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断罪のその日、私は幼なじみに拾われました  作者: あめとおと


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9/9

後日談 悪役令嬢は、穏やかな日常を手に入れる

 朝の光が、窓から差し込む。


「エレノア、起きてる?」


「ええ、もう少しで行きますわ」


 振り返ると、そこにいるのは夫――レオン。

 この事実に、今でも少しだけ笑ってしまう。


 悪役令嬢だった私が、

 物語に名前も出ない青年と結婚し、

 こんな穏やかな朝を迎えているなんて。


 ***


 商会は、今日も忙しい。


「奥様、この契約書ですが――」

「ここ、条件を少し詰めましょう」


 “奥様”と呼ばれるたびに、

 胸の奥がくすぐったくなる。


 私はもう、

 誰かの婚約者役でも、

 断罪される存在でもない。


 ここでは、

 一人の人間として働き、

 一人の女性として愛されている。


「無理してないか?」


 昼休み、レオンが心配そうに聞いてくる。


「してませんわ」


 そう答えると、彼は少し安心したように微笑んだ。


「昔はさ、

 君がいつも“誰かのため”に頑張ってる気がしてた」


 その言葉に、私は頷く。


「ええ。でも今は違いますの」


 彼の手を、そっと握る。


「私自身のために、生きていますわ」


 ***


 夜。


 二人で並んで紅茶を飲みながら、

 ふと思う。


 もし、あの日。

 断罪の場で、泣いて縋っていたら。


 もし、

 “悪役”という役割に、しがみついていたら。


 この日常は、なかった。


 物語は、

 選ばれる者だけのものではない。


 降りる勇気を持った者にも、続きがある。


「ねえ、レオン」


「ん?」


「私、幸せですわ」


 彼は照れたように笑って、

 それでも真っ直ぐに答えた。


「俺もだ」


 悪役令嬢の物語は、

 本当に、完全に終わった。


 でも――

 エレノアの人生は、

 今日も、明日も、続いていく。


 とても静かで、

 とても確かな、幸福とともに。


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