第三花 恐怖を捨てて、前を見ろ
六天金剛「また消えたよ」
幽香「…なんのこと?」
六天金剛「いや、また書いてる途中でアプリが強制終了してだね、あとちょっとで書き終わるって時にきえちゃったんだよ。思わずスマホをベッドの上にぶん投げたよ。」
幽香「あらら…それで?」
六天金剛「今回からアプリのメモ欄に書いたものをコピって本文制作ページに貼り付ける、という方法をとることにしました」
幽香「…超面倒ね。」
六天金剛「小説が目の前で消える絶望を味わうよりはマシだからな。まあ色々ありましたが、第三花、お楽しみ下さい」
ーーとある少女ーー
「はぁ…はぁ…!」
ーーどうして、こんなことになったの?
わたしはただ、お母さんに頼まれた薬草をとりにきただけなのに。
どうして、わたしは走っているの?
どうして、妖怪に襲われているの!?
わたしの後ろにいるのは、大きな蜘蛛の化け物。普通の蜘蛛と違うところは、脚の量が普通の蜘蛛の倍なことと、大きさが普通の蜘蛛の比にならないこと。
ーー逃げなきゃ。
逃げないと、ころされちゃう。たべられちゃう…!
皮肉にもその恐怖が糧になり、更に歩を進めようとした、次の瞬間ーーー
「ーーーあっ…!」
ざしゃあっ…
転んで、しまった。足首をひねってしまったみたいだ。
動かない。いや、動けない。上半身だけで後ろに振り返る。
蜘蛛が、いた。
いくつもある目をぎらぎらさせながら、しかし確実にわたしを捉えていた。
「い、や……!」
わたし、しんじゃうの…?
たべられちゃうの…?
「ーーやだよぉ…!!」
しにたくないよぉ…!!
誰か
誰でもいいから……
「助けてよぉ…!!」
「了解しました、お嬢さん!!」
救いの声が、
聞こえた気がした。
さて、どうしたもんか。
俺の後ろには、黒い艶やかな髪をした少女が放心状態でへたりこんでいた。
まあ、顔を見れば短い時間でいろんなことが起きすぎて整理がつかない、といった所だろうか。
「ーーーお、お姉ちゃん、は…?」
…そうだ、今はお姉さんだったね、俺。
「詳しいことは後で話すよ。とりあえず、俺が来たからにはもう安心だ。」
少女を安心させる為に見栄をきってみる。
そして、少女の前に開いた日傘を置く。
こんな年端もいかない少女に見せられるものではない。
そう、俺は今から、
殺し合いをしにいくのだ。
進む。ただ真っ直ぐに。
格好つけた言い方をしたが、喧嘩もしたことの無い俺は戦い方なんて解らない。
ただ相手を殴る為に突っ込むことしか解らない。
要は身体の頑丈さにまかせてゴリ押ししてしまおうということである。
かなり強引だが、ゆうかりんの頑丈な身体ならあるいはーーー
目の前に、蜘蛛の鋭い脚が迫っていた。
「う、わっ…!」
ーーしまった、考え過ぎた。
そう後悔する事さえも遅く、巨大な脚は俺の命を刈り取らんばかりに振るわれた。
咄嗟に腕をクロスさせるが、間に合わない。
ああ、ここで終わりか、俺。せめてあの娘を逃がしときゃよかったなぁ。
完全に諦め、目を瞑った、次の瞬間。
ーーーパキンッ!
「ーーえ?」
謎の音に目を開ける。一体なにが起きたのか。ただ、それを確認するためだけに。
そして、眼前に広がっていた光景はーー
【■■■■ッ■■■■■■■ーーーッ!!】
蜘蛛が腹を上にしてのたうちまわっている。
何事かと蜘蛛の身体を注視してみると、太く尖った蜘蛛の前脚が、無残にも砕け散っていた。
驚愕し、刈り取られたはずの量腕を見てみる。
カッターシャツの袖こそちぎれているが、その中の腕には、傷どころか痕さえ見られなかった。
マジかよ…頑丈過ぎだろゆうかりん。
だが、これならいける!
ゆうかりんの身体の勘を頼りに、前に突っ込む。
起き上がった蜘蛛に常人では見えないスピードで接近し、そのままの勢いで腹を蹴り上げる。肉を抉るような音と共に、蜘蛛が空高く打ち上げられていく。
そして、跳躍。
一瞬で蜘蛛と同じ高さまで跳び上がる。
そして左の拳を握り締め
目の前の蜘蛛目掛け
「でやぁぁぁぁぁぁあ!!!」
大きく 強く
降り下ろした。