第13話 sideセリーナ&イグナティウス
ギルド戻ってきたのでいつも通りゆりあさんに声をかけて報告をする。
「太陽が沈んでもゆりあさんの周りだけ光り輝いているようだ。ゆりあさんの美しさは隠そうと思って隠せないね。」
「はいはい。それでオークはいたの?」
「それがね、ハイオークが複数いたんだよ。」
オークとハイオークはミレットが解体所の人に渡していた。
「そう、それは困ったわね、ちょうどAランク冒険者が不在なのよね。
だから、すぐに大規模討伐の募集しなきゃ。」」
「あれ?今いないの?」
「ええ、護衛依頼で出ているのよ」
「ふーん、そうなんだ。あ、集落の場所も調べてあるから詳しくはセリーナに聞いて」
「うそ、集落に近づいたの?
危ないんだから気をつけないと。
あ、でもハイオークも倒せるものね。でも無理しちゃダメよ。」
ゆりあさんはイグナティウスをチラッと見ていたが、ローグは気づかない。
sideセリーナ
私の雇い主は貴族の坊ちゃんで、 同じ風魔法使いということで親近感は持っていたが、冒険者ごっこをしたいのだろうと思っていた。
つまり期待していなかったのだ。
貴族は魔力量が多いことは良くあるが、繊細な動かし方はできない。大抵は中級魔法を撃てるというだけで。
今回、戦い方を見せてくれるというから、魔物を見つけたら報告することにした。もちろん失敗したらフォローするつもりである。
昨日の発言もお祝いの場だから流したが、話半分に聞いていたのも事実。
ローグは、こちらの予想をことごとく裏切ってきた。いい意味で。
まず第一に、魔物を報告すると次の瞬間には首と胴体が分かれている。
使っている魔法は私も使える初級魔法のエアカッター。
しかし特筆すべきはその技の完成度だろう。
まず、魔力を練る時間がほとんど見られない。それに数も速度も威力も桁違いである。
危険な森の中を歩いているはずなのに、ハイキングに来たような気楽さである。
ポイズンスパイダーは結構厄介な魔物で、エアカッターだと狙いを定めるのが大変なのだが、トルネードを使って力技で解決してしまった。
その後ファイヤで燃やしていたが、流石にこちらはそれほど威力が出ていない。生活魔法とそう変わらない威力だ。
とは言え風魔法は悔しいことに確実に負けている。
多分索敵私がしなくても良いんじゃないだろうか。
仕事がないのも居心地が悪いので、任せてもらえて有難いのだが。
隣を歩くイグナティウスを見ると、仕事が無くてイライラ…していなかった。
side イグナティウス
魔法の事はよく分からないがセリーナは中堅クラスだろう。
戦闘向きでない風魔法の中では頑張っているようだが。
それに比べてローグはかなり強い。正直舐めていた。
帝国騎士団で働いているとき魔導師見ていたので上級魔法を使うやつはたくさんいたから、それと比べると大した事なんだろうが、比較対象が極端な事はわかっているので、判断がつかない。
個人的に敵対したら、あのエアカッターは厄介だと思う。
第一攻撃が見えにくい上に、複数が急所を確実に狙ってくるのだから。
懐に入り込んだら勝てるだろうが、風魔法使いって想像以上に厄介な魔法だと感じる。
戦闘向きでないという評価が間違っているのか、こいつが異常なのか。
きっと後者であろう。
お、やっとオークのお出ましか。道中は気楽でよかったが、さすがにハイオークをエアカッターでは倒せないだろう。
今までの戦闘からそう判断し、愛刀に手をかける。
「ヴァルキリーウインド」
さっきまでとは比較にならない威力魔法が横から飛んでいく。
見るまでもなく誰の魔法かはわかる。ローグのだ。
セリーナが上級魔法と言っているが、この歳で上級魔法を使えるのか。
たしか帝国の魔導師の条件が上級魔法だったと思う。
これで通るのかは知らないが。
少なくとも冒険者ごっこをしているボンボンとい認識は改めた方がよさそうだ。
そして、絶対敵対しないようにしなければ。
そう思いローグを見ていると、ローグがつまずいた。
「あー」
ため息が漏れる。
どこか抜けている雇い主との距離感、どうしよう。




