ジジイと萌えと妨害工作
「萌えアニメは我が国の性犯罪を助長する!」
「ロリコンを増やす異文化には絶対反対!」
「未婚率の上昇を食い止めるために萌えアニメを廃絶せよ!」
シュプレヒコールをあげる中年の女性たちが集結しているのは日本の萌え萌え文化研究所前である。
「おおおお、お爺さん! どうしましょう、女性たちがデモしに来てるんですよ!」
慌てふためるポチ青年は研究所のロビーにあるソファの上でみたらし団子を頬張っているお爺さんに助けを求めます。
お爺さんは年齢制限のあるマンガを読みながら
「その中にロリツインテールの美少女はいるか?」
と鼻血を流しながら尋ねました。セクハラする気満々なのは誰から見ても明らかです。
「いるわけないでしょう! 第二思春期の女性たちですよ!」
「なんじゃその、第二何とかとかいうのは」
お爺さんはエロマンガを放り投げて、窓の外を見ました。
「何じゃあのブスの集団は。これは何かの拷問か? それともその手のイベントか?」
「第二思春期というのはいわゆる中年のことです。”中年”女性という言葉が差別用語ということになりまして、第二思春期と表現しなければ罪に問われることになりました。ちなみに、”老女”や”お婆さん”もアウトです。第三思春期と呼びます」
ポチ青年の解説が入ります。
「ずいぶんと面倒くさい国じゃな。あそこに居座るクソババアどもを殲滅する手段はないのか?」
「く、クソババア?」
「クソババアじゃ。それ以外に形容の仕方がない。なんじゃ、美ババアとでも言うのか?」
「クソババアなんて表現したら女性差別法で死刑になりますよ!」
「クソババアをクソババアと言って何が悪い! 事実あやつらは美少女ロリツインでもなければ、巨乳ボイン美人でもない。世界のありとあらゆる美少女と美女を侮辱するただのブスたちではないか。しかもブス」
お爺さんにとって大事なことなので二回言いました。
「ああああ……この国ではそれだけで死刑確定ですよ……」
お爺さんの暴言を聞きながら、ポチ青年は慌てています。
このままだとお爺さんがその暴言をあの第二思春期の女性たちにぶつけかねません。
「ええい、仕方ありません。ここは女性方の気が済むまで耐えましょう。お爺さん、どうか軽率な行動は……え? いない?」
既に遅かりし。
お爺さんは外に飛び出していました。
こんばんは、そしてあけましておめでとうございます。
今年投稿第一回目です。今年も鬼退治シリーズをよろしくお願いします。
さて、暴挙に出たお爺さん。どうなるか?
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……