20
よろしくお願いしますm(*_ _)m
私はゼールと向かい合い、少し後ろに下がってから剣を構える。
「俺は手加減はしないぞ」
「もちろんです!『ブースト』」
私はそう叫ぶと同時に足にだけ、強化魔法を掛ける。足のみにしたのは、一部だけを強化する方が早く魔法が完成するからだ。
そのまま魔法が完成するのを待たずに地面を蹴り、私はゼールさんへと一直線に向かう。
そして、ゼールさんが動き出す前に剣をゼールさんの首元に当てたのだった。
「うおっ…!」
そのことに少し遅れて気づいたゼールさんは構えていた剣を下ろして、大爆笑し始めた。
「…ゼールさん?」
急に大声で笑いだしたゼールさんに私は驚きつつ、首を傾げて、名前を呼んだ。
「…くははっ。いや悪い、嬢ちゃんがあんまりにも強かったからよお。見た目と違いすぎて笑いが込み上げてきてちまって」
「……」
「ティナ、悪い。この人はいつもこんな感じだ、気にしなくていい」
困惑する私にアルがそう教えてくれた。
「あ、あの、アル。私の動きは大丈夫だったでしょうか…?」
今の私の動きをアルがどう感じたか気になった私は思わずそう尋ねてしまう。
「ん?完璧だったぞ。Cランク冒険者のゼールに一歩も歩かせないなんて、なかなか出来ることじゃない」
「Cランク冒険者…?」
「ああ、ゼールは武器の材料はいつも自分で集めに行ってる。その度についで感覚で依頼をこなしていくからランクがどんどん上がっていったらしい。この街では鍛冶師のゼールって名までついて有名人だ」
「おいおい、そんなこと教えなくていい。俺は今でその名で呼ばれるのには慣れてないんだ」
やっと笑いがおさまったのか、ゼールさんが慌ててアルを止めに入った。
「そうだったんですか。ゼールさんがそんなに有名な人だったなんて…。私はまだこの街に来たばかりで知らなくて、ごめんなさい」
「いや、そんなこと知らなくていいから。むしろ忘れてくれ。というかそれよりも嬢ちゃんは何者なんだ!?あんなに圧倒的に力の差を感じたのはこいつを試した時以来だ…!」
ゼールさんはアルを親指で指して興奮した様子で私に詰め寄った。
「え、えっと、Eランク冒険者です。冒険者には昨日なりました」
私はゼールさんに顔を近づけられながら、何とかそう答える。
「ティナは魔法も凄い。将来が期待できる冒険者だ。ゼールも知り合っておいて損は無いだろう」
アル様が…アル様が私を褒めてくれている。
やっぱり、頑張ってよかった…!!
私は顔に出さないように気をつけながら、幸せを噛み締める。
「もちろんだ!武器が必要になった時はいつでもうちに来てくれ!!」
ゼールさんは私の両手を力強く掴んで、目を見開いてそう言った。
「は、はい。あの、早速ですが今日は剣が欲しくて来て…」
「もちろんだ、中へ入ってじっくり見てくれ!!」
まだ興奮した様子のゼールさんに私は両手を掴まれたまま、武器が売っていた店内へと引っ張られていくのだった。
読んでくれてありがとうございます。




