命名
カタリナ王国 ライベルト領
のちに英雄と呼ばれる命がその地に誕生した。
「奥さま、生まれましたよ。元気な男の子です。さあ、抱いてあげてください。今、旦那さまを呼んで参ります。」
助産師が奥さまと呼ばれた美しい女性に生まれたばかりの赤ん坊を手渡し、部屋を後にした。
「元気で生まれてきてくれてありがとう。私がお母さんよ。」
そう赤ん坊に優しく微笑みかけるのは、アイリス=ライベルト。
ここ、ライベルト領を治める貴族ラハマ=ライベルトの妻である。
ドタドタッと人の走っている音が聞こえ、勢いよく部屋のドアが開かれる。
「アイリス‼︎無事か?」
この慌ただしく入ってきた人物がラハマ=ライベルト男爵。
彼は冒険者であった頃の功績を認められ、カタリナ王よりライベルト領を下賜された。
その後、仲間であったアイリスと結婚し、今第二子である男の子が誕生した。
「あなた、落ち着いて。私は平気よ。それよりこの子を見てあげて。名前は決まっているの?」
ラハマは、アイリスの無事を確認し、ホッとした後改めて優しい顔で我が子を見つめる。
「ああ。この子の名前はフォル。フォルティス=ライベルトだ。強く、優しい子に育つだろう。」
「ええ、大切に育てましょう。何があろうと、私たちで絶対に守り抜いていくわ。」
ラハマとアイリス、生まれたばかりのフォルの3人は幸せな時間を共有していた。
まだこの時、フォルがこの世界を揺るがす存在になろうとは考えもしなかった。




