだん整形どころじゃなくなってきましたので、字を変え[魔力変形]に変更致しました。




