第58話 久しぶりの運動
「は?1年...?」
「...まぁ..驚くよね..。」
「ごめん、ホントはいつ言おうか迷ってた。」
はあああああああああああああああ!?
キジコです。
え?なんでいきなりこんな大声出して驚いてるかって?
実は、私はあの外道野郎との戦いで覚醒した後からなんと、1年も寝ていたというのだ。
休日丸々寝ていたとか2週間寝ていたとかそういう次元じゃない、1年だぞ!?
「な...なんで...私そんな寝ていたの?」
「おそらく...君が激情に駆られ無理矢理力が引き出された結果で起きた覚醒だった故、急な成長に体がついて行けずそうなったのだろう。」
なんとまぁ...邪精霊に取り憑かれたスー君の時みたいな事がまた起きるとは...。
「でも今回は長すぎるよ。」
「そりゃ純粋な魔物が獣人化覚醒するなんて本来100年200年かかったりするんだ。成長力と肉体馴染みの早い君でもそれだけ膨大なエネルギーに耐えられる体はまだ出来ていなかったからだろう。」
「それでもキジコちゃん、たった1年で起きた事でも充分驚きよ。」
「なんと...。」
こればかりは疲労回復とかそういう次元じゃないな...。
「...てことは今の私って...。」
「...1年前の君と比べても化け物級に魔力が増大してる。」
デスヨネー。
「だからこそ、一度確かめておきたい事があるんだ。」
「確かめたい事?」
「キジコ、我と戦え。」
「..!?」
「「ヴァルケオ!?」」
「今キジコはどこまで魔力を制御出来ているか確かめておきたいんだ。暴発を起こせば君も周りも無事じゃ済まない。」
「...つまり寝起きのウォーミングアップ、1年ぶりの運動に付き合ってくれるって事でいいかな。」
「そうだな。」
なるほど...本当に優しいね、ヴァルケオ。
君がこの世界での親でいてくれて、本当に良かったと思うよ。なら私はそれに答えるのみ、受けてたとう。
「受けてたつ。...また会った時どこまで成長したか気になっていたんでしょ?」
「まぁな。」
「ヴァルケオすっごい楽しみにしていたもんね。」
「まるで娘を見守る父親の如く...。」
「二人とも黙って(ー _ー;)。」
(...守護獣様、意外と可愛い一面あったんだな。)
(ああ朱斗。だからこそあの地域は平和なんだろうな。)
ーーーーーーーーーー
勝負は、町の東側にある試合場で行う。闘技場とかそういう所だ。
試合開始は30分後、私は控室で色々自分を調べる。...てか控室もやっぱあるんだな。どこか前世チック。
肉体理解をフル回転。やはり基本は人間と同じ感覚で動け、動きやパワーは増大している。
レーダー能力はより強力となっており、いくつもの壁を越えた先にいる人の動きまでわかる。
とりあえずまとめよう。
種族名:アサシン・ターロン・キャット
個体名:キジコ
称号:転生者 知恵ある者 前世の知識 多趣味
獣人化 神獣へ歩みし者
種族スキル:周囲感知 隠密 猫爪(8)
化け猫
個体スキル:ディメンノート 念話 魔砲 物体移動(6)
向上心(9) 学習力(9)
精神強度(10) 威圧耐性(10)
光覚感知
レーザーセンサー
物体転移(8) 高治療(3)
魔身強化(6) 身体強化(6) 鋭敏感覚(6)
染色 裁縫師 疲労回復効果上昇
恐怖耐性(3) 魔力変形
魔泡滅却
加護:白銀獅子の加護
...結構増えたしスキルレベルも上がっているな...。流石に寝ている間は新スキル手に入れてないようだ。
持っているスキルで何か応用を考えておこう。
気になるのはこのスキル、[化け猫]。
どうやら統合スキルらしいが内容がさーっぱりわからん。
[火の玉]とか[死人操ったり]とか[変身というか化けたり]出来たりするのかな..?
...そうして色々模索していた所で、
「キジコ、時間だよ。」
「おおもうそんな時間か..。」
テュー兄に連れられ向かった場は...
ーーーーー
「おい、現れたぞ!!」
「あれが今世の神獣候補!!」
「魔物から獣人へ覚醒したんだって!?」
「てか可愛い!!」
試合会場は溢れんばかりの観客と声で埋め尽くされていた。
「待っていたよ、キジコ。」
「まさか...感覚的にはこんなにも早くヴァルケオと戦う時が来るなんてね。」
「それだけ君は成長が早いんだ、いつも思うけど器用だね。」
「そりゃどうも。」
「これより、レギスの森の守護獣ヴァルケオ様と神獣候補キジコによる試合を行います。両者、構えてください。」
審判として立つ朱斗と蒼鈴。
さぁ、ヴァルケオに今の私がどれほどか見てもらうか。
「ちなみに魔力防壁張ってあるので流れ弾などはご安心下さい!!」
「では...始め!!」
ズドオオオッ!!!!
開始した瞬間、響くのは轟音。
「きゃあああ!!」
「うおあああ!?一体何が!!」
「みろ、あれを!!」
ギリギリギリギリ....
「初手で絶対何か来ると思った。」
「はは、読まれたか。」
「マジかよ...拳のぶつかり合いでアレだっていうのか...!?」
今の一撃でざわつく観客達、そりゃあんな音がいきなり響けばなぁ。
ってか私自身こんな強いパンチ撃てるようになっていたのか...びっくりだわ。
「でやっ!!」
「ふんっ!!」
キジコは懐に潜り込み反撃しようとしたが足で防がれ、
「甘い!!」
「どお!?」
そのまま後に蹴飛ばされた。
だがキジコは立て直し着地した瞬間に脚力をチャージ、高く飛ぶ。
「!!」
「ペネトレーザレイン!!」
その瞬間、以前とは比べ物にならないほどの速度で何発も撃たれるペネトレーザ。発射数も増えており、まさに雨といえる。
(速い...!)
ヴァルケオは全力で避ける。だが..
(...この辺り妙に広い...罠か...!!)
(借りるよアリア...!)
「疾風降竜拳!!!」
「ぐあっ!?」
アリアが使っていた高い位置からの必殺疾風降竜斬をアレンジした。元の威力が高いもあってヴァルケオが驚いている。
ちなみに魔力を使って無理矢理再現しただけの技であってスキルじゃない。
(すごい威力だ...!!起きたばかりでここまで動けるなんて...流石だよキジコ。本当に色々学んだようだけど....我はこんなものじゃない!)
「だああ!!」
「へ!?どわああ!!」
投げ飛ばされ魔力防壁に激突する。
「ぐえっ。」
「獅子流、破岩脚!!」
「!?、魔力変形!!」
魔力防壁を変形、ヴァルケオの前に伸びるように貼る。
バキィッ!!
「この程度で...む!?」
防壁を破ったがキジコの姿がない。
「ふぅ..。」
「距離を取られたか...。」
中央に戻ったキジコ。
「...ウォーミングアップの感覚では済みそうにないね。」
「本当に予想以上だよ。」
さて、...ヴァルケオは仮にも数百年生きた存在、獣人化個体ペーペーかつ戦闘経歴浅い私じゃまず勝てない。
手数の多さでなんとかちょっと張り合えてるけど、ここは使うしかない。
[化け猫]を。
そういえばゼオ達はどこへ...?




