表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/23

ジジイと桃太郎と鼻血の記憶

 桃太郎はお爺さんの鼻血を全身に浴びました。

 もともとエイリアンともいわれるお爺さんの鼻血です。普通の鼻血ではないことは明らかでした。

「ぐへへ、ワシの神聖なる血を浴びて、さらなる悟りを得るが良い!」

 お爺さんは得意げに語っていますが、すでに顔が青くなっています。恒例の貧血エンドですね。

「お爺さん、輸血パックです!」

 このあたりのコンビネーションができるのはさすが弟子のポチ青年といったところでしょうか。お爺さんはその輸血パックを受け取ると

「ポチ……お前は日本萌え文化の免許皆伝じゃ。もうワシから伝えることは何もない。これからはロリとエロとツインテニーソの道を思う存分歩くがよい」

 とか言って、輸血パックを点滴しています。心なしか幸せそうです。

「ジジイ……」

 桃太郎の意識がもうろうとし始めました。

「ぐふふ、ワシの『無限の鼻血』を浴びてまだ意識があるのは大したものじゃ。しかし、もう長くはなかろうて。桃太郎よ、楽になるがよい」

 そして、桃太郎の意識はそこで途切れました。



「あれ? 僕は何をしていたんだろう?」

 自宅の寝室で桃太郎が目を覚ますと、そこには心配そうに桃太郎の顔を覗き込むツンデレラの姿がありました。なぜメイド服姿なのかは突っ込まないでおくことにします。

「お兄ちゃん? 大丈夫なの!? あの腐れ外道ジジイに何かされた?」

 何かされた記憶はあるのですが、何をされたのか桃太郎は思い出すことができません。いやむしろ、思い出さない方がいいでしょう。

「まあ、大丈夫だよ。ちょっと頭痛はするけどね」

「ダメだよ、まだ寝てなきゃ」

 桃太郎の枕元にあるおかゆはツンデレラが頑張って作ったものです。

「うん、わかったよ」

 ツンデレラの優しい声に従う桃太郎。その姿は仲睦まじい兄妹そのものです。

 三匹の僕も桃太郎を心配そうに見ていました。ホームズはみたらし団子を咥えながらテレビをつけました。そこには

「ヒャッヒャッヒャッヒャ!」

 と高笑いしながらボーイング社製の飛行機の上で逆立ちをしているお爺さんがいました。高度は七千メートルのはずですが、涼しい顔をしています。

 ブラウン管の中のアナウンサーは

『今日、北欧のアルトリア共和国でテロ行為を働いたエイリアンが日本に護送されています』

 と語っていますが、どう見ても脱走しています。

 お婆さんは飛行機の翼の上でカップラーメンを食べています。

『アルトリア共和国ではこのエイリアンのテロを機に大統領が免職されるという事態に発展。共和国初の珍事に国民の動揺は大きく、また積極的平和主義に舵を切るという臨時政府が成立しました』

 あの話し合いですべてが解決できるというお花畑な大統領が解職されたという締めでニュースが終わります。

 頭痛が桃太郎を襲います。

 ツンデレラの優しい声に促されて、桃太郎は眠りにつきました。

こんばんは、星見です。

さて、あと一話でこのお話もおしまいです。いやはや長引いたものです。

さて、続編の異説鬼退治Ⅶですが、おそらく夏季休暇前後の掲載になるのではと勝手に考えています。気分しだいでこちらに掲載するかもしれません。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ