第86話 久遠
本日2本目です(書き忘れ)
クロマです。
現在師匠は武器の小太刀の強化のために私がプレゼントした高純度のフォーセ鉱石ことフォーセ結晶を使用しています。
そして今発せられた膨大な魔力に惹かれ大蛇の魔物が現れちゃいました。
このまま下手に危害を加えられるとフォーセエネルギーが暴発して大きなクレーターが出来かねません。(爆発範囲は師匠に言っていない)
そのため私は師匠を全力でお守りするべく杖を構えるのでした。
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師匠の集中を保つためには衝撃の大きな魔法は厳禁、まずは離れた位置に移動するために大蛇のヘイトを私に向ける必要があります。
生憎対象の視線を発動者に注目させる技を持っていない私。
なので雷属性エネルギーを自身の周囲に纏わせ光量を増します。
師匠はちょうど木に隠れる位置なのでこれくらいはまだ大丈夫でしょう。
ついでに大蛇の鼻っ柱に浮遊魔法で小石をぶつけてやったら、
「ッ!?ジャアアア!!!」
簡単に矛先が私へ向いた。
そのまま私は大蛇を師匠から離れた位置へ誘導した。
「ここならお前を倒せるね!サンダースピア!!」
雷の槍は大蛇に向かって飛び、胴体に命中。
だが、触れた途端槍が消えた。
「ゲッ、雷耐性のスキルか何か持ってるな..。属性耐性持ちは下手に放っておくのも危険だ、転移させどこかに置いてくるって言う戦法はするわけにはいかない。...なら!」
クロマは再びサンダースピアを放つ。
大蛇は今の攻撃が自分に効かない事を理解したのか、避けようとしなかった。
「余裕ですってか?甘い!!」
クロマが狙っていたのは大蛇ではなくその後ろ、森の木だ。
木はサンダースピアによって破壊され木っ端微塵となった。
「これを狙ってた、物体転移そして物体浮遊!!」
大蛇を囲むように針状の木片が現れる。
クロマは雷以外に、空間魔法も長けている。
だから砕けた木片を使い攻撃する事を思いついたのだ。
「はあ!!」
木片は次々大蛇へ突き刺さり、ダメージを与える。
「ジジジッ...シャアアアッ!!!」
大蛇は無理矢理私を食おうと図体に合わないくらい素早い瞬発力で襲い掛かる。
だが軌道が読めたので上に逃げる。
「どーんなもんだい!!バルバの魔女、クロマ様を甘く見ると痛い目見るってことよ!!」
自信ありなクロマ。
すると大蛇が魔力を込め始める。
「ハーッハッハ....は?」
「ジャァッ!!」
なんと雷属性の魔力弾を吐いてきた。
それもかなりの威力を持ったもの。
「嘘でしょ!?わぁ!?」
「ジャァッ、ジャア!!」
クロマは宙を高速移動し避ける。
大蛇は当てようと何度も雷弾を吐き続ける。
「驚いたわ...この前の鹿ほどじゃないけど、こんな強い魔物がいるなんて...。」
流石のクロマもこの事態に驚いている。
キジコはこの世界のことは知らない事が多いが、本来野生の魔物は自身に向いた属性や力を持つのが普通。
しかし稀に種族とは関係ないはずの力を持ち操る魔物も存在する。
そう言った魔物はその力を制御出来ず暴発や制御の失敗で長く生きる事が少ないのだ。
だが、突然変異という例外は存在する。
例外の例を挙げるならばこの前のカラミアだ。
なんらかの原因で膨大な魔力を得た鹿の魔物が魔力に適合、年月をかけあの様な存在へとなった。
そして今クロマが戦っている大蛇も例外だ。
この種族は本来雷属性とは無縁なのだ、耐性ならまだしも雷弾を吐くはずがないのだ。
「...ルザーナを今すぐ呼ぶべきか?私と相性悪いかもしれない。」
「シャアアア....!」
「...へ?」
例外はその種族の可能性の外、何が起こるかわからないものだ。
その脅威は簡単に推測できたものではない。
クロマは今、その例外の恐ろしさをその身を持って知るのだった。
大蛇から突然膨大な雷エネルギーと魔力が溢れ始める。
「嘘...なによ!?こんなのあり!?」
大蛇の頭には後ろに反った2本の角、体表には雷の様な黄色の模様。
その肉体に帯びているのは電気。
全長も少し大きくなっている。
「...師匠、ごめんなさい...こんなの反則だわ...。」
クロマは震え上がる。
大蛇は、[トゥルエヌ・トルム・スネーク]へと進化した。
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...!?、クロマの方から突然膨大な魔力が現れた!?
(警告、周囲にて魔物が進化を致しました。)
(警告、個体クロマの魔力を上回っています。)
はあ!?
魔物が進化しただと!?
それにクロマを超える魔力って...めっちゃまずい、精錬はあと少しだって言うのに...!!!
ルザーナを呼んでも今からじゃここまで来るのに時間がかかる、どうする!?
...待て、あのスキルなら!!
「シャアアア!!」
「きゃあっ!!」
尻尾で地面に叩きつけられるクロマ。
雷蛇は身体能力も大幅に上昇しており、魔法特化のクロマは劣勢に追い込まれている。
「...はああ!!」
クロマは魔力弾を撃ち込むが効いていない。
(...なんて強さ、師匠なら楽勝でしょうけど..私だとやっぱりきついな。雷耐性が無効化にまで至ってる、私の攻撃魔法は雷が中心だから相性本当悪いわ。
ルザーナを転移で呼ぼうとしたけど、この蛇の時折師匠のいる方向を向いている。私を倒し次第すぐ狙いに向かうだろう。
転移は場所に転移するスキルだから転移したって探すのに手間取れば終わりだ。)
もはやクロマは手の打ちようがなかった。
その時だ。
「アオーーーーン!!!!」
「へ!?」
突然聞こえてきたのは狼の遠吠え。
後を向くと、狼の大群がいるではないか。
だが様子が変だ。狼の姿はあるのだが、異様に魔力を帯びているというか、魔力しか感じない。
「これは...?」
「アオーーン!!」
すると狼達はこちらへ向かい、雷蛇を襲い始めるではないか。
狼は雷蛇の胴体を鋭い牙で噛みつき、肉を噛み切り裂く。
「シャアアッ!?」
「一体...何が起こっているの!?」
タッタッタッタ...
「ワンッ!!」
「へ!?ちょ、えええーーー!?」
突然一回り大きな狼が私を背中に乗せ師匠のいる方向へ向かう。
「わーーーー!?」
「ワンッ!」
ボスッ
私はちょっと雑に降ろされた。
「大丈夫か、クロマ!?」
「し、師匠!!なんですかこれ!?」
「スキル、幻魔召喚だ。」
「げ...げんま?」
この幻魔召喚は、魔物図鑑に登録された[討伐済みの魔物]を魔力で構成し召喚するスキルだ。魔物の強さによって一個体にかかる魔力が増えるので今回はコスパに優れた狼魔物を召喚した。
「...って事は、師匠...刀は!!」
「ああ。」
師匠の腰には鞘に収められた小太刀。
それは大蛇をも上回る魔力を帯びており、柄巻は黒色で頭と鍔は銀色。
「まさかクロマが不利なやつだったなんてね。仕返してやるよ...!!」
キジコは雷蛇の方へ歩き出す。
「ジャアアアアアアアア!!!!!」
雷蛇は狼を振り払いキジコに襲い掛かる。
「この刀名前何にしようかな?...そうだな、名付けて、」
シュンッ...
キジコは雷蛇の後ろにいた。
「え...?師匠、いつの間に...!?」
「ガ..ア...!?」
雷蛇はゆっくりと首が落ちた。
「どうせなら私は今後もっと色々な事をしていきたい、私の興味に終わりはない。
ならば名付けよう、
終わりなき道を示す言葉、久遠!!
私の魂を示す、久遠だ!!」
(魔法具、久遠が作成されました。当武器は個体キジコ専用、もしくはキジコに認められた者のみが使用可能)
日本では刀は武士の魂とも言われていて、当時は刀に対する礼儀が結構あったそうだ。
ならばこの刀は私のもう一つの魂だ。
「今後もよろしくな、久遠。」
「師匠ー!!」
これで明日の準備は(体力以外)整った。
よーし、頑張るぞー!!




