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異世界平定奇譚   作者: 新樹 百佑
第一章 始まり
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異世界転移しちゃいました

 背中のヒヤリとした感覚に一矢は目を覚ました。


 一矢の目の前には見慣れない光景が広がっている。


 壁も床も天井も、全てがレンガ造り。


 ドーム状になっており、扉も窓も見当たらない。


『こっ、これはもしかして異世界転移? いやいや、そんなまさか』


 一矢が混乱から立ち直れずにいると、何処からともなく声が聞こえてきた。


『……異世界に行きたいか?』


「えっ?」


『えっ? こっちが、えっ? イヤイヤイヤ、無いわ〜。今まさにビッグチャンス掴もうとしてんのに、それは無いわ〜』


 一矢は戸惑う。


 なんだこの軽薄な声は。


 しかも無駄にテンションが高い。


『もう一回いくぞ? 異世界に行きたいかーーー!!』


「い、行きた~い。……なんだこれ」


『……ならば力を選べ……』


 ガシャガシャと騒々しく、金属音が響き渡る。


 一矢が見回すと壁一面に色々な武器が立て掛けられていた。


 そして背後から不穏な音が聞こえてくる。


 シュロロロロ……。


 一矢が振り向くと自分の顔ほどの目が二つ、大きな口の先から小さな舌がチロチロ出ている。


 大蛇だった。


 鎌首をもたげ、じりじりと間合いを詰めてくる。


 足がすくんで動けない。


 次の瞬間、大蛇の顎が大きく開いた。


 噛み付きを、一矢はギリギリの所でかわした。


 二撃目、三撃目と、休む間もなく連続で襲いかかってくる。


「うわぁ、ひぃ! イヤッ!」


 一矢は悲鳴をあげながらかわしていく。


 そこで一矢は気が付いた。


『あれ? ……こいつ、大した事無いぞ』


『これならイケるかも……』


 一矢は大蛇の攻撃をかわしつつ、思いっきり横っ面をぶん殴った。


 大蛇は面白い程吹っ飛び、壁に激突した。


「よっしゃーー!」

 一矢がガッツポーズを取ると再び声が聞こえてきた。

『良かろう。お主の力は『拳』じゃな』

「えっ? 拳? いや、まだ選んでないんだけど」

『はあ? 今拳で戦いましたよね? こっちは選べって言いました。そっちは拳で戦いました。じゃあ拳で良いですよね?』


「要るよ、武器! 格好良いでしょうが!」


『言っときますが大蛇が死んだ時点で決定ですから。そう言うシステムなんで。こっちに非はないんで。選ぶんなら選んで、早く!』


「本当に友達になりたくないタイプだわ〜」


 一矢はもう一度数々の武器を確認する。


『やっぱりここは王道に剣か。でも槍も格好良いな。いや、格好良さならあっちの矛だか檄だかも捨てがたい。パワー重視で斧も良いかな。あっ!』


 そこで一矢は一つの武器に目を奪われた。


 ベルト付きのホルスターに納まった拳銃、しかも西部劇に出てきそうなリボルバータイプ。


「えっ? 銃あんじゃん。こんなん銃一択でしょ。ゲームじゃないんだから」


 さっきまで悩んでいた剣も槍も、一気にどうでも良くなった。


「剣とか槍とかでチマチマ戦う奴は馬鹿。現代武器バンザイ!」


 一矢は拳銃に向かって走り出した。


 あともう一歩で手が届く。


 だが丁度大蛇も力尽きる。


『はい、時間切れ〜。いってらしゃ〜い』


 周りの床も壁も一気に崩れ、一矢もろとも闇の中へと落ちていった。


「俺のマグナーーム!」

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