第59話 化け猫、始めてみました。
すぅ...。
化け猫、発動。
(統合スキル:化け猫を発動。)
(内容スキルは、妖炎玉、妖炎之壁、幻影回避、妖炎乱舞、疾風脚、思念波、妖変化、)
(ディメンノートより、魔物図鑑を用いた応用スキル、幻魔召喚、以下8種習得致しました。)
ほほう、これはなかなか凄そうなのが手に入ったじゃないか!
「獅子流・剛力拳!!」
「おお!?」
ゆっくりしている場合じゃない!、いっくぞー!!
「妖炎玉!!」
「!!」
水色混じった火の玉が5つ現れる。これが妖炎ってのか。なるほど、これを飛ばすってわけね!!
「くっらえー!!」
火の玉はヴァルケオ目掛けて襲い掛かる。ヴァルケオはそれらを叩き壊すが...
(...!?この炎、僅かだが防御を無視した威力がある。一発の貫通威力は大したものじゃないが、連続でくらえば結構な痛手を負う!)
キジコは気づいていないが、この炎は防御貫通効果があるのだ。ヴァルケオは防御をやめ、回避し始める。
「させない、妖炎之壁!!」
私は思い付いた限りで手を横薙ぎしてみる。すると意識した場所に妖炎の壁が現れた。
「だああ!!」
「やるな...シャインバレット!!」
ヴァルケオは輝く魔力弾を私に撃つ。
「妖炎玉!!」
「防がれたか!!」
私は脚に魔力を込める。
「疾風脚!」
「!?」
「そして...妖炎乱舞!!」
疾風脚:風魔法を用いた高速移動。
妖炎乱舞:妖炎纏った物理攻撃の乱舞。その動きは花のように舞い、その炎で相手を焼き尽くし、叩きのめす。
私は疾風脚を使いヴァルケオに迫り、一気に攻める。
(これは...!?)
「だっりゃああああ!!!!」
...花と言えるかどうかは別として、キジコの猛攻はヴァルケオを押す。怪しく煌めく炎は白銀の光に張り合う。
「ヴァルケオ、これが..私の...力だああああ!!」
「グッ!!?」
私はヴァルケオを防壁にぶっ飛ばした。
「ガハァッ...!?」
「ふぅ...。」
かなり体力を使ったな...寝起きの運動ってレベルじゃねぇって...。
けどこれが今の私の力みたい、ヴァルケオ。
「...まさか...ここまで動けるなんてね。」
「ん?」
「まだ..全力を出せる...状態じゃないようだけど、ここまで強いなら...見せてあげるよ。」
その瞬間、眩く凄まじい白銀のオーラが溢れる。
「はああ....!」
「!?、凄い...!」
「キジコ。これは今の君が本来出せる魔力量、つまり君が本領発揮した際と同等の力だよ。」
「!!」
「今はまだ寝起きだろうけど、その...内君もこれくらい出せる。そして...。」
さらに凄まじい魔力がヴァルケオから溢れ出す。...見る限りまだまだ余裕あるみたいだな...はは、やっぱり凄いや...ヴァルケオ。
「キジコ。君の成長、これからも楽しみにしているよ。」
「....ありがとう。」
ヴァルケオは私に向かって凄まじいオーラを纏ったパンチによる波動を撃つ。
その波動を目の前を最後に、私の意識は消えた。
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ん、んん?
あれ、ここどこだ?
...ってここ最初の館の部屋じゃねぇか。タイムリープかリスポーンしたか?いやそんなわけないか。
「お、起きたね。」
「ん?テュー兄。」
テューニが部屋に入ってきた。
「髪色もしっかりしたね、ヴァルケオとの戦いでだいぶ力が安定化したんだろう。」
「へ?」
鏡を見てみるとびっくり、若干黒いメッシュ入ってる。より雉柄になってる..。
「全く二人共...ヒートアップし過ぎだって。僕とマウリがあの波動止めてなかったら、キジコやばかったよ...もう。」
「ヴァルケオは?」
「マウリにその件でガミガミ叱られてる。」
「あ...。」
それはすまんの。
「ああそれと、これ。」
「ん?これは...?」
テュー兄に渡されたのは、刃が45cmほどの日本刀だ。刀あるんだこの世界...。
反りは深くないし、長さ的に脇差ってやつかな?
「キジコが成長した証として僕ら守護獣からの贈り物だよ。」
「え、くれるの?」
「そりゃ贈り物だからね。キジコの器用さを重視してこれを選んだ。魔法具ではないけど性能は保証するよ。」
「...!」
「キジコならこの刀もきっと凄い感じに成長させるだろうと見込んででもあるんだ、ヴァルケは本当にキジコの成長を楽しみにしてる。まるで親バカ気味の父親のよう、頑張れよ...って!!」
気づけば私は涙が出ていた。
「えっちょ...何か悪い事言った!?見放すって解釈しちゃった!?悪気はないよ!?ちょっと...待ってえええ!!」
「え?ああ、ごめん。なんでもないよ。」
...今更聞いてもわかってるのに、みんな私の事ずっと心配し、成長を期待してくれていたのが嬉しかったんだよ。...別に前世寂しい思いしていたわけじゃないのに...でも嬉しいんだ。
「ありがと、テュー兄。」
「へ?あ、どうも。」
ガララッ
「キジコちゃん起きてるー?」
「あ、マウ姉。」
「おっはy...涙目じゃない!?」
「ああそれは...。」
「テューニ何話したの!!?」
「え、いや...
「ちょっと来なさい...。」
「へ?」
「(ガシッ)来 な さ い ?」
「ちょっとマウリ!?ねぇ、待って、待ってってばあああああああ!!?」
...はは、マウ姉も平常運転だな。
ありがとう、みんな。
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おまけ
私の服はテーマがごっちゃ。まだ見た目が若干揃ってるだけいい方だ、一部分だけクジャクサンバみたいのだったら嫌だわ。
下着はスポーツブラとかスポーツスパッツとか言うやつだな、前世でよく使ってたが体にフィットして動きやすい。
ノースリーブ。
上は和服。意外と重くなく、振袖ついてるのに素早く動けちゃう。適当に舞ってみるが綺麗です。ヒラヒラ〜。
靴はショルダー付きマジックテープのスニーカー。動きやすいし蒸れない。
ふーむ...しかし妙だな、いくら異世界素材の服だからって機能性が高い。
何か秘密が....秘密?
そうだ、スキル...ステータス。
よし、己の装備に関して意識...。
・魔法具:ファストサポーター(下着)
•身体柔軟性上昇、運動機能上昇、歩行走力上昇、
環境有害効果軽減、蒸れ軽減、損傷自動修復
・魔法具:化猫(和服)
•身体機能上昇、身体耐久性強化、感覚機能上昇、
筋力機能上昇、損傷自動修復、風圧軽減、
環境有害効果軽減、火水属性耐性上昇
・魔法具:ガットスニーカー(靴)
•脚力機能上昇、隠密効果上昇、
環境有害効果軽減、損傷自動修復、
蒸れ軽減、歩行走力上昇、脚部疲労軽減
やっぱり全部魔法具か、そりゃ寝起きなのに強かったわけか。けど見た感じ物理的な効果が中心だな、まぁ魔力切れちゃった時に役立つね。
よーし、色々確かめたけど試してみなくちゃわからない。
異世界醍醐味、クエスト受注してみますかー!!
ある程度とはいえこれだけ詰め込まれた装備でも、上には上がいる。異世界無双って簡単にできるようなもんじゃないんだと、そう思うキジコであった...。




