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兄と妹は身体を共有して異世界生活を謳歌することにしました。  作者: ノヴァ
第2章~まずは新生活から謳歌し始めようと思う。~
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巨大蛇の買い取り価格は3220万


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 △ △ △ △ △ △



 サラの家を出て、歩いて10分トボトボ歩いて30分の道程を経て、俺3人(+一人)は商業ギルドへやって来た。

 もちろん先日討伐したビッグバイパーの買い取り査定の結果確認の為だが、他にも理由はある。

 実はこの商業ギルド、中で買い取り等をしてくれるだけかと思ったら大間違い。実際はかなりの立地面積を誇っており、内部は小さなショッピングモールのようになっているのだ。先日の屋台市場もここが開く午前9時まではあの通りで営業して、それ以降はこっちに移るのだとか。

 で、買い取り査定の件が済んだらそちらで買い物をしていこう、ということになった訳だ。

「で、終わったら何買いに行くよ? 俺は別に買う物無いし」

「フフフフフ腐……。ミライ、買い物というのは買うのではなク、探すものですヨ?」

「そんなもんかねぇ……」

 イマイチ女の子の買い物という物の理解に苦しむ俺であった。

「ほら、つまらない話してないで。着いたわよ」

 サラに声を掛けられて前を見ると、《商業ギルド 買い取り査定専門所》の看板が掛かった建物が。名前こそ何度も出てきたが、来るのは今回が初めて。この先何度もお世話になるだろうから場所は覚えておこう。

 サラに続いて中に入ると、独特の鉄の臭いが鼻を突く。間違いない、血の匂いだ。恐らくビッグバイパーの解体時に溢れ出た血のものだろう。

「おお、あんた達か」

 と、受付の男性から声を掛けられた。確かあの男性は、昨日ビッグバイパーを引き渡したギルドの方々の内の一人だ。名前は「シュワン・ルーツ・ネイガー」だったか。初見で見たときの印象だと、コマンドー部隊の隊長や未来から来たサイボーグみたいな筋肉モリモリマッチョマンを連想させる肉体と顔付きだった。余談だが声は正義のロボット部隊の総司令官や世界一の虎とそっくりである。

「すいません、ビッグバイパーの査定終わりましたか?」

「ああ、とっくに終わっている。しかしあれだな、先に帰って手筈を整えてている時にギルドにビッグバイパーが入って来たんだが、破壊的な臭いだって評判悪かったよ」

「え、そんなに臭いですかこれ?」

 巷では血の匂いは物によっては酷いと聞くが、この匂いはそれほどではない。確かに臭くはあるが耐えられない程ではない。恐らくは春日部在住の会社員の靴下の臭いよりマシだろう。

「今は消臭剤と消毒剤を撒いたから落ち着いてはいるが、昨日の夜はかなり酷かったな」

「えーっと……なんかすいません」

 自分達の持ち込んだ獲物のせいでギルドの方々が匂いに苦しんだと思うと心が痛む。

「なに、気にすることはない。さぁ、それよりも査定の結果報告だ」

 シュワンは受付の後ろの棚からファイルを取り出すと、俺達に見えるようにそれをカウンターに置いた。

「まずは内訳だが、肉が珍味とされていてレートが高く500g10000円。それが今回600kg採れたから、10000円×1200片で1200万。そして骨だが、こっちは1kg3000円で400kg採れたから、120万。それと滅多に出ないアイテム『大蛇の宝玉』が採取出来て、これが武器の素材に珍重されていて、一個2000万。よって、合計3320万だ」

 ────────パードゥン!?

「え……ほ、本当に……3320万?」

「ああ、本当だ。ほれ、これがその3320万だ」

 そう言ってシュワンはこちらに物々しいスーツケースを差し出した。よくマフィアなんかが取引に使うあれだ。恐る恐る開けると、中には諭吉(ぽいやつ)がギッシリ。

 ほ、本当に3000万円ポンッと手に入るとは……。

 これだけあれば、しばらくはクエストを受注せずとも食っていける。もしくは強力な武器を手に入れる事も夢ではない。

 とんでもない金を手にしてしまったぞ俺は…………っ!!

「あ、それとだ。お前とそこの猫人(ワーキャット)が受注したウサギ狩りのクエストだが、頭部を激しく損傷してた以外は状態は良好だったから、報酬は1260円だ」

 あ、そう言えばそんなクエストを受注していたような。思い返せばウサギを狩り終わった直後にビッグバイパーの襲撃に遭い、事の大きさからそちらがメインイベントとなってしまったのだ。しかしウサギに比べると難易度が半端なかったが、それを上回る勢いの報酬。割とその辺はどうでも良くなった。

「じゃあ俺達はこの辺で」

「ああ、また活きのいい獲物獲ってくるのを期待してるぞ」

 激励の言葉と1260円をシュワンから受け取ると、俺達は買い取り査定専門所を後にした。

 そうなると、このあとは買い物な訳だが。

「さて、軍資金は3000万。何を買おうかなっと」

「3000万なんて日用品に対して使う金額じゃないわ。買うとすれば、武器とかそっち系が妥当ね」

「ア、武器はミーニャも欲しいでス! いつまでも短剣一本じゃ心もとなイですしおすシ」

「お前はいい加減日本語を話せ」

 全く、ミーニャのやつは日本語が出来るのか出来ないのか。外国人目線だと充分出来る方だろうが、日本人目線だと一部おかしいと突っ込まざるを得ない。

 しかしそんなミーニャの発言が元で、取り合えず武器の購入をすることに。幸い近場に大規模な武器専門店があったので、そこに入ってみる。

『うへぇ……。右も武器、左も武器……』

 そこの店内は、脳内の妹がそう呟くほどの品揃えだった。壁には所狭しと剣や刀が掛かっており、ショーケースにはナイフやら手榴弾、棚には楯や銃が、店の奥には鎧がギッシリ。多すぎて目移りしてしまいそうだ。

「おお、これなんかいいですネ!」

 ミーニャはそう言って棚から何かを取り出した。それは一見するとボウガンのように見えたが、弓の部分に9つの砲口が横並びに付いており、ボウガンとは似て非なる物だと認識出来る。

「えっと、何々……? 『一度に9方向のビームを発射可能』──だってよ」

「よシ! これに決めましタ!」

「『ただし一発毎の消費MPが多く、一発で15MP消費』だと」

「今のミーニャだと一発が限界ね」

「ぐぬヌ……。だったらこれでス!」

 ミーニャは名状し難いボウガンのような物を棚にしまい直すと、今度は壁に掛かっていた楯を手に取った。赤、黄色、グレーと配色が地味に派手だ。

「えっと……? 『敵の撃ってきたビームを吸収、自分のMPに変換出来る』……」

「おおッ!? これならさっきの武器と組み合わせテ立ち回れまス!」

「値段……5000万」

 どうあがいても俺達には手が届かなかった。

 その後もミーニャは、セーフティーを外したら14本のビームが側面から出力されそうな剣やら極太ビームを発射出来そうな円卓の楯やら核弾頭を発射出来そうなバズーカ砲やら大の字にビームを放てそうな黄金の鎧やら選んで来たが、どれもこれもミーニャのMPでは運用出来そうも無かったり値段が高過ぎるといった理由で見送られた。こいつは身の程を弁えずにただただ戦場でブッパしたいだけではないのか。

 結局午前中だけではミーニャの武器を見繕う事が出来なかったので、午後にまた来るようにと、俺達はその店を後にした。


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