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わぁ、水魔法だぁ(棒読み)


新しい魔法を獲得しました。






水魔法…美味しい水・真打ち

宇宙一美味しい水を軟水でも硬水でも自由自在に出せるよ。これで水に困ることは一生ありません!





あんの桃色ぉおぉお……殺すっ!!!

使える魔法って確かに言ってたけど、こういう意味じゃなぁあぁああああいっ!


膝から崩れ落ちて床を何度も叩きつける私と、戸惑いの目で見つめてくるクロードさん達。


ダンジョン生活、辛すぎ。泣きたい。


桃色神を殴れない腹いせに立ちあがって一角兎に石ころ投げたら突撃をしてきて危うく死にかけ危機一髪。

また頭からポーションをかけられたお陰で助かったのは言うまでもない。


アリスさんはもう驚き通り越してひきつった顔してるし、ダイゴロウは滴り落ちるポーションをざらついた舌先でペロペロなめとってきて、可愛いやら痛いやら。


「……念のため聞くが、どうした?」


「新しい水魔法を覚えました」


「あら!良かったじゃない!ちょっと撃ってみなさいよ」


そうですよねぇ、普通攻撃魔法だと思いますよねぇ。


美味しい水、なんて聞いたこと無いですよねぇ?


「……コップ、ありますか?」


「は?」


「水筒でもいいですけど」


「へ?」


お目目を皿のように丸くしながらも差し出された水筒はまだまだたっぷり飲み物が入っているらしくずっしり重い。


「因みに中身はなんでしょう?」


「宿で買える水だが…」


「失礼します」


ザバァア!と勢いよく中身をダンジョンの床に捨て去れば突然の奇行にフリーズするクロードさん。


大変お世話になってる方の水を断り無く捨てるとか普通に考えて最低なのはわかっている。


「……美味しい水・真打ち(軟水)」


恥ずかしいからボソボソと小声で呟けば空中に水の玉ができてそれが蛇のように細長く変化して水筒に入っていく。


「「は?」」


「使いました」


「え?ちょ、え?」


「飲んでみてください……美味しい筈なんで」


「ブフゥッ?!」


アリスさんが盛大に吹き出し、クロードさんは水筒をじっとみつめ恐る恐る、といった様子で口にし……かと思えば、ゴクゴクゴク!と凄い勢いで水筒の中身を飲み干した。空になる水筒と、パチパチと瞳を瞬かせるクロードさん。


「……水なのにほのかに甘味があって…旨い。…いくらでも飲めそうだが…生活魔法でも美味しい水・真打ちなんて聞いたことがないぞ?」


「あはははははは!あたしも聞いたことないわぁ…普通、ちょっと手が洗える程度の水を出せたりとかそういうやつよ?飲み水なんてな聞いたこと無いわ」


「生活魔法…なんだよな…?」


「さぁ……」


私に聞かないでほしい。

やっと攻撃手段を得れると思ったのに…なんなの?!

そりゃ水は美味しい方がいいとは思う。

思うけれども…期待していただけにショックはでかい。もうふて寝したい。


「……、…」

「……」


がっくりと項垂れていたところに一角兎の跳び蹴りが見事に炸裂し、チーン、からのポーション瓶。もはやクロードさん達が一流のポーション投げ選手(?)と化してきている気すらする。

ダンジョンの床に落ちたポーション瓶の欠片は溶けるかのように姿を消し、乾くまでしばらく頭から濡れっぱなしのまま一角兎をひたすら叩く。落ちる肉やドロップアイテムを回収。

もはややけくそである。


「…元気だしなさいな、そのうちなんとかなるわよ、きっと」


「…だといいんですが…」


レベル5

HP:2(20)

MP:65

STR:10

DEF:1(10)

INT:55

LUK:38

から

レベル10

HP:4(41)

MP:90

STR:19

DEF:2(20)

INT:80

LUK:43


わー、HPが4、防御が2になったぞ☆……なんて素直には喜べません。紙でも攻撃力があれば当たらなければどうということはない!とか言えるのに…現実は攻撃魔法もないのにMPとINTばかりがあがっていくだけ。

お先真っ暗。


「と、とりあえずシオンちゃんも疲れたでしょうし今日はここ迄にしましょ?お店で戦利品売って…お開き。」


「明日は用があるから…一日フリーで、明後日またダンジョンでどうだ?」


「うぅっ…ありがとうございます、お世話になります。」


「あたしも明後日付き合ってあげるわ。次こそ何事もなく終わらせましょうね」


ポーション投げる素振りをしてからかうアリスさんを遠い目でみつめつつ頷けば、三人と一頭でダンジョンを出て要らないと言う二人をなんとか説得して山分けし、一人当たり銀貨二枚の儲けと、一角兎の肉を数個。長い一日にどっと疲れを感じながら一人、宿屋へと歩きはじめた…

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