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魔法設計士  ― この世界の魔法、全部バグってます  作者: 有松
第4章 避けられぬ戦い ― 代償の始まり
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第33話 禁じられた手段


「興味深い話だ」


その一言で、流れは決まった。


 巨大魔石の話

 竜の使役が解ける可能性

 森の伝承


ルナシールドはエルフの里に伝わる竜と魔石の因縁を伝えた。

そして、この戦争がもたらす災厄を。

学院長室で軍の将校たちは黙って聞いていた。

そして、将校はきっぱり言った。


「だが、証拠が何もない」

「伝承だけで戦争は止められん」


咄嗟にミレイアが声を上げる。


「でも、もし竜が暴走したら…」


「それは帝国の問題だ」

「王国軍はその時の状況で対処する」


それで十分だ、と言われた気がした。

王国側の人間にとって重要なのはそれだけだ。


(……それだけか)


会議はそこで終わり、軍の将校と文官が部屋を出ていく。


扉が閉まると、学院長は椅子に深く座り直した。

指を組み、アリソンに目を向ける。


「さて、ここからは身内だけの話だな」

「何か考えがあるのだろう?」


「できれば話し合いで何とかしたかったのですが…」


アリソンは学院長の前に進み出る。


「戦争を止めます」

「試したい事があるので、学院の施設を使わせてください」


学院長は頷いた。


「よかろう」

「ただし、静かにやるのだ」

「どこに目や耳があるかわからん」


(学院長は僕の考えを薄々感づいているな…)


アリソンたちは学院を出て、ターニャ達との待ち合わせに向かう。


王都の街は混乱していた。

馬車、荷車、兵隊、商人。

すべてが同じ方向へ動いている。

南へ。

ミレイアが顔をしかめた。


「すごい荷車の数」


街道は相当に混雑していた。

兵士たちが怒鳴り合っている。


「こっちが先だ。道を空けろ!」

「何やってるんだ。早く進め!」


しかし、渋滞で誰も前に進めない。


「これじゃ前線に物資が届くのも時間かかりそうね」


「…あぁ」


アリソンはどこか上の空で答える。

彼の視線は荷車ではなかった。


 人の流れ

 命令の声

 物資の積荷


全部が一つの道に集中している。

アリソンは足を止めた。


「荷車が進まない」


「え?」


「前が詰まってるから、全部止まる」


ミレイアが首をかしげる。


「そんなの当たり前でしょ」


「……通信も同じじゃないか」


「何の話?」


ルナシールドが少し考える。


「……精霊通信のことですか?」


アリソンは頷いた。


「つまり、命令が多すぎたらどうなる?」


「処理できない?」


「そう!」

「こんな感じに詰まらせればいい」


アリソンは渋滞で混乱する王都の街道を指さす。


「命令が通らなければ、魔法は発動しない」


ミレイアが呆れた顔をした。


「ちょっと待って」

「敵も味方も魔法が全部止まるんでしょ?」

「それじゃ、意味ないよ!」


ミレイアの言っていることはもっともだ。

しかし、


(意味がない?)

(…違う)

(王国が勝つことが目的じゃない)


「この作戦は王国軍には言えないな」


ミレイアがため息をつく。


「でしょうね…」

「下手したら国家反逆罪になるよ」


アリソンは街道をもう一度眺めた。


「でも、戦争を止めるにはこれしかない」


「危険な方法ですね」


アリソンは頷きながら、足元の地面に自分の考えをまとめだす。

その時だった。

後ろから声がした。


「今、国家反逆罪とか聞こえたけど…」


振り返る。

そこにはターニャが立っていた。

隣には大きな髭のドワーフ。


グラムベルクは興味津々でニヤついている。


「なにか物騒なこと思いついたな?」


「うん、ちょっと危ない案なんだ」


ターニャが眉をひそめる。


「危ないって?」


「戦争を止める方法!」


アリソンは答えた。


その方法は――


(これを使えば、戦争は止まる)

(だが――)


味方すら犠牲にする、禁じられた手段だった。

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