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29話 ザイデル皇国ご一行様、再び


 数日して、またもやザイデル皇国のご一行様がヴァルータを訪問する旨の連絡が入った。


 3日後を指定すると、あの映像を自国の上級官僚たちに観られたにもかかわらず、(抜剣さん以外は)ほとんど同じメンバーであり、その厚顔無恥ぶりを生暖かく見守る。


 ヴァルータ側も前回と同じく、財務庁の一室でアルベルト、ウリヤーナ、ルシフェル、ウピオルという意地悪なメンバーでの対応。


(余談ながら、抜剣さんは映像で「記録」されてしまったことから、アルフォンスはあの事件を秘かに「バッケンレコード」と呼んでいた‥‥)


 商務長官が「いやー、ヴァルータ公爵、そして侯爵の方々、お久しぶりですな」と、いかにも、この平民の成り上がりどもめ!、といった態度で接してきた。


 一応こちらは世界最大の領土を有する国の公爵と侯爵なんだけど、凄いな、こんなのを再び派遣してくる皇国って‥‥ 


 まあ、皇国は貴族の特権意識が特に強い国で、帝国は人間至上主義で亜人・獣人差別が強い国って知ってるけど、それにしてもなあ‥‥


「前回の会合の続きなんですがね」


(いや、「続き」じゃないだろ‥‥)


「複合娯楽施設とアルベルト商会の支店の設置を、en使用可能という条件で、許可したいとの申し入れです」


(まだ許可とか言ってるんだ‥‥)


「えー、en使用が可能になるのは前進といえますが、それぞれの設置数はどれくらいを検討されてますか?」

「前者は富裕層用を5箇所に、一般用を10箇所に」

「設置場所はそちらの指定場所に限定されますか?」

「その通り。ただ、良い場所を提供すること、賃料が適正であることは約束しましょう」

「分かりました。en専用両替所の設置はどうでしょう」

「それは認められませんな」


「では不可能です。関係施設の利用はen決済のみ可能となっているため、両替所はセットとお考え頂きたい。念のため、皇帝陛下にご確認いただくことは可能でしょうか」


(はらわたが煮えくりかえったような表情してるな‥‥ もうちょっと隠す努力しようよ‥‥)


「では確認してみましょう。ただ、建物内部の別室ではなく、外で確認を行いますので、しばらく待って頂きたい」と全員で出て行った。


(さすがに前回の録画で慎重にはなってるようだ)


 情報庁に連絡し、通話内容をこちらに同時転送するよう指示した。



 前世のアメリカ国家安全保障局(NSA)じゃないけど、スマポ・タプレを使った通話・メッセの内容、購入履歴・両替履歴・出入金履歴などの全ての情報がヴァルータ情報庁に集積され、分析局において、(一般市民は除き)各国の重要人物、重要組織、犯罪組織などは常に監視してるんだけど、想像もつかないだろうなあ‥‥



※NSA(National Security Agency:アメリカ国家安全保障局)は、アメリカ国防総省の情報機関だ。

 以前はNSAの存在自体が非公然だったため、「Never Say Anything(何も喋るな)」「No Such Agency(そんな部署はない)」の略だという定番のジョークがあった。



「陛下、ただいま交渉中なのですが、あの守銭奴どもが、両替所の設置も必要と譲らないのです。確かに関係施設はenでしか利用できないとの理由は事実ですが」


「そうか。やむを得ぬな。貴族の中にも関係施設の設置を強く望む者が多くなってきておるし、平民どもにも暴動など起こされては堪らぬからな。それにしてもなんと図図しい者たちよ。忌々しい。ただ、両替所の設置数は10箇所を上限とせよ」

「承知しました」


 ルシフェル「守銭奴どもだとよ」

 ウリヤーナ「忌々しいんやてー」

 ウピオル「ふむ。貴族も望んでいるということから、拒否はできないのですね。それにしても、ヴァルータで養殖している汚れのみを食べる洗浄専用スライムをあの長官に投げつければ、骨までなくなるのではないでしょうか、なんせ存在自体が汚物ですから」


(この意地悪な3人のなかで、ルシフェルとウリヤーナとは異なり、丁寧な言葉を使うウピオルだけど、実は最も毒を吐くのだった‥‥)


 アルベルト「まあ、いったん関係施設を設置しちゃえば、もう勝利確定だね。アルベルト商会の支店の在庫数を意図的に減らして、なかなか買えないようにすれば、特権階級意識の強い貴族から、設置数を増やすよう望まれることになるだろうね。マウンティング大好きってことで」



 ご一行様が戻ってこられた。


「陛下からご許可を得た。両替所の設置を許可する」

「設置数はいかがでしょう」

「10箇所」

「承知しました。ではそのようにしましょう。近日中にこちらから担当者たちを送りますので、ご対応ください」


 ご一行様が去られた。



「じゃあルシフェル、ベリアルとアザゼルに指示して、担当者たちを派遣しておいてね。アルベルト商会の支店については、テュポンに在庫数についての意図を話しておく」

「おう」


(しかし、あれだな、あーいう長官への対策として爵位の授与を承諾したんだけど、全く役に立ってない‥‥ 返上しちゃった方がいいんじゃないか‥‥)



---



 ザイデル皇国に送った担当者たちからの情報では、本当に立地は良く、賃料も適正だそうだ。

 3ヶ月で全て完成させて、営業を開始したところ、いずれの施設も大盛況とのことだ。


 早くもその1ヶ月後には、商会の方は在庫数が少ないためなかなか購入できないこと、複合娯楽施設とen専用両替所の方はあまりに待ち時間が長いことから、全ての施設を初回の2倍の数を設置するよう、商務省の官僚から、運営責任者を経由して、こちらに伝えてきた。

(そしてその後も何度も追加要請がくるのであった)


 皇国の貴族の間では、スマポを使うために費やした各種料金によってスマポ背面の色がランクアップしていく背面色彩変化機能による、貴族階級特有のマウンティングに利用されていた。

 貴族の特権階級意識が強い国なので、予想通りの結果となった。


 商会でも高級品などを、高い金額のものから購入していくようで、そのために両替もかなりの金額になっている。



 現時点までの、金貨での為替レートの推移は以下となる。


・ヴァルータ公開前。旧3大国1枚=ベクレラ王国1.1枚=エング辺境伯領1.2枚。


・3年前(公開後)。旧3大国=ベクレラ王国=エング辺境伯領。(同価値に)

 

・2年前(公開1年後)。旧3大国1.1枚=ベクレラ王国1枚=エング辺境伯領1枚=100万en。(価値が逆転)


・1.5年前(公開1.5年後)。旧3大国1.2枚=ベクレラ王国1枚=エング辺境伯1枚=100万en。(逆転差が拡大)


・1年前(公開2年後)。旧3大国1.3枚=ベクレラ王国1.1枚=エング辺境伯領1枚=100万en。(逆転差が拡大。「en高」だ)


・半年前(公開2.5年後)。帝国・皇国1.7枚=ベクレラ王国1.3枚=エング辺境伯領1.2枚=ヴァルータ公爵領100万en。(大幅に逆転差が拡大)


・現在(公開3年後)。帝国1.9枚=皇国2.1枚=ベクレラ王国1.4枚=エング辺境伯領1.3枚=ヴァルータ公爵領100万en。(皇国がいい感じに香ってきた)



 その後、情報庁長官ウリヤーナが「若、知っとるか、分析局からの情報でな、皇国でいっちゃん多く皇国貨幣をenと両替しとんの、皇帝やねんで! めっちゃ笑えるやろ! 忌々しいとか言うとったおっさんが!」と。


(いやほんま、めっちゃウケたわ)



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