ジジイとババアと萌え文化
「なんじゃ、この国は! ワシにエロをさせぬとは、万死に値するぞ!」
という戯言をぶつぶつと呟きながら街中を歩くお爺さんは間違いなく、悪い意味で注目の的でした。
「萌え文化の最上級はエロじゃ。このエロスが通じない者どもには! ワシの徹底的な教育的指導が必要じゃろうて」
「同感です。この国は腐っています」
歩く奇人、お爺さんに同調したのはメガネをかけたやせっぽちの青年でした。
「日本の萌えアニメを見ていただけで変態扱いされ、投獄される者もいる始末。これほどまでに萌えを侮辱する政権は初めてです!」
そして、彼は激しく憤っていました。
「おお、ワシのエロスが理解される日がとうとう来たのじゃな! お主、名はなんという?」
「アレクシウス=ザッパルキア=ヘンドリー=アマルティアス……」
「もう良い。お前の名前はポチじゃ」
「ええ?!」
「長すぎる。ポチ、行くぞ。勘違いの女を討伐するのだ」
いつの間にか入れ替わってしまった目的に不運な青年は引きずられていきました。
お婆さんはお爺さんを放置して街中を歩いていました。
女性専用レストランに女性専用タクシー、女性専用電車と女性に優しい街づくりがなされていることがわかります。
「ぐふふ、この国はワシに配慮した設計になっておるな。ワシへのもてなしとしては悪くないのう。どれ、この国を頂くとするか」
などと意味不明な供述を始めていました。
他にも女性専用マンガ喫茶、女性専用温泉プールとこれでもかと『女性専用』の文字が目につきます。
「これぞワシの求めた美女天国じゃな」
お爺さんとポチと呼ばれた青年は町に一つしかない『日本の萌え萌え文化研究所』前にたどり着きました。入口のドアには『変態増産反対』とか『現実に目を向けろ』とか、かなりきつい言葉がスプレーで落書きされています。
「ここが我らが理想郷です」
玄関には貧乳のツインテール娘の絵が所せましと飾られています。
「ぐふふ、こここそがワシの求めたモテ王天国! ポチ、ワシも萌え文化普及に協力してやるぞ、感謝せい」
お爺さんは鼻血を流しながら宣言します。
これさえなければという言葉を飲み込んでポチは
「ところで滞在時期、明々後日までになってますけど、いいんですか?」
と尋ねました。
その答えを聞いたポチ青年はため息をつくばかりでした。
とことんこの老人に常識は通じない、と。
こんにちは、星見です。
年末デートが家の仕事で潰れました。なんでしょう、このやるせなさは。ということで、これを書いて投稿です。
なんだか物語があらぬ方向に進んでいる気がしないでもありません。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……
なお、鬼退治の今年の投稿はこれで最後となります。皆様、よいお年を。




