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猫に転生しても私は多趣味!  作者: 亜土しゅうや
波乱のマイライフ編
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第82話 ニコ派設立までのお話(中編)

 ニコです。

 当時生き残った平穏派の獣人族の国、パースで叔父のバノス率いるインヴァシオン派に対抗すべく動き始めた頃です。


 亡くなった母上と父上達がが長い時をかけ作った国というだけあって、国の武力、資力、民の生活充実度、そして各国のコネや繋がりが強く、インヴァシオン派は下手に手が出せない土地らしい。


 虐殺から逃げ延びた私は道中力尽きた所を見回り中のジン達に助けられ、気がつくとパースにいた。


 そこで色々あって私は両親の思いを引き継ぐべく行動する事にした。

 全ては獣人が人間として生きるために、

 叔父上...バノスを倒すため。


ーーーーー


 「すごい...これだけの人数がいるなんて。」


 ここは役所。

 そこで私が見ているのは住民管理の書類。

 まだ途中ではあるが6000人以上いることがわかった。

 

 「別の地域にも同胞はいる。俺達はまだ滅んでいない。」

 「(母上...父上...この尽力を無駄にせず、娘として...お二人の思いを引き継ぐ者として進みます...。)」


 少し胸がグッとした。


 「今インヴァシオン派の動きってどうなってるの?」

 「今はでかく動きすぎて武力やコネの強い国に睨まれてる状況らしくてな、今はまだ動いていない。だがじきに行動し始めるだろう。」


 ...私達は無力ではない。

 だが、ここの民達は覚悟はあっても皆が強いわけではない。

 そして私も戦士じゃない。

 その上皆をまとめ上げる自信も実力もない。


 なら出来る事はただ一つ、

 私が両親の意思を引き継ぐにふさわしいほどに強くなればいい。


 「...?お嬢、どうした?」

 

 私は別の書類を見る。

 そこには町で起きた悩みや依頼が書かれている。

 この町はギルドがないのでこうやって役所に届けられるのだ。


 「これをこなして行きたいと思う。」

 「え!?...お嬢まだ10だよな?そんないきなり無理しなくても...。」

 「ジッとするのは苦手なの、私。こういう事を繰り返して町を良くし、皆の事を知っていきたいと思う。」

 「なるほど...であれば私も同行しますよ?流石に歳幼い子を放っておくのはダメですよ。」

 「ありがとうまずは準備を整えよう。」


 そうして私達は武器屋に立ち寄る事にした。

 

 「よぉジン、いらっしゃい。」

 「おうハル、ちょっと手を貸してくれ。」


 店主は薄緑髪の兎獣人のお姉さん。


 「どうしたんだい?」

 「実はな...


 「ええ!?クラル様とラミ様の...!?」

 「ああ本当だ。それで...


 「ひっぐ...えっぐ....!」

 「というわけなんだ。金は俺から払うから今のあの子に合った装備をお願いする。」

 「ぐす...まかしときな!ああ、料金はこれでお願い!」


 するとハルさんは一枚の紙を取り出す。


 「これは...依頼書か?」

 「ああ、今ちょっと鉄とラージバイパーの皮の在庫が少ないんだ。今からその子の装備渡すから代金代わりにこの依頼をこなしてほしい。依頼増えちゃったけどそれで構わないかい?ニコちゃん。」

 「はい!頑張ります!」

 「いい返事だ!じゃあちょっとジッとしてね。」


 そう言ってハルさんは服越しに私の体の寸法測り始める。


 「よし、それじゃあちょっと待っててね。新規で作りたい所あるから割と時間かかるだろうし、何処かへぶらついていても大丈夫よ!」

 「じゃあお嬢、それまで向かいの店に行くか。あそこの料理は美味いぞ。」

 「うん!」

 

 カランカラーン

 「いらっしゃい!あ、ジンさん!」

 「2名で頼む。」

 「む?その子は?」

 「今説明すると長いから後にしてくれ。」

 「かしこまにゃ!ご注文は...


 「お待たせにゃ、こちらチキングリルセット2皿!!どうぞごゆっくりにゃ〜!」

 「い..いただきます...じゅる。」

 「お嬢、ちゃんとおしぼりで手を拭きな。」


 は...しまった、私肉好きだからって...その...なんというか目の前のこの欲望の塊には...!!


 ちゃんと手を拭き..

 「「いただきます。」」

 

 ガブッ!!ガツガツ!!

 ガブガブガブ!!ガチューッ!!!


 「おおう、すごい食いっぷりだな...。」

 

 ガブ..ガブガ!!美味い...美味い!!

 肉汁が...溢れて....噛みごたえが...ちょうどよくて...とにかく...美味しい!!


 「あっはは、慌てて食うなよ。」


 しかし肉に夢中なニコは聞く耳持たない。

 同時にすっげぇ幸せに食らいつくニコを見てまあいいかと思うジンであった。


ーーーーーーーーーー


 「ご馳走様でした!!」

 「気に入ってもらえたようで良かった。美味かっただろ?」

 「うん!」

 「じゃ、そろそろハルの所に行くか。」 

 (※このお店は先払い式)

 「わかった。」



 「キャーーッ!!」

 「「!!」」


 突如外から聞こえた悲鳴、急いで店を出る二人。


 「なんだなんだ!?」

 「(ピピッ...。)」

 「!?」


 そこにいたのは化け物だった。

 明らかに生物というにはおかしい姿だった。

 

 腕や背面部に何枚も貼られた金属の板

 その関節部分には赤や青、銅色の線が何本も見える

 像のように模られた金属の頭部と光る目

 その額には[P-02]と書かれている

 翼は血管と思われる部分が少し光っている。


 異形だが四足歩行の竜種....ドラゴンか!!


 「みんな逃げろ!!」

 「早く逃げて!!」


 住民達が避難を始める。

 

 「ハル、逃げろ!!」

 「あー?どうしt...わあ!?」


 店から出てきたハルさんは異形竜を見て驚き腰を抜かす。

 

 「ほら、早く逃げるぞ...!!」


 ジンはハルさんを抱えて逃げる。

 しかし異形竜は二人を狙う、このままじゃ...二人が危ない!!


 「竜を倒せー!!」


 だがちょうどそこで警兵や町の防衛団が到着し、異形竜と戦い始める。


 「ニコ!!早く逃げるぞ!!」

 「...。」


 「ぐあ!?」

 「がはっ!!?」


 だが、彼らは異形竜の圧倒的な強さに押される。

 ....私も、戦わなくちゃ!!


 私はハルさんの武器屋に向かい何か使えそうな武器を探す。


 短剣...ダメだ、あの体には歯が立たない、

 弓矢...同様だ、

 ショートソードやロングソード...違う気がする!


 一体...どれが...あ!


 そこにあったのは大きな剣。

 刃渡り120cmのただの大剣。


 これしか...ない!!

 うぐぐぐ....!!!


 だが幼いニコに持てるような重量じゃない。

 でもニコはそれを使おうと必死に持とうとする。


 「ぐああ!!」

 「ぎゃああ!!」

 「お嬢、お嬢!!」


 ...私は決めたんだ、この町と生きる者を残した両親の意思を引き継ぐ事を、そしてその民を守ってゆくと。


 だがそれは母上と父上の命令ではない。

 誰かがするよう仕向けた訳でもない。

 ならなぜそうしているか、


 それは...私自身がしたい...からだあああああ!!!


 なんとニコは大剣を持ち上げ構えた!


 「お嬢!?」

 「私は...自分のやりたい事のために...自分で動く事決めた!!私はジッとするのが嫌いだ、なら出来ることは決まってる、私も戦う!!」


 するとニコから突如魔力が溢れ始める。


 「お嬢...!?鑑定...!!」



 個体名:ニコ・ランド・ウルフェン

 種族名:狼人族


  称号:導く者 こだわり


 種族スキル:超嗅覚 周囲感知


 個体スキル:ニコ



 (なんっだこのステータスはーーーッ!?)

 (何!?このニコっていうスキル...見た感じ統合スキルのようだが...?)


 「はああああ!!!」

 

 ニコは自然と剣に魔力を込め、力任せに横薙ぎに竜を斬る。


 「ゴオオッ!?」


 竜はその一撃になんと怯んだのだ。


 「な!?」

 「あの子は..!?」


 「私はニコ・ランド・ウルフェン!!」

 「!?...あの姓...まさか!!?」

 「皆を守るために...お前を倒す!!!」

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