表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生令嬢と黒猫の秘密の計画 〜冷遇されているので偽装結婚から一発逆転狙います!〜  作者: 鳴神楓


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/13

13.若き英雄

 王都を恐怖に陥れたスタンピードの鎮圧から数日。


 『蒼きドラゴン』となって王都の危機を救った若き大魔術師の話題は、王都中の人々を熱狂させていた。


 王立魔術師団の英雄として一躍時の人となったルカは、連日の受勲手続きや報告作業に追われ、久しぶりにボールドウィン男爵邸へと足を運んだのは夕暮れ時のことだった。


「ただいま、エリーゼ……!」


 窓から滑り込んできた黒猫が、室内で光に包まれて少年の姿に戻る。

 その顔つきには以前のような気弱さはなく、国家の英雄にふさわしい確かな自信と気品が満ちていた。


「ルカ!

 無事で本当によかった……!

 無茶ばかりして……!」


 私が思わず駆け寄ると、ルカは少し照れくさそうに、しかし頼もしく微笑んだ。


「無茶じゃないよ。

 約束しただろ?

 君を守れる、強い男になるって。

 ……だから、頑張れたんだ」


 まっすぐな瞳で見つめられ、不意に胸が跳ねる。

 以前よりたくましくなった彼の肩や、大人びた表情にドギマギしていると、部屋のドアが勢いよく開いた。


「ハハハ!

 見事な活躍だったぞ、ルカ!」


 大股で入ってきたヘンリー様が、満足気に豪快な笑い声を上げる。


「国王陛下からも直々に言葉を賜ったそうじゃないか。

 これで『王立魔術師団の天才英雄』という強力な後ろ盾が我が商会に加わったわけだ」

「ヘンリー様、ありがとうございます。

 ……でも、僕の功績だけじゃなくて、エリーゼの作戦も手伝いたいんです」

「フッ、分かっているさ。

 で、エリーゼ嬢。

 ルカが帰ってきたとなれば、例の『第二弾』を動かす時だな?」

「ええ、もちろんですわ!」


 私は机の上に広げていた書きかけの戯曲案を二人に提示した。


「タイトルは『黒猫と龍の騎士〜乙女に捧ぐ誓い〜』。

 不遇な姫を救うため、普段は黒猫として寄り添い、危機には巨大な龍となって国を救う若き騎士の愛と冒険の物語です」


「えっ、こ、これってまさか、僕とエリーゼをモデルにしたお話……!?!?」


 内容を読んだルカの顔が、一瞬で耳まで真っ赤に染まる。


「顔を赤くしている暇はないぞルカ! 

 今、街中で『龍の英雄』の話題で持ちきりなんだ。

 このタイミングで、ルカの実話をベースにした胸熱なストーリーを打ち出せば、前作『シンデレラ』を超える社会現象になる!」


 ヘンリー様が興奮気味に身を乗り出す。


「ですがルカ、あなたの名前をそのまま出すわけではありません。

 あくまで『モチーフ』として架空の物語にするわ。

 これで世間の人々は、英雄としてのあなたに憧れつつ、不遇なヒロインに心を寄せるようになる……」

「わかった。

 それがエリーゼの作戦なら、いいよ。

 ……ちょっと恥ずかしいけど」


 ルカは真っ赤な顔のまま、キュッと拳を握りしめて覚悟を決めたのだった。


──────────


 そうして上演された新作戯曲『黒猫と龍の騎士』は、期待を遥かに上回る爆発的なメガヒットを記録した。


 劇場は連日超満員。

 観客たちは、黒猫の愛くるしさと龍の圧倒的なカッコよさ、そして一途に姫を守ろうとする騎士の姿に涙し、大歓声を送った。


「龍の騎士様、なんて素敵なの……!」

「不遇な環境にも負けず、騎士を信じ続けたお姫様も素晴らしいわ!」


 噂は瞬く間に広がり、連動して発売された演目案内の冊子や連載小説も飛ぶように売れていく。

 ボールドウィン商会の名は王国中に知れ渡り、エリーゼのヒットプロデューサーとしての地位も完璧なものとなった。


 そして何より――この大ヒット物語は、ある予期せぬ大きな「副作用」を王都中にもたらすことになるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ