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MASK 〜黒衣の薬売り〜  作者: 天瀬純
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学生と祠 《異変》

 今後は1話完結型ではなく、短編集として活動していきますので、よろしくお願いいたします。

 今年も残すところあと数時間と迫るなか、僕は大学で知り合った友人たちと初日の出を見ようと、とある山の国道沿いに車を停めていた。ガソリンがもったいないのでエンジンを止め、車の近くでテントを張って暖をとることに。本当はよくないことなんだろうけど、普段とは違う過ごし方に僕らは心を躍らせていた。もちろん、火事にならないように細心の注意を払いながら。


 午後11時過ぎ。特に自分たち以外の車が近くを通過することなく、僕たちはテント内で談笑していた。


(大学を卒業して就職したら、こんなふうに過ごすのも難しいんだろうな……)


(きた)る就職活動と対称的な()()時間を恋しく感じていると、


ゴーン。


ゴーン。


ゴーン。


「鐘?」


スマートフォンをいじっていた坂井が最初に反応する。


「ここまで聞こえてくるもんなのか?」


テント内で横になっていた茂田も続けて反応する。


「いや、除夜の鐘って年越し前に鳴らすっけ? というか…、この近くで鳴っていた感じに聞こえたけど…」


「怖いこと言うなよ。このあたりに神社や寺なんてないぞ」


坂井の指摘のように、僕らがいるのは山の頂き付近の国道沿いで、寺社仏閣どころか民家も近くに無いところだ。


「…だよね。やっぱり遠くから音が聞こえているのかなぁ…」


そう言って、僕らがなんとか理由付けて納得しかけたところで、


シャーンッ。


シャーンッ。


シャーンッ。


「「「っ⁉︎」」」


鈴だ。鈴の音がテントの外で響き渡った。


「え?……聞こえた?」


「う、うん。聞こえた」


「鈴、だったよね…」


確かに鈴だった。しかも全員が聞いていた。


「登山者とか?熊避けとかで鈴を持っているって聞くし…」


「いや、この時間に徒歩で来る人間いないよ…」


シャーンッ。


シャーンッ。


シャーンッ。


「ひっ」


再び鈴の音が聞こえてきた。まるで僕らを呼び出しているかのように。


「俺、ちょっと見て来る……」


おもむろに坂井が立ち上がって、外に出ようとする。


「お、おい」


「坂井、出ねぇほうがいいって」


僕たちの呼び止めに脇目も振らずに、彼は靴を履き始め、


「いや、なんか…気になるんだよ」


そう言って外に出て行ってしまった。


「な、なぁ。これ…」


茂田が震える声で僕を呼び、坂井が座っていた場所を指差す。


「え…」


そこには、彼のスマートフォンと一緒に古びた鈴が1つ置かれていた。


(やばいぞ、これ…)


同じことを思ったのだろう。顔を見合わせた茂田と僕は急いで靴を履き、テントの外に出た。外は暗く、テント内の明かりと持っているランタン以外は殆ど暗闇でだった。とりあえず、近くに停めていた車の中を確認してみるが、坂井の姿はなかった。


(車道のほうを歩いていったのかな?)


そう思い、僕が麓に続く車道を照らしていると、


「おい、こんなのあったか?」


茂田が呼びかけるほうへと顔を向けると、彼が持っている懐中電灯に照らされた先に古い石段が山の頂上がある方向に向かって続いていた。


(なんだ、これ)


「なかったよな、これ? 来た時は、普通に木とかが生えてたよな?」


僕は震えながら茂田に向かって頷く。


「う、うん。なかったよ……」


状況が把握出来ず、しばらくその場に立ち尽くしていた。しかし、坂井はもしかしたら()()を上っていったかもしないと思い、話し合いの結果、僕らは石段のほうへと近づいていった。


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