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聖徒六星と特殊指定十徒

「せめてなぁ、私じゃない誰かになれれば少しは変わるんだが。私本人のスペックが低すぎる、大体変装して目線の高さもいつも違うしなぁ」ふと、横をむくと絶世の微笑女ならぬ微笑する少年がいた。「誰だあんた」『御託はいい、我に体を預けるんだ』手を差し伸べられる。「あん時のレイピアかよ!」ミコルはすっぽんぽんで立ち尽くす少年を見て笑い転げる。「全裸で我とか言ってたの?!ブホッ」恥ずかしさを堪えるように震えながら事情を説明し出すレイピア。「なるほどねぇ、倒した人が次の持ち主になるおかげで常に強く速い存在に」ミコルは少し考えた。「お前の力って若返りとかあるのか?」『なんだ、美容に興味があるのか?若返りはない、だが完璧に近い変装なら可能だ』やれやれこれだから女はと呆れて言い放つレイピアの手を取るミコル。「変装が可能だと?!即契約だっ!よーしあの男ぶち殺すぞ」『ちょ、待て!我を我の意思ぉぉお』

砂埃を切り裂く。「んじゃ、やりますか」『なぜ我が使われるんだ……』髭を生やし、宮廷貴族の服を身に纏うミコル。「すげぇ、体の作りまで簡単に変わるとは」ドローンシュが見つけるや直ぐに突撃してくる。「誰かは知らんが敵なのはわかる、殺意くらい隠したらどうだァァァ!!」レイピアを構える。腰を低く落とし、武器を持つ手を奥に引く。「雷傀剣技───一本」腰を盛大に使い、レイピアを前に突きだす。ドローンシュの勢いにレイピアの勢いが重なり、ツプリと感触が伝わる。「刺さった!とりあえずヒットアンドアウェイ」そのまま後ろに下がる。「痛てぇな。俺に傷入れるたァいい度胸してやがる」腕が痺れる。それをバレないように持ち替える。「ふぅ、ようやくダメージが入ったか。私にはこういう役回しが多いですね」変装したキャラになりきるように思考を切り替えていく。「では来なさい!俗物」大きな手のひらが横凪に飛んでくる。「雷傀剣技────波紋」高速でレイピアをまわし、空気の波を作る。「うおっっと、腕がちぎれそうじゃい」手のひらをその波で受け止める。「うぉぉぉ!!」ドローンシュが大きく飛び跳ねる。「なんじゃ、デカブツの癖によう飛ぶか」地面を蹴り、一瞬でドローンシュの上まで飛び上がる。「延髄砕きっ!」地面に落下する速度と、ドローンシュの巨体が地面にぶつかり跳ね返る威力が混じり合いレイピアは簡単に突き刺さった。「ああがァ?!!えぇ、え……」ずプリと言う感触から根元まで突き刺さるとドローンシュは動かなくなった。「やったのぅ……さて、ノイナは無事か」慣れた動作でレイピアを仕舞う。それと共に元の姿に戻っていく。瓦礫を退け、土壁を壊す。「すいません、助かりました。ですが長くないです」肩で息をするノイナ。服を破くと、明らかと言えるほど紫っぽく変色していた。「おい、レイピア。治す方法とかあるか?」『この女が耐えれるかどうか。一瞬で戻って預ければどうにかなるだろうな』

超速、いや速さという定義に入れてはいけない。思考が追いつかないまま、荷馬車を置いてきた場所に戻った。着いて直ぐに物音で気付いたか見慣れた老婆が出てきた。「どうしたんじゃ、あぁ怪我人か」衛兵が現れてノイナを回収して行った。「姫にも伝えるか」護衛は何度かした事がある。殆どは複数人で行う大規模任務だ。ミスはない。仮にミスをしても関係者を全員抹殺すれば問題は無い。だが、今回は違う。「なんて説明するかねぇ」『頭を深深と下げて許しを乞う』腰元に下げたレイピアが偉そうに喋る。「あんま喋んな。こそばゆい」城内に入ってスグ、ミイナとシュメリドがやってきた。「シュメリドさーん、外はダメですよー」姫に合わない喋り方でばったりと遭遇した。「おっす」足元に擦り寄るシュメリドを撫でながらミイナに向かう。「どうでしたか?あまり有意義な話し合いは出来なかったでしょう。悪い事をしました」謝るより先に向こうが頭を下げた。「私こそ、すまん」ミコルが頭を下げた意味を理解したのか膝から崩れ落ちる。それとほぼ同時に囲まれた。「姫に何をした!」「客人、答えによっては」黒服達に静止を促す。「特殊指定十徒とやらに遭遇した」場は凍りつく。なんで、ともなく。ただその言葉が意味する結末を知っている、そんな顔。「まぁ倒したし、ノイナも知り合いってったらアレだが医者にすぐ見せてるから安心しろ」安堵からかミイナはそのまま寝込んでしまった。

「という訳で、君らの上司はかなり深刻だ。医者曰くは一日一日の経過次第では切捨てると」眠るミイナとは別室にメイドとウィルドも含めて会った出来事を話した。「向こうは完全に黒。特殊指定十徒まで匿ってる、これはもう戦争と言うより断罪をすべきです」「ですが聖徒六星を呼べば莫大なリスクを背負いますよ?」黒服達が情報を元に話し合い出す。「なぁ聖徒六星ってのは?」横で真面目そうに正座するも痺れて動けないウィルドに聞いた。「僕もあんまり詳しくないメイドさんなら知ってる?」「聖徒六星は敵と見なせば王国さえ崩壊させる言うなれば人間の最強種でしょうか?3000年前に一戦交えたときは羽を片方失う程の強さでした」ひっそりレイピアにも尋ねた。「バレたくないから小声で話すぞ、まぁお前の脳空間に入り込んだだけだが」レイピアが語る聖徒六星は、協力して悪を倒す代わりに領民や領地をかっ攫う組織。だが、1度下れば着きたい職につける、同性、歳の差、それから種族の垣根を超えた結婚や雇用制度を持つ人類解放団体モドキ。「って事は、なんか種族うさぎとか名乗る野蛮野郎もいるってことか?」そうだと帰ってくる。「はーん。そんなヤツらに頼む必要はねぇ。3日くれれば向こうを制圧してきてやる」ミコルが話に割って入る。「それは、確かに有難い。変わり身の件で実力はわかっている」「なら話は早い。シュメリドの件も含めてあんな国は消し飛ばす」気合いを入れたタイミングで1人の黒服が飛んできた。「聖徒六星が来ました!1人です」


同じ聖徒の者がやられたならばどんな場合であろうと粛清をくだせ、そうお教えを賜った。「だが、本当にあの国が悪いのだろうか」たまに疑問を抱く。ただ単に私怨で濡れ衣を着させるなんて何度もある。だが、偉大なあの方の手前、言い出せない。きっと私は何もかも未熟だから疑うのだ。

敵城に布告の旨を知らす為に、己を整えるために。「礼儀知らぬ上、無礼とあらば指摘を貰いたい」正座をし、相手側と向き合う。仮面を着けた女、異国の客人、見かけない貴族服、変わった動物。この国の者がいない?と疑問を覚える。「では、お話を聞きましょうか」冷静に仮面が喋る。よく見れば仮面がここのトップだ。「私達が何者かは知っていると思う。そのうえで、先の乱闘にて聖徒が巻き込まれたと」「率直にいえねぇーのか?宗教家」刺すような目つきの女がこちらを見る。異国の客人と言えど礼儀はどうなのか、と言おうとしたが。取り押さえられていた。「コホン、失礼しました。要するに我々に宣戦布告をしに来たと言う解釈で間違いないのですね?」仮面の気迫に少し身が小さくなるような気持ちになった。「我々はあくまでも正義を遂行するまで。3日以内に土地の明け渡しまでしてもらえれば無駄な犠牲は出さない」「はーん、調子こきやがって。聖徒六星だかなんだか知らねぇが、喧嘩を売る相手を間違え─────」気配なく現れた黒服の集団に追い出された。「言い方はよくありませんが、私たちの総意見は先程のでかわりありません。3日猶予を持つの言うならば今日にでも整え迎え撃ちます。ですが本当に今回付く側は正しいのですね?」良くある、上は若くて居るだけの傀儡国家というものが。この女は知らないだけだ。「あぁ、合っている」

外に待機していた部下と落ち合おうとするが、一人もいない。「やられた?そんなはずはない。一人一人が王国お抱えの先鋭と同格か、それ以上に鍛えた」焦っている、それを悟られた。レイピアを携えた者、12席ローフガリィアだ。「王の依頼も兼ねて、同盟国の調子を見に来たら聖徒六星が襲ってくるとは」「雷傀剣技、どれだけ頑張れどその対策は取れなかった。だが、意味は無い。3日後が楽しみだ」殺気はない、横を通り去ろうとする。「そうだな」ふと、気付く。「ローフガリィアじゃないな?」その疑問は死への入口だったかもしれない。細い先が眼球の目の前までくる。「国すら滅ぼすという六星が呆れた。流石は虚席のボルディア・センルラース、出世欲のために暴走か?」自身の力ではどうしようもなかった。それ程早い。「同じ外れ席同士だ。殺し合うなら戦線の方が良いだろ」ローフガリィアはレイピアを仕舞い、捨て台詞を残して消えた。「明日には本部隊も来る、ローフガリィアの事を伝えて対策を練らねばな……」


3日という猶予に「私は隣に渡って情報を得る」とミコルは焦りを覚えたのか行ってしまった。「僕も何かできることある?」ノイナ達は極めて落ち着いた様子で民間への書類を制作してい。「そうですね、私も目が覚めたら突然戦争始まると聞かされて焦ってます……なのでしばらくシュメリドさんを借りますね」必要ないと感じ、メイドと外へ出る。「ミコルに着いて行った方が良かったかな」心配そうにメイドを見る。「いえ、私達がいると邪魔をしてしまいます」メイドは余裕そうであった。「では私たちはあれを作りましょう」メイドの指さす先には土嚢が積まれていた。「あれって何?」「麻でしょうか?それに土を入れて積み上げるんです。その後、魔法処理を施せば物理的や魔法的な攻撃から身を守る壁になるんですよ。お城の壁とかも中身はあれですよ」メイドが地面の土を軽く握りウィルドに見せた。「土壁だけだと、攻撃される度にこうやってパラパラと落ちてしまいます。でも袋等で区分けすると」小さい種入れ中に土を入れる。「ほら、袋自体は動きますが中の土は動きません。なので時間は掛かりますが質のいい防壁が作れます。それと、終わったあとの撤去も楽です」メイドが作業中の人とコンタクトをとり、戻ってきた。「女性の方々が入れる作業をしているそうなのですが。その作業と運搬が間に合ってないそうなので」

たくさんの人達が魔法で土を持ち上げ、それを袋に入れていた。「どう分担する?」「私の方が力があるので土入れを頼みます」

周りの人達に袋を広げてもらう。「えっと、戦闘スキル───確か土雨(ドーウ )」土が意志を持ったかのように盛り上がり、袋の中へ入っていく。「ふぅ、え!もう?」一休み着こうとしたが、もう次の袋を広げていた。「よーし、僕も頑張らないとミコルに示しがつかないからね」

出来た袋をどんどん運んでいくメイド。「あんた早いなー、家で雇いたいくらいだ」何回も運ぶうちに謎のスカウトを貰う。「いえ、私は永久雇用される予定なので」軽く流しながら何度も往復する。連携の賜物か、日暮れには相当量出来上がっていた。「あとは明日までに戻ってこれた自国民を入れたら封鎖だ」

その日ミコルは戻らなかったが、宴会が開かれた。「戦前に食事を開けるなって顔してるなー?うちの国は納めるもんが多い代わり、全部貯蓄されてんだよっ!」ウィルドは豪華な食事に不安を拭えない。「そうだぞ、それに今回の食事は全部!私らの家の貯蓄分だから。戦争がひとたび始まれば城の中で過ごせるようになってるのさ」「こんなに沢山の人達?」料理に勤しむ人達、酒を飲む人達、まだ想いを伝えれてない人に伝えるもの達。「これじゃまるで──」ウィルドが言いかけたところで口を塞がれる「城に残る人達は少ないので安心してください。と言っても意味は無いかもですね……みんな死ぬ気で此処を守りたいんです」この国の王がそういうのだ、間違いはない。みんな死ぬ為に戦うのだ。

「ねぇ、メイド……昨日まで勝機が上がってても途端に敵が強くなればああなるものなの?」パンとミルクで休息を取っていたメイドに話しかける。「異常としか言えません。でも彼等なりの抵抗です、向こうは信者にする人達や土地。それから食料ですね。土地以外手に入らないのは向こうへの大きな損失では?」冷静に語るメイド「ミコルがこれを見たらなんて言うんだ」ウィルドは嘆くことしか出来ない自分にも苛立ちを覚え始める「笑いながら全員ぶっ殺すから宴の支度でもしといてくれとか言いいますよ」


暗がりの中、走り回る影。「聖徒って言うのか?あれみたいなやつらの見分け方は?」『胸に書かれた入墨だ。だがそう簡単には見えない』聖徒達を探すが一向に見当たらない。「なんか常に発してる魔法とかあるか?あいつらが」『あるぞ、だがそれがどうした』ミコルはニヤリと笑い、高く舞う。「私は意図的にだが魔力の流れが見えるみたいだ、それを利用する」

正座したまま動かない大量の男達。「ンだよ、訓練すらしないのか?」白いオーラがその密室を覆う。「強さはよく分からないが、あの手のヤツらは面倒いぞ」外に出る。都心部に近いからか、少し騒がしさが聞こえる。『こっちの国は勝った気で居るな。聖徒が仲間なんだ、当たり前だが』レイピアが呆れる。「聖徒って何人くらいで攻めてくるんだ?さっきの奴らは500も居なかったぞ」『あれは一般兵だ、精神が乱れない様にああやって洗脳紛いな事をしている。他は────』ミコルの意思と無関係に屋根まで飛ばされる。『前に話した、種族違いになりたいとかいうヤバい奴らの正体がコレだ』猫背、ランランと光る目に鋭い爪。猫と言われれば納得しかける人間。「おぉい!あれこそマジモンのグレンジみたいなやつだろ!悪魔と人間の混血だっけか」『グランディアベルギアンドと密かに通じているからな』弾を装填し、構える。「まじかよー、また倒しにくいやつか」屋根から発砲する。当たらない。「避けるタイプか?」全弾打ち切り抜いた弾倉を投げ付ける。「よっと!」それを新しく抜いた銃で撃ち抜いた。カンっ!と乾いた音がなると同時に爆発した。『最初に試された実験の賜物、動物と人間の融合体。グレンジで言うなら2だな』「2なら余裕だ」レイピアを手に持ち、高速で近付く。「近距離ファイアァッ!」敵の頭に弾丸を撃ち込む。『ばかか、我を使え』ゼロ距離を避けた猫人間は後ろへ距離を取る。「当たらねぇーぞ」『当たり前だ、だから我を使えと』また加速する。「今だっ!」レイピアを突き刺す。猫人間の肩に掠れる。『よし、後はフリースタイルでも何でもしてくれ。速度に追いつくようにしてやる』猫人間が宙を舞い回転を効かせながら降りてくる。「おー、バンッ!」感心しつつ撃つ。当たらない。「あれ避けるのか。くるっ」即座にその場を離れる。爪が瓦を鋭く叩き割る。「人に当たったら死ぬぞ!なら」銃をしまい右手に光を集める。「サンダァァァ!!」ピリピリと神経が焼ける痛みに耐えながら高出力を放つミコル。「やったか」猫人間は毛が黒くなり、見るも無惨に焼け焦げていた。「とりあえず今日はこの辺で」クルッと身を翻し進もうとする。視界がブレている。「ッ!神経ガスの類か?」足を滑らせ土の地面に落下する。『大丈夫か?』「やべぇ、脳がクラクラする」裏路地に転がり込みもたれ掛かる。『構えろ。来るぞ!』だが休む余裕はない。「ちった休ませろ!」立ち上がり前を向く。路地の方へホンと似た気質の男がやってくる。「俺らを偵察しに来たとはな。聖徒六星が怖すぎて暗殺隊、リーカイナ・ベッリヤを忘れるとは。愚かよ」拳法の構え。「この変な視界異常はお前らか」レイピアを杖にし体制を整える。「あいにく違う。夜になればこの地はこうなる。特にこの辺りはな」三節棍が飛んでくる。「それはやなこった」避け、地面に倒れるように伏せる。直ぐ頭の上を帰ってきた三節棍が過ぎる。「まぁだが、焦ることは無い。今回は殺しではなく勧誘に来た」男の部下らしき気配が辺りを囲っていた。「はーん、勧誘ってがよ。仲間で囲って脅して作ったところで意味ないぞ」短剣、マチェット、サーベル、杖。『ダメだ。引くぞ』「はぁ?なんでだ」レイピアが突然焦るように喋る。『おかしいと思わないか?この臭い』ミコルが動物のように鼻を利かせる。「腐敗臭……なるほどね」微かに、街に漂う汚水やゴミの中かからより濃く分かる程の腐敗臭。『殺して仲間にするという変わったスタンスの殺し屋部隊な事だな。行くぞ』「あぁ。あいにくだがお前らと遊ぶ暇はない!」地面に煙玉を投げ、撤退していく。

「この戦争に奴らが導入される可能性は?」『極めて高い。死んでいるから消し炭にでもしない限りは襲ってくる』屋根を転々と移っていく。「まぁ後は私が言った通りにノイナ達が動けば完璧だが。無理そうなら1日前に仕掛けを使う」


2日目の朝、ウィルドは重い体を起こした。「ウィルドさんおはようございます。お茶です」メイドは朝から元気そうだ。「おはよ。シュメリドも」お盆を背中に乗せて楽しそうにしてるシュメリドを見ながらお茶をのみほす。「昨日は沢山魔力を使いましたからね。今日は休息を兼ねてトラップを配置しましょう」メイドから朝ご飯を受け取る。「食べならが聞いてください。まず───」地図を広げどこに配置するかを話すメイド。「と、市内に攻め込む想定なので。お城の方はそもそも遠いので最初っから攻め入るなんて荒唐無稽な計画は立てないでしょう」

ご飯を終えて配置箇所に着いた。「ミコルさんいわく、声を拾うと自動で笑い声や足音を立てる装置だそうです」敵が攻め込んできたら真っ先に来るであろう最初の村の村長家。「柱に2箇所ほど付けます。私が敵の想定で来るので本当にそうなるのか見ててください」メイドに言われた通りに起動させ息を潜める。「敵だー!攻めに来たぞー」メイドが村長の家に近付く。『はっはは!』『おぉ、すごいなぁ』適当な話し声が柱から聞こえビックリするウィルド。「何腰を抜かしてるんですか。作動しましたね、では次のところに行きましょう」メイドに手を貸され起きるウィルド。「こんなけ?入ったら落ちるとか仕掛けないの?」「随分と古典な発想ですね。ですが悪くはありません」

一日中回れる限りを回り尽くした。流石のメイドも少し疲れ気味であった。「遂に明日、絶対に勝って全員殺してやる」ウィルドの目に火が灯る。「彼等は違いますよ。それにそのようなことを口にする人は戦線に入れれません」メイドはメイド服を脱ぎ捨て、身体を鳴らす。「ちょっと?!」「逆光で見えないです。恥ずかしがらないでください。私は貴方の苦痛を沢山経験してます、だから言えますが復讐で動いて良い成果を上げた人なんていません」肩甲骨辺りから羽根が生える。尻尾が飛び出て、角が見える。「メイド……」濃縮された魔力が辺りの植物を枯らせる。「今回は全力で行きます。貴方もミコルに知られたくないとかくだらない思考は捨てて本質を出しなさい。それが最善です」


ミコルは撤退し宴の支度をしていた「まっ、いいか……参加はするし死に物狂いで家族を守りてぇのしかいないなら」見てわかる。死にに来た目をしている。全地区から集った村長達の会話も聞こえたが、どの年齢までを兵士にするかと。「とりあえず色々仕掛けたし、あとはなるようになるしかない」

帰ってきたウィルドとメイドを引っ捉えて偵察内容を伝える。「不死者……グレンジで言えば1ですね。シュメリドさんより前に研究されて作られましたが、特殊な環境でしか効果を成さないグレンジ持ちの中でも特に厄介で。死なないだけなのでボツになったはずですが」メイドが考え込む。「直感だが、聖徒六星がそれを使いたいなんて思わない。上手く行けば内部分裂も狙えるんじゃないか?」「えぇそうですね」メイドは対策魔法を構築すると言って消えていった

「ミコル、この街の人たちが」ウィルドはあの日感じたことを打ち明けようとするが、遮られる。「この戦争での私としての目標は、出来るだけ向こうに被害を与え撤退する事だ。だからいいんだよ、ただ引きたくない。この街に骨を埋めたいって頑固なジジイもいれば、生きたいって若もんも多いわけだ。そんな中でわざわざ死んでも街を守りてぇっんだ。自分らが抵抗してるうちに家族を逃がしたいってな」ポンポンと頭を撫で、始まろうとする宴に乗り込むミコル。「うーし、オメェラ!死ぬ覚悟は出来んな!」酒が注がれた盃を高くあげる。「「「「「「「おぉぉー!!」」」」」」」みんな気休め程度で飲み、それぞれ家族と集まって食事をしていた。「あー、これって良く流行りの世界最後の日に何したい?ってやつか」謎の関心をしているとミイナがやってきた。「ミコルさん。先にこちらを」袋を渡される。「金なら受け取らねぇーよ。私的にもアイツらに1発かましてーしな」ミイナは首を振る。「いいんです。我が国の者達は地下へ、地下に大きく広がる空間へ行きます。そこは旧遺跡時代の道具が沢山あって生きるだけなら問題が無いほどです。それに攻められないために扉を閉めますがそれをしたら外界との接触は9割断たれます」少し俯くミイナ。「なのでこれはもう要らなくなるものです。価値がある内に受け取ってもらいたいです。しっかり換金して、共通通貨にしておきましたので」ミコルは袋を半ば強引に渡された。「この戦争に勝つって気持ちは無いんだな」真っ直ぐ見すえる。仮面越しなのに伝わってくる殺気にミイナは少し狼狽える。「えぇ、ですがせっかくできた友達が死ぬのは嫌です。不利になれば私が捕虜として名乗り出ます」「私達がしたみたいな待遇が待ってるかもしれねぇーぞ」ミコルは真剣な表情を変えない。「でもほかに方法はありません……」「ちいせぇのが戦争だがなんだ語るな。私は死なん、負けそうならこの街事ぶっ飛ばすつもりだ」ミイナの頭を撫でる。「街の人にゃミイナ、お前が必要だ。さーて、ノイナの調子でも見に行くか?」「そうですね……」


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